今回ご紹介する言葉は、ことわざの「餅は餅屋」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「餅は餅屋」をざっくり言うと……
意味 | 素人がいくら上手にやっても、専門にやっている人にはかなわないというたとえ |
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由来 | 江戸時代の「貸餅屋」という職業と、『滑稽太平記』の一説から |
類義語 | 馬は馬方(うまかた)、蛇(じゃ)の道は蛇(へび)など |
対義語 | 左官の垣根など |
英語訳 | Better leave it to a specialist.(専門家に任せておいた方が良い。) |
このページの目次
「餅は餅屋」の意味をスッキリ理解!
「餅は餅屋」の意味を詳しく
「餅は餅屋」とは、素人がいくら上手にやっても、専門にやっている人にはかなわないというたとえです。専門家の技術や知識などを賞賛する時に使います。
餅は餅屋のついたものが一番美味しいことからできたことわざです。
また、ある分野に関していくら詳しくても専門家の知識にはかなわないのだから、専門家に聞くのが一番である、という意味もあります。この意味では、専門家に頼むことの安心感や安定感を表します。
実際に使用する時には、「餅は餅屋に聞け」という表現を頻繁に用います。
また「さすが餅は餅屋だね」と言うことで、その道のプロに対する褒め言葉としても使われます。
「餅は餅屋」の使い方
- さすが餅は餅屋だね。こんなに美味しいお好み焼きは素人にはなかなか作れないよ。
- 新しいスマートフォンを購入したが、使い方が分からないので専門家に聞くことにした。餅は餅屋に聞けと言うからね。
- パソコンが不調だったので自分で直そうとしたら動かなくなってしまった。やはり餅は餅屋ではじめから電気屋さんに頼むべきだった
➀の例文で使われている「餅は餅屋」は、専門家の技術や知識などを賞賛する意味合いで使われています。
また、➁・➂の例文にある「餅は餅屋」は、専門家に頼んだ方が安心であるという意味で使われています。
「餅は餅屋」の由来
「餅は餅屋」の由来には二つの説があります。
一つは、「賃つき屋」または「貸餅屋」といわれる商売からきているとする説です。
これは江戸時代に広まった商売で、餅つきの道具を持ってきて餅をついてくれる上に、鏡餅や丸餅など頼んだ形に仕上げてくれる、というものでした。
当時は特にお正月にお餅が不可欠でしたが、年末はどの職業も忙しく、もち米を焚(た)いてからそれをついて餅にする時間も惜しまれていました。
そこで、下手に素人が時間をかけて作るよりも、専門家に頼んで美味しいものを作ってもらった方がいい、ということから「賃つき屋」「貸餅屋」に依頼する人々が増えたのです。
このことから、「餅は餅屋に頼もう」という考えが広まり、「餅は餅屋」ということわざにつながりました。
もう一つは、江戸時代の俳諧書『滑稽太平記(こっけいたいへいき)』に出てくる「餅は餅やがよし、指し合いのことは此方(こち)にまかせよ」という記述がことわざになったという説です。
元禄時代に流行していた「類字名所狂歌集」にも、「花を見て葛団子(くずだんご)までもしられけり餅は餅屋のよしの山哉(やまかな)」という歌が出てきます。
このことから、少なくとも江戸時代には「餅は餅屋」という言葉が使われるようになっていたことが分かります。
「餅は餅屋」の類義語
「餅は餅屋」には以下のような類義語があります。
- 馬は馬方(うまかた)
- 蛇(じゃ)の道は蛇(へび)
- 海の事は漁師に問え
- 酒は酒屋に茶は茶屋に
- 弓矢の道は武士が知る
「餅は餅屋」の対義語
「餅は餅屋」には以下のような対義語があります。
- 左官の垣根:専門外の仕事をやっても上手くいかないということ
「左官の垣根」は、壁を塗るのが専門である左官が垣根を作っても上手くできるはずがないというところからきています。
このことわざは、「左官の垣根ですから」というように、自分の能力を謙遜(けんそん)して言う場合にも使われます。
「餅は餅屋」の英語訳
餅は餅屋を英語に訳すと、次のような表現になります。
- There is a mystery in the meanest trade.
(どんなつまらない仕事にも秘訣がある。) - Better leave it to a specialist.
(専門家に任せておいた方が良い。) - One should go to specialists for the best results.
(最良の結果を得たいなら専門家の元へ行くべきだ。) - Every man to his trade.
(みんな自分の専門のことに従事すべきだ。)
まとめ
以上、この記事では「餅は餅屋」について解説しました。
意味 | 素人がいくら上手にやっても、専門にやっている人にはかなわないというたとえ |
---|---|
由来 | 江戸時代の「貸餅屋」という職業と、『滑稽太平記』の一説から |
類義語 | 馬は馬方(うまかた)、蛇(じゃ)の道は蛇(へび)など |
対義語 | 左官の垣根など |
英語訳 | Better leave it to a specialist.(専門家に任せておいた方が良い。) |
「専門家もびっくり」などと言う言葉も時々耳にしますが、やはり専門家と一般人には経験も知識も差があります。
あらゆるサービスを手軽に受けられる時代になりましたが、やはりその道を極めた専門家に頼むほうが安心感があります。
「餅は餅屋」ということわざもまた頻繁に使われるようになるかもしれません。