冥府魔道とは、「➀常に争いの絶えない怒りに満ちた世界➁相手を恨む感情や信念、生き方」という意味です。
冥府魔道は、昔からある古典的な四字熟語ではなく、昭和の時代に作られた造語です。今回は、その意味と生まれた経緯を詳しく解説します。
☆「冥府魔道」をざっくり言うと……
読み方 | 冥府魔道(めいふまどう) |
---|---|
意味 | ➀常に争いの絶えない怒りに満ちた世界 ➁相手を恨む感情や信念、生き方 |
由来 | 『子連れ狼』の主人公が復讐に生きる様子を表すための造語 |
類義語 | 阿修羅道 修羅道 など |
英語訳 | vengeance(復讐心) |
「冥府魔道」の意味
- 常に争いの絶えない怒りに満ちた世界
- 相手を恨む感情や信念、生き方
冥府魔道には細かく分けると四つの意味があります。
- 常に争いの絶えない怒りに満ちた世界
- 他者に対する怒りや復讐心に満ちた感情
- 他者に対する怒りや復讐心に執着して溺れること
- 他者に対する怒りや復讐心に執着する生き様
以上のように冥府魔道とは、他者に対する怒りや復讐心に溺れている様子を表す言葉です。
争いや怒りに満ちた世界そのものを表す場合もあれば、そのような生き様や人生、感情そのものを表すこともあります。
誰にでも、他者に執着したり、怒りに捉われてしまったりする場面はあるでしょう。
その中でも、怒りに我を忘れ、復讐のために人生をささげてしまう様子や、倫理や道理を顧みない生き方のことを冥府魔道と言うのです。
「冥府」と「魔道」のそれぞれの意味は、次の通りです。
- 冥府
死後の世界・霊魂がたどり着く世界 - 魔道
堕落した道・悪の道
死後の世界における地獄のように怒り、相手を恨むことを指す場合に使われます。
「冥府魔道」の使い方
冥府魔道は、以下のような使い方をすることが多いです。
- 冥府魔道に堕ちる(落ちる)
- 冥府魔道に生きる
これらを踏まえて冥府魔道の例文を見ていきましょう。
- たとえ冥府魔道に堕ちても、自分の信念を貫くつもりだ。
- 冥府魔道に生きる身として、ここで諦めるわけにはいかない。
- その悲惨な戦場は、冥府魔道と呼ぶのにふさわしかった。
「冥府魔道」の由来
冥府魔道は、昔からある四字熟語ではなく、漫画家・小説家である小池一夫による造語です。
小池一夫が原作を書いた『子連れ狼』の中に登場しました。『子連れ狼』は、1970〜76年に『漫画アクション』に連載された劇漫画作品です。
『子連れ狼』のあらすじは、以下の通りです。
柳生一族は、拝一刀の地位を奪うために一刀の妻をはじめとする一族を殺害した上で、拝一刀に謀反の疑いがかかるように仕向けます。
柳生一族の企みによって拝一族は力を失い、拝一刀は切腹を命じられます。
切腹をする前に逃げ出した拝一刀は、息子の大五郎を乳母車に乗せて柳生一族への復讐の旅に出ます。
この作品の中で、「冥府魔道を行く父と子」というナレーションが挿入されたり、『子連れ狼 冥府魔道』というタイトルの劇場版作品が公開されたりすることで冥府魔道という言葉が誕生しました。
「冥府魔道」の類義語
テーマには以下のような類義語があります。
- 阿修羅道(あしゅらどう)
争いや怒りの絶えない世界。または、強い闘争心や執着の心のこと - 修羅道(しゅらどう)
争いや怒りの絶えない世界。または、強い闘争心や執着の心のこと
「修羅道」は「阿修羅道」を省略した言葉です。
「冥府魔道」と「阿修羅道」の違い
冥府魔道と阿修羅道は、非常に似ている意味の言葉で、言い換えとして使われることも多いです。
ただし、厳密に言えば、以下のように細かい違いがあります。
- 阿修羅道
争いや怒りというニュアンスが強い - 冥府魔道
復讐心や恨みというニュアンスが強い
また、「修羅道」と「阿修羅道」は「生きづらい環境」「苦難の多い人生」という意味で使われることもあります。
つまり、「茨の道」と同じような意味で使われる際の「阿修羅道」は、「冥府魔道」の類義語とは言えません。
「冥府魔道」の英語訳
テーマを英語に訳すと、次のような表現になります。
- vengeance
(復讐心)
冥府魔道をそのまま英訳できる単語はありません。そのため、冥府魔道の意味のひとつである「復讐心」などの英単語で表します。
「冥府魔道」のまとめ
以上、この記事では「冥府魔道」について解説しました。
読み方 | 冥府魔道(めいふまどう) |
---|---|
意味 | ➀常に争いの絶えない怒りに満ちた世界 ➁相手を恨む感情や信念、生き方 |
由来 | 『子連れ狼』の主人公が復讐に生きる様子を表すための造語 |
類義語 | 阿修羅道 修羅道 など |
英語訳 | vengeance(復讐心) |
冥府魔道は「信念」「世界」「感情」などのさまざまな意味で使われることがあります。
この機会に使い方をしっかりと理解しておきましょう。