「メーカー」と「商社」の違いとは?事業内容までわかりやすく解説

違いのギモン

皆さんは「メーカー」と「商社」の違いを聞かれたら正しく答えることができるでしょうか。

「メーカー」については事業内容、仕事内容など、ある程度は想像しやすいと思いますが、中には「商社」がどのようなビジネスをやっているかよく分からないという人も多いと思います。

この記事では、「メーカー」と「商社」の違いを、「商社」の事業内容にも触れながら解説します。

結論:「商社」は自社ではモノを作らない

「メーカー」は自社でモノを作り、それを売るというビジネスを行っています。

「商社」は自社ではモノを作らず、企業と企業を仲介して、モノを右から左に流すビジネスを行っています。

「メーカー」をもっと詳しく


「メーカー」とは、自社で原材料を加工し、商品を作る企業です。基本的に、何かモノを作っていれば「メーカー」と考えることができます(飲食店を除く)。

そのため、「メーカー」は数多く存在します。「メーカー」を分類する際には、「食品メーカー」や「自動車メーカー」、「家具メーカー」など、きりがありません。

 

しかし、「メーカー」も別の角度から大きく三つに分類して考えることができます。川の流れに例えて、「上流」「中流」「下流」です。

「上流」に属するメーカーは、素材を生産します。例えば、鉄やプラスチック、アルミ、繊維などです。素材は何かを製造する際の根本を担います。

 

「中流」に属するメーカーは、「上流」のメーカーが製造した素材を使用して、消費者などに届けられる商品を組み立てるのに使用する部品を製造します。自動車産業を例にとると、タイヤやガラス窓、エンジンなどが挙げられます。

基本的に身の回りのあらゆる商品は、非常に数多くの部品から成り立っています。「メーカー」の三つの分類の中でも「中流」に属するメーカーが一番多く存在すると言えます。

 

「下流」に属するメーカーは、「中流」のメーカーが製造した部品を組み立てて、最終的に一般消費者や企業に届けられる完全な商品の形にします。多くの人が知っているメーカーのほとんどが「下流」に属するメーカーです。

非常に数多く存在するメーカーも、このように「上流」「中流」「下流」に分けることで、どのようなビジネスを行っているのか想像しやすくなると思います。

「商社」をもっと詳しく


「商社」の仕事が私たちにとって分かりにくい原因の中で一番大きいのは、「商社」のビジネスが “B to B” であるということです。 “B to B” とは、“Business to Business” の略で、簡単に言うと「企業対企業」のビジネスです。

「企業対企業」のビジネスは、普段の生活の中で接する機会がほとんど無いため、私たちにとってビジネスが分かりにくいと言えます。

 

「商社」の仕事は大きく二つに分けることができます。「トレーディング」と「事業投資」です。

「トレーディング」は、商社が昔から行ってきた従来のビジネスモデルです。国内外のあらゆる商品をつなぐ、いわば仲介ビジネスで、基本的には国内外問わずグローバルに展開し、ビジネスを行います。

 

例えば、日本に、ジュースを作るのに大量のオレンジを必要とする食品メーカーがあったとします。商社はそのメーカーの「需要」に着目し、海外のオレンジを栽培する農家、企業にそのオレンジを買わせてくれないかと営業を行います。

つまり、「オレンジを買いたい」という需要と、「オレンジを売りたい」という供給を掛け合わせる仲介を行います。

商社はそこで発生する手数料(コミッションマージン)を利益としています。あくまでこれも一例ですが、「需要」と「供給」を掛け合わせるという点は「トレーディング」に必ず共通する部分です。

 

しかし、日本でもバブル期頃から各企業、商社を仲介せずとも海外の企業とも取引が可能となる時代が到来し、「商社不要論」という言葉まで登場し、商社はピンチを迎えます。

メーカーも海外に拠点を置くようになったり、IT化が進み連絡が取れるようになったりという変化が訪れました。そのことにより、商社が強みとしていた部分がメーカー内で完結してしまうようになったのです。

もちろんそれなりの需要はありましたが、トレーディングビジネスだけでは収益がなかなか上げられず、日本特有と言われるビジネスを展開する「商社」は衰退し、破産していくとも思われていました。

 

そんな状況で登場したのが、「事業投資」というビジネスモデルです。

「事業投資」とは、商社が長年培ってきたビジネスにおける様々なノウハウを生かして、様々な事業に投資を行い、そこから利益を得ることです。

投資の方法は、子会社化する場合もあれば、経営に参画する場合もあります。商社が持つノウハウや人材、情報を最大限活用し、事業を好転させます、商社は、その事業であげられた利益のうち、その事業への出資比率(簡単に言うとどれだけお金を投資したか)に応じて利益を得ます。

 

以上のように、「商社」のビジネスは「トレーディング」と「事業投資」に分けられますが、「商社」を代表するビジネスは「トレーディング」です。

そのため、「商社のビジネスとは」と聞かれたら、「企業と企業を仲介し、モノを右から左に流すビジネス」と答えられれば基本的には大丈夫です。

 

また、「商社」の中でも、幅広いモノを扱う「総合商社」と、特定のモノを扱う「専門商社」に分けられます。

「総合商社」は、「トレーディング」「事業投資」どちらも行いますが、「専門商社」は基本的には「トレーディング」しか行いません。

まとめ

以上、この記事では、「メーカー」と「商社」の違いについて解説しました。

  • メーカー:自社でモノを製造し、企業や消費者に販売するビジネス。
  • 商社:企業と企業を仲介し、モノを右から左に流すビジネス。
「メーカー」と「商社」の一番の違いは、自社でモノを製造するかどうかです。

「商社」は 、普段の生活の中で直接関わる機会はあまりありませんが、実は非常に多くの部分で生活に関わっていることが分かったと思います。

「メーカー」と「商社」の違いを正しく認識しておくと、就職先や転職先を探す際に役に立つかもしれませんね。