何かを見つけようとする行為である「探す」と「捜す」。この 2つ、混同してしまいがちですが、実は明確な使い分けがあります。皆さまは違いをご存知でしょうか。
今回は「探す」と「捜す」の違いについて解説します。
結論:欲しいものを「探す」、失くしたものを「捜す」。
一方、「捜す」とは失ったものを見つけようとする行為を指します。
「探す」をもっと詳しく
「探す」とは、欲しい物や見つけたい人を見つけようとする行為のことです。就きたい職や住みたい新居などを見つけようとする時は「探す」を用います。
また、後に解説する「捜す」と違って、「探す」は、見つけようとする対象が存在しているかどうかは明確ではありません。
「探査」「探検」「探索」という熟語がありますが、どちらも未知の土地や事柄を調べることを指します。たとえば、「火星探査機」は、何があるかわからない火星で調べ物をする機器です。合わせて覚えておくと良いでしょう。
注意が必要な言い回しに「宝探し」があります。宝とされるものは、場合によっては存在することが事前にわかっているかもしれませんが、欲しいものを見つけようとする行為に重点が置かれているため「探す」を用います。
「探す」の使い方の例
- デパートで洋服を探す。
- すぐ人の粗(あら)を探すのは彼の悪い癖だ。
- 大学の近くの学生アパートを探す。
②の「人の粗」とは、人の欠点のことです。隙を突こうとして、相手の欠点を見つけようとすることは、「人の粗探し」と言います。当人にとっては、欠点があってほしいということです。
③では、あるかわからないものの、自分の理想に近いアパートを見つけようとしているため「探す」を用いています。
「探す」の英語訳
「探す」は、英語で “look for” と言います。例文としては、以下のようなものが考えられます。
(彼女は、友達が欲している本を探している。)
例文に描かれているように、欲しいが、あるかわからないものについて用いるのが “look for” です。
「捜す」をもっと詳しく
「捜す」とは、失くした物や見失った人を見つけようとする行為を指します。たとえば、迷子や落とし物などを見つけようとする時は「捜す」を用います。
また、「捜す」の場合は「探す」と違って、見つけようとする対象が存在することは明らかです。「捜査」や「捜索」という言葉がありますが、これらは犯人や隠されている物といった、存在するとわかっているものを見つけようとする行為です。合わせて覚えておきましょう。
「捜す」の使い方の例
- 失くした時計を捜す。
- 事件を起こした凶悪犯を捜す。
- 恋人を捜す。
「捜す」の英語訳
「捜す」は英語で search for と言います。例文としては、以下のようなものが挙げられます。
(母は、失くした時計を家中で捜した。)
紛らわしい例
「探す」と「捜す」は、同じ対象にも用いることができます。つまり、漢字による意味の違いを把握していないと、ニュアンスを取り違える可能性があります。次の3つの文を見てみましょう。
- 鞄をさがす。
- 母をさがす。
①では、「探す」の場合、当人が鞄を欲していて、店内等で見つけようとしているという意味になります。
一方、「捜す」の場合、失くした鞄を見つけようとしているさまを表します。
②では、「探す」の場合、母が存在するかがわかっていない状況を意味します。つまり、なんらかの理由で生き別れてしまった母を、生死も不明ながらもなんとか見つけようとしていることを指します。
一方、「捜す」の場合は、一緒に暮らしていながら、突如行方不明になってしまった母を見つけようとするというニュアンスになります。
まとめ
以上、この記事では、「探す」と「捜す」の違いについて解説しました。
- 探す:欲しいものを見つけようとすること
- 捜す:失くしたものを見つけようとすること
「探す」と「捜す」はどちらも何かを見つけようとする行為ですが、存在が不明の欲しいものは「探す」、失ったものは「捜す」を用いるという違いがあります。きちんと使い分けましょう。