今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「ステルスマーケティング」です。
「ステルスマーケティング」の意味や使い方、語源、類義語、実際にあった「ステルスマーケティング」の例、「ステルスマーケティング」は違法か合法か、についてわかりやすく解説します。
☆「ステルスマーケティング」をざっくり言うと……
英語表記 | ステルスマーケティング(Stealth Marketing) |
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意味 | 消費者に宣伝と気づかれないように行われる宣伝行為 |
語源 | 英語の “stealth marketing” から |
類義語 | サクラ、やらせ、ゲリラマーケティング、アンダーカバーマーケティング |
実際にあった「ステマ」の例 | デビッド・マニング事件、マイクロソフト事件、食べログ高評価事件など |
「ステマ」は違法?合法? | 日本では「違法になる場合がある」 |
このページの目次
「ステルスマーケティング」とは?
「ステルスマーケティング」の意味を詳しく
「ステルスマーケティング」とは、消費者に宣伝と気づかれないように行われる宣伝行為のことです。
完全に中立の立場を装ってレビューをしたり、有名人が企業から宣伝の依頼を受けていることを隠して、「お気に入り」として商品を宣伝することなどがこれに当たります。
最近話題のYoutubeでも「ステルスマーケティング」が多く行われています。
「ステマ」という略称は聞いたことがある人も多いと思います。
「アンダーカバー・マーケティング」と呼ばれることもあります。
派遣会社などのサービス業者に依頼して、店の前に偽物の行列を作ったり、その状態をメディアに撮影・掲載させたりすることも「ステルスマーケティング」に該当します。
この「ステルスマーケティング」はある意味「消費者を騙す」行為であるため、非難されることがあります。
「モラルに反している」という印象があるからです。
このような「やらせ」ともいわれる行為が発覚して信用を落としたケースも多いです。
しかし、現在の日本ではこの「ステルスマーケティング」自体を禁止する法律はできていません。(一部の行為は禁止されています)
「ステルスマーケティング」の使い方
「ステルスマーケティング」には以下のような使い方があります。
- あの芸能人のブログはステマだったらしい。
- ステマで信用を落とした企業は数えきれない。
- ステマがしやすいインターネットの口コミには注意が必要だ。
「ステルスマーケティング」の語源
「ステルスマーケティング」の語源は英語の “Stealth Marketing” です。
“stealth” は「秘密」「こっそり行うこと」などの意味の名詞です。
“marketing” は、製造・販売・宣伝などの全工程を指す名詞です。
ここでは「宣伝」の意味で使われています。
また、 “stealth marketing” は “undercover marketing” とも言います。
“undercover” は、「隠れて」「内密に」という意味の形容詞です。
「ステルスマーケティング」の類義語
「ステルスマーケティング」には以下のような類義語があります。
- サクラ
- やらせ
- ゲリラマーケティング
- アンダーカバーマーケティング
実際にあった「ステルスマーケティング」の例
Zipatoni社事件
マーケティング会社であるZipatoni社は、ソニーからの依頼を受けてPSPの宣伝を行いました。
宣伝だとは明かさずに、商品のファンを装ってPSPのファンサイトを作ったのです。
しかし、使っているスラングが不自然であったり、コンテンツのクオリティーが高すぎたために疑われてしまいました。
ユーザーが調査した結果、Zipatoni社のステマであることが発覚し、非難が殺到しました。
デビッド・マニング事件
アメリカの映画会社である「ソニー・ピクチャーズエンタテインメント」の事件です。
同社は、宣伝として雑誌に映画評論家たちの自社の映画への批評を掲載しました。
その雑誌で、「デビッド・マニング」という評論家は、映画をほめちぎりました。
しかし、実際には「デビッド・マニング」という映画評論家は存在せず、すべて「ソニー・ピクチャーズ」のステマであったことが判明したのです。
このことについて謝罪が行われましたが、消費者からは非難され、裁判にまで発展しました。
その結果1億6000万円もの賠償金を支払うことになったそうです。
マイクロソフト事件
マイクロソフト社から発売された「XBox ONE」というゲーム機をご存知ですか?
マイクロソフト社はこのゲーム機の宣伝のために、動画投稿を依頼しました。
「Xbox ONE」に関する30秒以上の動画を上げれば、1000回の視聴回数につき3ドル(およそ300円)支払うという内容です。
この依頼内容が周知されて非難されました。
食べログ高評価事件
これは、日本国内で行われた「ステルスマーケティング」の例です。
皆さんもご存知の食べログにおいて、お金のやり取りを介して評価が行われました。
お金を受け取って高評価を付けるサービスを行っていた業者がいたのです。
その業者から営業を受けた飲食店が、食べログの運営に通報したことで発覚します。
そのあと行われた調査で、39社ものヤラセ業者がいたことがわかりました。
「ステルスマーケティング」は違法?合法?
「ステルスマーケティング」が合法か違法かは国によって違います。
欧米諸国では禁止されていることが多いです。
アメリカ
アメリカでは「商品の推奨者と広告主の関係と金銭的やり取りの有無を開示する義務」があります。
つまり、お金をもらって商品をお勧めする場合は、「それが企業からの依頼であること」を言わなければいけないということです。
イギリス
イギリスには「不公正取引からの消費者保護に関する規制法」という法律があります。
この法律で「ステルスマーケティング」は完全に禁止されています。
日本
日本は「ステルスマーケティング」を明確には禁止していません。
ただし、嘘の情報を記載したり、誤認されるような偏った意見を掲載することが「軽犯罪法」や「景品表示法」に触れることがあるとされています。
まとめ
以上、この記事では「ステルスマーケティング」について解説しました。
英語表記 | ステルスマーケティング(Stealth Marketing) |
---|---|
意味 | 消費者に宣伝と気づかれないように行われる宣伝行為 |
語源 | 英語の “stealth marketing” から |
類義語 | サクラ、やらせ、ゲリラマーケティング、アンダーカバーマーケティング |
実際にあった「ステマ」の例 | デビッド・マニング事件、マイクロソフト事件、食べログ高評価事件など |
「ステマ」は違法?合法? | 日本では「違法になる場合がある」 |
「ステルスマーケティング」は法に触れる可能性があるだけでなく、消費者の信用も失ってしまう宣伝方法です。
何が「ステルスマーケティング」なのかをしっかりと理解し、行わないようにしたいですね。