「目を細める」とは「嬉しいことや可愛らしいものに対して、ほほ笑むこと」という意味です。
辞書を見て意味を理解したとしても、「どのような場面に使ったら良いのかわからない」という人が多いのではないでしょうか。
この記事では、「目を細める」の意味や使い方、例文などについて詳しく解説します。
☆「目を細める」をざっくり言うと……
読み方 | 目(め)を細める(ほそめる) |
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意味 | 嬉しいことや可愛らしいものに対して、ほほ笑むこと |
類義語 | 笑みが溢れる、目尻を下げる、相好を崩すなど |
対義語 | 頭から湯気が立つ、胸がつかえる、眉をひそめるなど |
英語訳 | smile(笑顔になる)、beam(ほほ笑む)、grin(歯を見せて笑う) |
このページの目次
「目を細める」の意味
嬉しいことや可愛らしいものに対して、ほほ笑むこと
「目を細める」とは、嬉しいことや可愛らしいものに対して、ほほ笑むことです。
下の画像のように、人は笑顔になると目尻が下がるため、目が細くなっているように見えます。
photo by ComeIlMare
このことから、「目を細める」は、ほほ笑みを表す慣用句となっているのです。
単に「目を狭く開くこと」を表す場合も
なお、「目を細める」は、単純に「上まぶたと下まぶたを近づけて、目の開きを狭める」という動作を指す場合もあります。
しかし、基本的には慣用句として、「ほほ笑む」という意味で用いられることのほうが多いです。
「怒る」という意味で使うのは誤用
「目を細める」を、「怒る」という意味で使うのは誤りです。
「目を細める」は、「嬉しいことや可愛らしいものに対して、ほほ笑むこと」というポジティブな意味を表します。
「目を細める」の使い方・例文
「目を細める」の使い方
「目を細める」は、主に以下のようなかたちで使います。
- 〇〇を見て目を細める
- 〇〇に目を細める
- 目を細めながら、〜
「目を細める」の例文
「目を細める」を用いた例文を見てみましょう。
- 彼は、遊びまわる孫たちを見て目を細めた。
- 子犬に目を細める姿を見たことがあるので、きっと彼女は動物が好きなのだろう。
- 彼女は目を細めながら、海外旅行の思い出を語った。
「目を細める」は、子どもや動物を見て笑顔になった場面で使われることが多いです。
「目を細める」と「目を細くする」の違い
「目を細める」と「目を細くする」は、同じ意味をもつ言葉です。
「目を細くする」のほうが、「目を細める」よりも正式な表現であると考えて、両者を使い分ける人もいます。
しかし、辞書では、「目を細くする」と「目を細める」の違いは特に設定されていません。
「目を細くする」の使い方
「目を細くする」も、「目を細める」と同じように、以下のようなかたちで使います。
- 〇〇に目を細くする
- 〇〇を見て目を細くする
- 目を細くしながら〜
例文も見てみましょう。
- 彼は、孫に会うたびに目を細くする。
- 彼女は、大きくなった飼い猫を見て目を細くした。
- 母は、目を細くしながら思い出の品を眺めた。
「目を細める」と「目が細まる」の違い
「目を細める」と「目が細まる」も、同じ意味をもちます。
しかし、厳密には、以下のような違いがあります。
- 目を細める
単純に笑顔になることを指す - 目が細まる
思わず笑顔になるという意味合いが強い
「目が細まる」の使い方
「目を細まる」は、以下のようなかたちで使います。
- 〇〇に目が細まる
- 〇〇を見て目が細まる
例文も見てみましょう。
- 元気に生まれてきた赤ちゃんに、目が細まる。
- 昔の写真を見て、目が細まった。
「目を細める」は、「目を細めながら〜」という使い方が可能です。
しかし、「目が細まる」は、「目が細まりながら〜」という使い方はできません。
「目を細める」の類義語
「目を細める」には以下のような類義語があります。
- 笑み(えみ)が溢れる(こぼれる)
あまりにも嬉しく、思わず笑顔になること - 目尻(めじり)を下げる
嬉しさで、満足そうな顔になる - 相好(そうこう)を崩す
嬉しさで、にこやかな表情になる - 破顔(はがん)する
にっこりする - 顔が綻びる(ほころびる)
緊張していた表情が、笑顔に変わること
「目を細める」の対義語
「目を細める」は、「嬉しいことや可愛らしいものに対して、ほほ笑むこと」という意味です。
この点をふまえると、「目を細める」の対義語は、以下の3パターンに分けることができます。
- 怒りを表す言葉
- 悲しみを表す言葉
- 不快・不満を表す言葉
上記のそれぞれの意味に分けて、対義語を紹介します。
対義語①怒りを表す言葉
怒りを表す対義語には、以下のようなものがあります。
- 頭から湯気(ゆげ)が立つ
かんかんに怒る - 腸(はらわた)が煮えくり返る
非常に怒る - 腹を立てる
怒る - 目くじらを立てる
他人の欠点を取り立てて、非難する - 目を三角にする
怒った表情になる</li
「目を三角にする」と「目くじらを立てる」は、「目を細める」と同じく、「目」を用いた慣用句です。
対義語②悲しみを表す言葉
悲しみを表す対義語には、以下のようなものがあります。
- 胸がつかえる
悲しさや心配のあまり、胸が押しつぶされるような気持ちになること - 血の涙を流す
強い悲しみや怒りで溢れる涙 - 胸が張り裂ける
悲しみに苦しむ - 身を切られる
辛さや寒さが苦痛であること - 断腸(だんちょう)の思い
非常に悲しく、辛い気持ち
対義語③不快・不満を表す言葉
不快・不満を表す対義語には、以下のようなものがあります。
- 眉(まゆ)をひそめる
相手に対して不快な気持ちになり、顔をしかめること - 口を尖らす(とがらす)
すねたり怒ったりすることで、口が尖る様子
「目を細める」の英語訳
「目を細める」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- smile
(笑顔になる) - beam
(ほほ笑む) - grin
(にっこりする、または にやっとする)
直訳は英語訳に適さない
「目を細める」を英語で直訳すると、“narrow my eyes” となります。
しかし、“narrow my eyes” は、日本語の「目を細める」と真逆の意味をもつため、注意が必要です。
“narrow my eyes” は、「不快に感じる」「怒る」ことを表す言葉なのです。
補足:「目」を用いた慣用句
この記事では、「目を細める」について解説しました。
また、「目を細める」の対義語として、「目を三角にする」「目くじらを立てる」を紹介しました。
これらの他にも、「目」を用いた慣用句はたくさんあります。
参考までに覚えておきましょう。
- 目を開く
新しいことを知ること - 目を丸くする
驚くこと - 目を皿にする
驚くこと。または物を注意深く探すこと - 目を長くする
焦らず、気長(きなが)に考えること - 目を光らせる
注意深く監視すること - 目が飛び出る
非常に驚くこと - 目が点になる
驚くこと - 目が散る
落ち着かず、きょろきょろすること - 目が高い
物の価値を見極める能力があること - 目が肥える(こえる)
経験を積んで、物の価値を見極められるようになること - 目が利く(きく)
善悪や本質を見極める能力があること - 長い目で見る
すぐに判断を下さず、気長に将来を見守る
「目を細める」のまとめ
以上、この記事では「目を細める」について解説しました。
読み方 | 目(め)を細める(ほそめる) |
---|---|
意味 | 嬉しいことや可愛らしいものに対して、ほほ笑むこと |
類義語 | 笑みが溢れる、目尻を下げる、相好を崩すなど |
対義語 | 頭から湯気が立つ、胸がつかえる、眉をひそめるなど |
英語訳 | smile(笑顔になる)、beam(ほほ笑む)、grin(歯を見せて笑う) |
嬉しい出来事で笑ったときや、愛おしいものを見て笑顔になったとき、ぜひ「目を細める」という表現を使ってみましょう。