今回ご紹介する言葉は、故事成語の「泣いて馬謖を斬る(ないてばしょくをきる)」です。
「泣いて馬謖を斬る」の意味、例文、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「泣いて馬謖を斬る」をざっくり言うと……
読み方 | 泣いて馬謖を斬る(ないてばしょくをきる) |
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意味 | 全体の規律を守るためにたとえ愛する者であっても私情を捨て、涙をのんで処分すること |
由来 | 三国時代に諸葛亮が泣いて愛弟子の馬謖を処刑したことから |
類義語 | 涙を揮って馬謖を斬る |
英語訳 | To make a costly sacrifice in the course of justice. (正義のため高い犠牲を払う) |
このページの目次
「泣いて馬謖を斬る」の意味をスッキリ理解!
「泣いて馬謖を斬る」の意味を詳しく
「泣いて馬謖を斬る」とは、全体の規律を守るためにたとえ愛する者であっても私情を捨て、涙をのんで処分することです。
「馬謖」とは、中国の蜀(しょく)という国にいた軍人のことです。
そして、「泣いて〇〇を斬る」という表現で用いられることがあります。
〇〇にはもちろん、人名が入ります。
「泣いて馬謖を斬る」の例文
- 彼は不祥事を起こした有能な部下を処分した。まるで泣いて馬謖を斬るようなものだ。
- 社長は泣いて馬謖を斬る思いで役員だった息子の解雇を言い渡した。
- 総理大臣は不倫事件を起こした大臣を泣いて馬謖を斬る思いで辞職させた。
「泣いて馬謖を斬る」の由来
「泣いて馬謖を斬る」の出典は『三国志』の「蜀志(しょくし)・馬謖伝(ばしょくでん)」という章です。
中国の三国時代、小国であった蜀(しょく)は勢力を広げるために大国の魏(ぎ)へ戦いを挑みました。
そして、魏のほうが兵士は多かったものの、魏は蜀のことをみくびっており、全く対策を行っていなかったため、蜀はどんどん進軍していきました。
すると、やがて街亭(がいてい)という場所にたどり着きました。
そして、蜀はここで魏と戦うことになります。
この戦いで蜀の軍師の諸葛亮(しょかつりょう)の親友の弟であり、なおかつ腹心の部下でもあった馬謖は大抜擢され、街亭での戦いで大将を任されました。
しかし、彼は諸葛亮の作戦を無視し、山の頂上に布陣します。
そして、蜀軍は魏の軍から水を断たれ、惨敗してしまいます。
これにより多くの兵が犠牲になっただけではなく、蜀はこれ以上進軍することができなくなり、全面撤退を余儀なくされます。
そして、馬謖は命令を無視してしまったため、諸葛亮は軍法に従い、涙を流して馬謖を斬ります。
また、諸葛亮自身も作戦失敗の責任を取って3階級降格します。
ちなみに、馬謖を処刑したことについて、のちに「馬謖ほどの有能な将を処刑するのはもったいなかったのではないか」と言った部下もいました。
しかし、諸葛亮は「軍律を守るのが最優先だ」と言って、もう一度涙を流したと言われています。
ちなみに、諸葛亮が涙を流した理由は正史と『三国志演義』では異なっています。
まず、正史では馬謖のことを思って涙を流したことになっています。
しかし、『三国志演義』では、前代の君主である劉備(りゅうび)から「馬謖は口だけの男だから重用してはならない」ときつく言われていたのにも関わらず、それを無視して重用してしまった自分の至らなさを嘆いて涙したと言われています。
馬謖とは中国の三国時代の武将です。
諸葛亮からは信頼されましたが、王の劉備からは信頼されませんでした。
そして、蜀が勢力を広げるのに貢献しましたが、街亭の戦いで諸葛亮の命令を無視して致命的な失敗をしたため、処刑されることになります。
ちなみに、兄の馬良は兄弟の中でも一番優秀と言われ、白眉という言葉の由来になりました。
「泣いて馬謖を斬る」の類義語
「泣いて馬謖を斬る」には以下のような類義語があります。
- 涙を揮って馬謖を斬る(なみだをふるってばしょくをきる)
「泣いて馬謖を斬る」の英語訳
「泣いて馬謖を斬る」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- To make a costly sacrifice in the course of justice.
(正義のため高い犠牲を払う)
まとめ
以上、この記事では「泣いて馬謖を斬る」について解説しました。
読み方 | 泣いて馬謖を斬る(ないてばしょくをきる) |
---|---|
意味 | 全体の規律を守るためにたとえ愛する者であっても私情を捨て、涙をのんで処分すること |
由来 | 三国時代に諸葛亮が泣いて愛弟子の馬謖を処刑したことから |
類義語 | 涙を揮って馬謖を斬る |
英語訳 | To make a costly sacrifice in the course of justice. (正義のため高い犠牲を払う) |
「泣いて馬謖を斬る」はとても有名な故事成語ですよね。
聞いたことがあるという人も多かったのではないでしょうか。
また、とても勉強になる故事成語でもあります。
この故事成語を心にとめておきたいですね。