“must” と “have to” は「そうしなければならない理由が主観的なものか客観的なものか」という点が異なります。
主語や使う場面で使い分けるものの、混乱している人も多いのではないでしょうか?
今回は、“must” と “have to” の違いをわかりやすく解説します。
このページの目次
「must」と「have to」の違い
- must
話者が本人の意志で「~しなければならない」と思うときに使う - have to
状況や背景から判断し、話者が「そうせざるを得ない」と思っているときに使う
“must” と “have to” の具体的な例文は以下のとおりです。
- You must study harder!
(もっと勉強しなさい!) - You have to study harder.
(もっと勉強しないと)
①の例文は、親が子供に命令しているイメージで、非常に強い強制の意味があります。
②の例文は、勉強しなければならない旨を少し強めに伝えているイメージです。
「must」の意味
“must” の意味には、話者の主観的な強制力が含まれています。
「~しなければならない」と訳されますが、「~しないことは自分の中では許されない」というニュアンスになります。
“must” は強い強制を表すため、自分以外を主語にすると命令的な意味を含みます。
そのため、主語が自分以外の時は “have to” を用いるのが良いでしょう。
「must」の使い方
- I must go.
(行かないといけない) - I must stop smoking!
(絶対に禁煙しなければならない) - I must keep a healthier diet.
(健康的な食事をしないといけない)
「have to」の意味
“have to” は “must” とは違い、主観的ではなく客観的なイメージです。
“have to” は「~しなければならない」という意味ですが、どちらかというと「その場の状況から判断して、こういう状況だからそうするしかない」というイメージです。
また “must” よりも強制力が弱く、「したほうがいいよね」「しなくちゃ」程度の意味を持ちます。
“have got to”とは
“have got to” は、“have to” のくだけた言い方で、日常会話でよく使われます。
例えば人に何かを強くおすすめしたいとき、“You’ve got to watch it.(絶対見るべきだよ)” というように言います。
「have to」の使い方
- I have to stop at the red lights.
(赤信号では止まらないといけない) - I have to buy some apples.
(りんごを買わないといけない) - You have to speak in English in the meeting.
(この会議では、あなたは英語で話さなければならない)
疑問文
“must” と “have to” の疑問文をご紹介します。
「英語を勉強しなければなりませんか?」の例文は以下の通りです。
- Must I study English?
- Do I have to study English?
①の例文で、助動詞の “must” が文頭に来ることで疑問文になります。
助動詞の疑問文は、助動詞が文頭に来ることで疑問文になるというルールがあります。
②は第一助動詞の “Do” が文頭に来ることで疑問文になります。
“have to” は “must” の言いかえで助動詞のように使いますが、助動詞ではありません。
そのため、“have to” の文章を疑問文にするときは第一助動詞の “Do” を文頭に置く必要があります。
否定文
“must” と “have to” の否定文をご紹介します。
“must” の否定と “have to” の否定は意味が全く異なるため、注意が必要です。
“must” の場合
“must” の否定は禁止を表し、否定の命令文の “Don’t” よりも強い禁止のニュアンスを持ちます。
- He must not enter there.
(彼はそこに入っていはいけない) - You mustn’t wear a suit on Fridays.
(金曜日にスーツを着てはいけません)
“have to” の場合
第一助動詞の “Do” を否定形にし、「~をしなくてもよい」という意味を表します。
- He doesn’t have to enter there.
(彼はそこに入らなくてもいい) - You don’t have to wear a suit on Fridays.
(金曜日にはスーツを着なくても結構です)
過去形
“must” には過去形がありません。
そのため、「~しなければならなかった」という過去の義務を表す場合は “must” の場合でも “had to” を使います。
つまり、“I must sleep early tonight.(今夜は早く寝ないといけない)”を過去形にすると、“I had to sleep early last night.(昨夜早く寝ないといけなかった)”となります。
推量
推量の意味を持つ “must” と “have to” をご紹介します。
“must be 動詞ing” もしくは “have to be 動詞ing” の形で使い、「~に違いない」という確信の意味を持ちます。
「冗談に違いない」という意味の例文を以下でご紹介します。
- You must be joking.
- You have to be joking.
“must be 動詞ing”の方が、「絶対に~に違いない」と「have to be」よりも強い確信を示します。
「should」や「need to」との違い
“should” は「~すべき」という意味で、 “need to” は「~する必要がある」という意味です。
強制力の強さで言うと、“should” < “need to” < “have to” < “must” となります。
「must」と「have to」の違いのまとめ
以上、この記事では、“must” と “have to” の違いについて解説しました。
- must
話者が本人の意志で「~しなければならない」と思うときに使う - have to
状況や背景から判断し、話者が「そうせざるを得ない」と思っているときに使う
主語が自分か自分以外かに注意して使い分けましょう。