日本語には、様々な言葉を用いて、似たような状況、状態を表すことがあるのをご存知ですか。その例が、「夜中」「真夜中」「深夜」「夜半(やはん)」「夜更け(よふけ)」です。全ての単語に「夜」が使われているので、夜を指すことは分かりますが、具体的に何時頃を指すのでしょう。
非常に似通ったこの五つの言葉をどのように使い分けているのか、はっきりと理解している人は少ないと思います。それでは、「夜中」「真夜中」「深夜」「夜半」「夜更け」の五つの言葉の違いを解説します。
結論:言葉を用いる場面の違い
この五つの言葉は、人々が寝静まる夜の時間帯を指すという意味で共通しています。しかし、それぞれの言葉を用いる場面に違いがあります。
「真夜中」は夜中であることを強調したいときに使われます。
「深夜」は他の単語と複合する際に使われます。
「夜半」は書き言葉、あるいは文章語として使われます。
「夜更け」は深夜とほとんど同じ意味を持ちます。
「夜中」を詳しく
夜中とは、夜の長い時間帯を表したいときに用いられる言葉です。例えば、「夜中じゅう勉強をしていたので、とても疲れてしまった。」などと使うことができます。
あるテレビ局が全国調査を行なった結果、夜中は午後11時から午前2時の時間帯を指す言葉だと認識している人が多いことが分かりました。
「真夜中」を詳しく
真夜中とは、特に「夜中」を強調したいときに用いられる言葉です。夜の中間地点は正午の反対である正子(午前0時)なので、その前後30分ほどの時間帯を指すときに使われることが多いです。
また、その時間よりも遅い時間帯を指すと捉える人も多く、午前0時から午前3時までを指す場合もあります。
「深夜」を詳しく
深夜とは、主に他の言葉と組み合わせて使いたいときに用いられる言葉です。例えば、「深夜営業中」や「深夜料金」などといった言葉をよく目にすると思います。
深夜という言葉自体がある特定の時間帯を表す訳ではありませんが、労働基準法は午後10時から午前5時の時間帯を深夜業と定めています。この時間帯を基本とし、一部のサービス業は深夜割増料金を要求します。
一般的にテレビやラジオの深夜放送は、午後11時もしくは午前0時から午前5時までの時間帯を指します。
また、各地方公共団体の青少年保護育成条例では、青少年が単独で深夜に外出することが禁止されている時間帯を午後11時から午前4時と定めていることが多いです。
「夜半」を詳しく
夜半とは、話し言葉よりも、書き言葉として用いられる言葉です。例えば、「夜半には彼も家に戻ることでしょう。」などと使うことができます。
気象庁の時を表す用語の項目では、夜半は午前0時の前後1時間ぐらいの時間帯を指すと定められています。しかし、あまり一般的な言葉ではないので、使用が控えられている言葉でもあります。
また、使う場面に違いはありますが、深夜と大体同じ意味を持ちます。
「夜更け」を詳しく
夜更けとは、深夜とほとんど同じ意味を持つ言葉です。夜更けの他にも、「深更(しんこう)」や「夜半」も深夜と同等の意味合いを持ちます。
まとめ
この記事では「夜中」「真夜中」「深夜」「夜半」「夜更け」の五つの言葉の違いを解説しました。
- 夜中:夜の長い時間帯を表したいときに用いる
- 真夜中:特に夜中であることを強調したいときに用いる
- 深夜:他の単語と組み合わせて用いることが多い
- 夜半:文章語として用いる
- 夜更け:深夜と大体同じ意味を持つ
違いの分かりづらい「夜中」「真夜中」「深夜」「夜半」「夜更け」の言葉の違いを理解することはできましたか。これらの五つの言葉のように、表現方法が多数ある言葉はたくさんあります。
これからもっと語彙力を伸ばして、様々な言葉を用いながら会話をしたり、文章を書けるようになれると良いですね。