「なおざり」と「おざなり」の違いとは?使い方の例まで解説

違いのギモン

「なおざり」と「おざなり」は、響きが似ていますね。また、 “いい加減に行動する” という大意も共通しています。

ですから、両者は同じような言葉であるように感じられますね。厳密な違いについて疑問を抱きつつも、両者を混同してしまっている方も多いのではないでしょうか。

実は、「なおざり」と「おざなり」は、由来や細かい意味が異なるのです。この記事では、両者の相違点について、詳しく解説します。

☆「なおざり」「おざなり」の違いをざっくり言うと……

なおざりおざなり
発祥平安時代江戸時代
意味課題に着手すらしていない課題に着手はしているが、いい加減

結論:着手しているかどうかが違う

「なおざり」は平安時代にできた言葉で、やらなければならないことに取り組まずに放置している状態を指します。一方、「おざなり」は江戸時代にできた言葉で、やらなければならないことに取り組んではいるものの、その取り組みが真剣ではないという状態を指します。

「なおざり」の意味をもっと詳しく


「なおざり」は、10世紀の平安時代にうまれた言葉です。「猶去り(なおさり)」という言葉が語源といわれています。

「猶」は “そのまま何もしない” という意味で、「去り」は “遠ざかる” という意味です。つまり、「猶去り」は、 “何もしないまま終わる” という意味をもちます。

平安時代の語源からわかるように、「なおざり」は、やらなければならないことに着手せずにそのままにしておくことを指すのです。また、その定義が転じて、人や物を大事にしないという意味もあります。

なお、「なおざり」は、現在では漢字で「等閑」と書きます。訓読みで “なおざり” と読むだけでなく、音読みで “トウカン” と読む場合もありますが、 音読みであっても「なおざり」と同じ意味を示します。

「なおざり」の使い方の例

「準備をなおざりにする」は、準備に取りかからずにいる状態を意味します。やらなければならないことに手をつけてもいないという定義に当てはまっていますね。

また、「友人をなおざりにする」は、友達のことを大事にしていない状態を表す文です。「なおざり」の2つ目の意味を用いた例です。

それでは、「なおざりな対応をする」という文はどうでしょうか。

「なおざり」は、やらなければならない行動をしていない様子を指します。つまり、 “対応” という行為をやらずに放置しているのですから、 “対応していない” ということになります。

しかし、この文では “対応をする” という表現が登場するため、文としての意味が矛盾してしまいます。このように、「なおざりな行動をする」「なおざりに行動する」といった文は成立しませんから、注意しましょう。

「おざなり」の意味をもっと詳しく


「おざなり」は、19世紀の江戸時代にうまれた言葉です。

この時代、座敷で行われる宴会では、参加者たちの機嫌をとったり、自ら芸を披露したりする男性が働いていました。この仕事を “幇間(ほうかん)” といいます。

幇間の職につく男たちは、お金持ちの客が宴会を催すときには一生懸命働きました。しかし、お金持ちではない客が宴会を開く際には、いい加減に働いていたのです。

 

客の身分によって態度を変える幇間たちを見て、人々は、彼らのことを陰で「御座敷成り(おざしきなり)」と呼ぶようになりました。「御座敷成り」には、座敷でその場しのぎのように働く幇間を揶揄(やゆ)する意味が込められています。

この隠語の発音が変形してうまれたのが「おざなり」という言葉です。現在でも「おざなり」を漢字で「御座成り」と書くことから、「御座敷成り」の名残があることがわかります。

江戸時代からの由来を見てわかるように、「おざなり」は、やらなければならないことに着手してはいるものの、真剣に取り組んでいないことを指すのです。時がたつにつれて、幇間ではない人の行動であっても、いい加減であれば「おざなり」と表されるようになったのです。

「おざなり」の使い方の例

「おざなりな仕事をする」という文は、仕事には取り掛かってはいても、真剣に行動していないがために全く成果が出ていない状態を表しています。

また、「おざなりを言う」という表現もあります。これは、相手に対して真摯に向き合わずに、その場しのぎの言葉を相手に伝えてしまうということです。

まとめ

以上、この記事では、「なおざり」と「おざなり」の違いについて解説しました。最後に、両者の違いを表でおさらいしましょう。

なおざりおざなり
発祥平安時代江戸時代
意味課題に着手すらしていない課題に着手はしているが、いい加減

「試験勉強をなおざりにする」という文と、「試験勉強をおざなりにする」という文は、一見よく似ているように見えます。

 

しかし、 “やらなければならないことに着手しているか否か” という基準に沿って考えると、両者は全く異なる文であることがわかりますね。前者は試験勉強に全く手をつけていないことを意味するのに対して、後者は試験勉強に取り組んでいるものの、真剣には勉強していないことを意味します。

このように、「なおざり」と「おざなり」を混同して使ってしまうと、相手に意図が正しく伝わりません。話を聞くほうも、両者の相違点をわかっていなければ、相手の話を誤解してしまいますね。

間違えやすい2つの言葉ですが、意味の違いを理解して正しく使い分けられるようにしましょう。