みなさんは「主旨」と「趣旨」の意味の違いをご存知でしょうか。
どちらも音は「シュシ」ですが、持つ意味はそれぞれ異なっています。「話のシュシだけ伝える」「企画のシュシを伝える」、どちらにどの「シュシ」を使うかわかりますか。
この記事ではそんな「主旨」と「趣旨」の違いと使い分けについて解説していきます。
結論:「主旨」は中心な内容、「趣旨」は何かをやる時の狙い
それに対し、「趣旨」は「何かを行う際の根本にある考えや狙い」という意味を持ちます。
「主旨」についてもっと詳しく
「主旨」とは「考え・話し・物事の中心となるもの」といった意味を持つ言葉です。類義語は「主意」です。
「主」は「主(おも)な」と訓読することからわかるように、物事の中心的な部分を表します。「旨」は、考えている内容のことを指します。
つまり、「話の主旨だけ教えて下さい」と言われた際には、「話したことの中で、最も中心となる内容」「話の要点」を伝えればよいということです。
「主旨」の使い方
- 裁判官は、判決理由の主旨を淡々と述べた。
- 教授は、その論文の主旨を説明した。
- 君は冗長になりがちだから、主旨を簡潔に伝えてほしい。
①では、判決を下すにあたって、決定的な理由になった事柄が「主旨」と表現されています。
②の「論文の主旨」は、その論文が言おうとしていることを端的に表す事柄というニュアンスです。
③では、話が長くてまとまりのない「君」が、言いたいことを押さえて話すように指導されている様子が描かれています。
「主旨」の英語訳
「主旨」を英語に訳すと、以下のようになります。
- main idea
(主たる考え) - point
(要点、主眼点)
それぞれを用いた例文は以下の通りです。
- The main idea of my son’s speech is that he wants to enter a private school.
(息子の話の主旨は、塾に通いたいということだった。) - I can understand your point.
(あなたの言いたいことはわかる。)
「趣旨」についてもっと詳しく
「趣旨」とは「何かを行う際の根本にある考えや狙い」といった意味を持つ言葉です。類義語は、「趣意」です。
「趣」は「趣(おもむ)く」と訓読でき、心が向かうところを意味します。そのため、「趣旨」は心が向かった先の狙いや目的を表すのです。
つまり、「企画の趣旨を説明して下さい」と言われた際には、その企画の狙いや企画を立てる元となった考えを説明すればよいということです。
「主旨」に比べて、「趣旨」は賛否の対象になりやすいです。「主旨」は、「何を言っているのか」という事実確認に焦点が置かれますが、「趣旨」は目的や意図であるため、「主旨はわかっても趣旨には同意できない」といった場合も起こりえます。
また「趣旨」には上に記したもの以外にも、「話や文章の言おうとする重要なところ」という意味があります。
これは「主旨」の「考え・話し・物事の中心となるもの」と似ていますが、「趣旨」の場合は「言おうとしてることの裏にある目的や理由」のことを指します。たとえば、「質問の趣旨」という場合、「質問の内容」ではなく、「その質問をしている意味・狙い」といったニュアンスになります。
「趣旨」の使い方
- 友人は、会社設立の趣旨を熱弁した。
- プロジェクトの趣旨をみんなが理解していることが大切だ。
- この問題の趣旨は、教わった基礎を応用し、柔軟な思考を問う点にある。
「趣旨」は狙いや意図を指すため、文章や考えなどに限らず、行動についても使われます。
①の「会社設立の趣旨」は、その会社を設立した目的を意味します。ここでは、どのような人のために、どういうサービスを提供し、そしてどういう世界を実現したいかが「趣旨」です。
②では、プロジェクトの主な内容という意味ではなく、なぜそのプロジェクトをするのか、といった目的に関わる部分を指しています。
たとえば、「3年後に、この土地を使ってサッカー競技場を設立する」というプロジェクトの「主旨」はサッカー競技場を設立することですが、「趣旨」は「地域の人にとって楽しい場所を作る」「子どもたちに夢を与える」などが考えられます。
③の「問題の趣旨」は、問われていることの内容そのものではなく、その問題が出されている意図を指しています。
「趣旨」の英語訳
「趣旨」を英語に訳すと、以下のようになります。
- meaning
(意図、目的) - purpose
(目的) - aim
(狙い)
それぞれを用いた例文は以下のようになります。
- Please explain about the meaning of your action.
(あなたの行動の意図を教えてください。) - I was impressed with the purpose of incorporation of the company.
(その会社を設立した趣旨に感銘を受けた。) - He didn’t agree with the aim of a new project.
(新規プロジェクトの趣旨に、彼は賛成しなかった。)
まとめ
以上、「主旨」と「趣旨」の違いとその使い分けについて詳しく解説しました。
- 主旨:考え・話し・物事の中心となるもの
- 趣旨:何かを行う際の根本にある考えや狙い
意味が似ている「主旨」と「趣旨」ですが、しっかりと違いを理解し、正確に使い分けていきましょう。ただ、実際のところ、「主旨」と「趣旨」を同義で捉えている場合もあります。「主旨」を伝えていながら、言外に含まれる目的や意図を訴えている場合は、「趣旨」とも言えるためです。
そのため、公文書や新聞紙等の報道機関では「趣旨」で統一されていることもあります。
そのため、迷ったときは「趣旨」を使うという考えでいても間違いではありません。