「裸の王様」とは?あらすじから比喩としての意味まで解説!

言葉

裸の王様とは「批判や反対を受け付けないため、本当の自分がわかっていない権力者」という意味です。デンマークの童話に由来します。

『裸の王様』というお話自体は知っている方も多いと思いますが、そこから派生したたとえとしての意味は知らない方もいるでしょう。

この記事では、たとえとしての意味や英語訳まで詳しく解説します。

☆「裸の王様」をざっくり言うと……

読み方裸の王様(はだかのおうさま)
意味批判や反対を受け付けないため、本当の自分がわかっていない権力者のたとえ。デンマークの童話
由来普段から周りの意見を耳に入れない結果、裸でパレードを行った王様の物語から
類義語独裁者
英語訳The Emperor’s New Clothes(皇帝の新しい服)

「裸の王様」の意味

はだか王様おうさま

批判や反対を受け付けないため、本当の自分がわかっていない権力者のたとえ。デンマークの童話。

『裸の王様』とは、デンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンが1837年に発表した童話です。

アンデルセンは世界的に有名な作家で、『裸の王様』は彼の代表作です。

ただし、アンデルセンは『裸の王様』を一から作ったのではなく、翻案(ほんあん)しています。

翻案の意味

翻案とは、小説・戯曲などで、原作の筋や内容をもとに表現方法や話の流れなどを改作することです。

『裸の王様』の原作はスペインの王族フアン・マヌエルが1335年に発表した寓話集の中に収録されている「ある王といかさま機織り師たちに起こったこと」という話です。

そして、この童話の内容から、裸の王様は「批判や反対を受け付けないため、本当の自分がわかっていない権力者」のたとえとしても使われます。

童話のストーリーは、次で詳しく見ていきましょう。

「裸の王様」のストーリー

『裸の王様』のストーリーは以下のようなものです。

あるところに、服が大好きな王様がいました。

ある日、とても珍しい服を作ることができるという2人の男が王様を訪ねてきました。

彼らは、ふさわしくない地位についている者や、馬鹿な者には見えない、不思議な布を織ることができ、その布で王様のための服を作るのだと言います。

 

しかし、2人の男は実は詐欺師で、「ふさわしくない地位についている者や、馬鹿な者には見えない布」を作ることはできません。

本当は存在しない布を、存在するように見せかけているだけなのです。

王様の命令で、視察に行った家来たちは、2人の男が織っている布地が全く見えません。

しかし、王様に「布が見えませんでした」と報告することはできないため、「大変すばらしい布でした」と嘘をつきます。

 

いよいよ服が完成して、2人の男が王様のもとに服を持ってきました。

もちろん王様も服が見えません。しかし、「家来は見ることができた布を王様が見えない」と言うことができず、見えているフリをします。

王様は、そのまま新しい服のお披露目のために城下町でパレードを行いました。

町の人々も馬鹿だと思われたくないため、見えない服を褒めました。すると、1人の子供が「王様は裸だ」と本当のことを言ってしまったのです。

それをきっかけに皆が口々に王様は裸だと言い始めました。王様はとても恥ずかしい思いをしました。

この童話は、「正しい意見を言うことの大切さ」や「周りの意見を聞くことの大切さ」を教えてくれます。

『裸の王様』と原作の違い

『裸の王様』の原作はスペインの王族フアン・マヌエルが1335年に発表した「ある王といかさま機織り師たちに起こったこと」です。

その原作と、『裸の王様』の違いを見ていきましょう。

原作裸の王様
タイトルある王といかさま機織り師たちに起こったこと皇帝の新しい服
主人公王様皇帝
主人公の関心事財産を増やすこと
詐欺師の人数3人2人
服が見えない人間の特徴父親の実の子ではない者ふさわしくない地位についている者・馬鹿な者
服が存在しないという真実を告げる者王の馬を世話していた黒人パレードを見ていた小さな子供

「裸の王様」の使い方

「裸の王様」は、童話のタイトルとして使われることももちろんあります。

しかし、「批判や反対を受け付けないため、本当の自分がわかっていない権力者」というたとえの意味で使われることの方が多いです。

「裸の王様」を使った例文を見ていきましょう。

  1. そんな風に他人の意見を跳ね除けていたら、裸の王様になってしまうよ。
  2. 彼の独裁政権ぶりは、まるで裸の王様だ。
  3. 裸の王様では、自分の姿が見えなくなってしまうよ。

➀➁➂のどれも、「批判や反対を受け付けないため、本当の自分がわかっていない権力者のたとえ」として使われています。

「裸の王様」の由来

『裸の王様』は、原作の『ある王といかさま機織り師たちに起こったこと』というタイトルをよりキャッチーにしたものです。

原作が童話としてアンデルセンによって書き換えられた際に、 “The Emperor’s New Clothes” (皇帝の新しい服)というタイトルになりました。

これが日本語に訳される際に、さらに変更されて現在の『裸の王様』というタイトルになったのです。

また、そのストーリーに登場する「普段から周りの意見を耳に入れない結果、裸でパレードを行ってしまう王様」の様子から、「批判や反対を受け付けないため、本当の自分がわかっていない権力者のたとえ」として使われるようにもなりました。

「裸の王様」の類義語

裸の王様には以下のような類義語があります。

  • 独裁者
    特定の個人・集団または階級が全権力を握り、支配すること

独裁的な権力者は、大きな権力を持ちすぎているあまりに、周りの意見を聞かないことが多いです。

その点で、裸の王様のような状態になってしまうことが多いため、類義語であると言えます。

「裸の王様」の英語訳

裸の王様を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • The Emperor’s New Clothes
    (皇帝の新しい服)

裸の王様を英語に直訳すると “The naked emperor” になりますが、英語版の『裸の王様』は、このようなタイトルではありません。

英語版のタイトルは、 “The Emperor’s New Clothes” で、直訳すると「皇帝の新しい服」「王様の新しい服」です。

『裸の王様』の著作名を英語で言いたい場合は上記の表現を使いましょう。

「裸の王様」のまとめ

以上、この記事では「裸の王様」について解説しました。

読み方裸の王様(はだかのおうさま)
意味批判や反対を受け付けないため、本当の自分がわかっていない権力者のたとえ。デンマークの童話
由来普段から周りの意見を耳に入れない結果、裸でパレードを行った王様の物語から
類義語独裁者
英語訳The Emperor’s New Clothes(皇帝の新しい服)

英語版のタイトルは日本語版と少し異なるので注意が必要ですね。

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