心理学用語「同調バイアス」とは?意味と具体例を解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、心理学用語の「同調バイアス(どうちょうばいあす)」です。

言葉の意味、具体例、由来、英語訳、類義語についてわかりやすく解説します。

 

☆「同調バイアス」をざっくり言うと……

読み方同調バイアス(どうちょうばいあす)
意味自分以外に大勢の人がいると、とりあえず周りに合わせようとする心理状態
由来「周りに合わせることによって起こる認知のゆがみ」という意味から
英語訳Majority bias(同調バイアス)
類義語正常性バイアス

「同調バイアス」の意味をスッキリ理解!

同調バイアス(どうちょうばいあす)自分以外に大勢の人がいると、とりあえず周りに合わせようとする心理状態のこと

 

「同調バイアス」の意味を詳しく

「同調バイアス」とは、自分以外に大勢の人がいると、とりあえず周りに合わせようとする心理状態のことです。

自分自身の本来の判断とは異なる場合でも、自分の周りの多数派の判断に流されてしまうことを指します。

これは、自らの周りの大多数の人に協調的な行動をすることで、「集団の一員である」という安心感を得ようとするため起こる心理現象です。

周りの行動により、個人の判断がゆがめられてしまう認知のゆがみが「同調バイアス」なのです。

 

しかし、「同調バイアス」は必ずしも悪いものとは限りません。

周りに同調して、協調した行動をすることは、組織や集団を円滑に動かすことにもつながります。

個人の意見ばかりが主張され、全員が自分の好きなように行動すると、集団がバラバラになってしまうからです。

「同調バイアス」の具体例

「同調バイアス」に関わる実験が行われました。

被験者は教室で試験を受けさせられます。ひとりの被験者を除いて、教室にいる他の人間は全員仕掛け人です。

 

試験が始まってしばらくすると、部屋の外から白い煙が教室内に侵入してきます。

仕掛け人たちが、煙を見て慌てて席を立って教室から避難した場合、被験者も同じように慌てて避難しました。

一方で、仕掛け人が煙を見ても平然として試験を続けた場合、被験者も試験を受け続けしまったのです。

被験者は不安そうな反応をしますが、結局は席を立たずにそのまま教室に居続けてしまう傾向にありました。

「同調バイアス」の由来

「バイアス」とは、偏りのことです。そして、「同調」とは、「他のあるものに調子をあわせること、他と同じ意見・態度になること」という意味の言葉です。

「同調バイアス」は「認知バイアス」のひとつです。「認知バイアス」とは「認知の偏り」つまり、様々な原因によって生まれる「認知のゆがみ」のことです。

「同調バイアス」は、その名の通り「周りに同調する」ことによって引き起こされる「認知のゆがみ」なのです。

この意味合いから「同調バイアス」という名前がつきました。

「同調バイアス」の英語訳

「同調バイアス」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Majority bias
    (同調バイアス)

 

「同調バイアス」の類義語

「同調バイアス」に関係の深いものとして「正常性バイアス」という言葉があります。

正常性バイアス」とは、異常事態に遭遇したとき「こんなはずはない。これは正常なんだ」と自分を抑制しようとする心理状態のことです。

たとえば、災害や事件などの異常事態に自分がまきこまれたときに、「正常な出来事の範囲内だ」と無理やり思い込んで、平静を保とうとするのです。

この「正常性バイアス」と「同調バイアス」の影響で、災害時の反応が遅れたり、なかなか避難が行われなかったりしてしまうのです。

まとめ

以上、この記事では「同調バイアス」について解説しました。

読み方同調バイアス(どうちょうばいあす)
意味自分以外に大勢の人がいると、とりあえず周りに合わせようとする心理状態
由来「周りに合わせることによって起こる認知のゆがみ」という意味から
英語訳Majority bias(同調バイアス)
類義語正常性バイアス

「同調バイアス」にはいい面と悪い面があります。災害時などに「同調バイアス」の悪い影響が出てしまうと命にかかわることもある心理現象です。意味や具体例をしっかりと理解しておきましょう。