みなさんは「メーカー希望小売価格」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
この言葉は売り場でもたまに見ますし、テレビショッピングでもよく見る言葉なのではないでしょうか。
そして、実際の価格が「メーカー希望小売価格」よりだいぶ低くなっていると、お得だと感じますよね。
ただ、すべての商品に「メーカー希望小売価格」がついているわけでなく、「定価」になっている商品もあります。
では、「定価」と「メーカー希望小売価格」の違いは何なのでしょうか。
今回はそれについて解説していきたいと思います。
結論:小売店が変更できるかどうかが違う
一方、「メーカー希望小売価格」はメーカーが小売店に対して売ってほしい価格を示したもので、強制力はありません。
つまり、「定価」と「メーカー希望小売価格」では小売店が価格を変更できるかどうかが異なるのです。
「定価」をもっと詳しく
定価とは定められた価格のことで、小売店はこれを変更することができません。
つまり、小売店は値引きをすることができなければ、値上げをすることもできないのです。
そして、メーカーが出荷先に販売価格を指定して変えさせない行為は独占禁止法で禁止されています。
しかし、これには例外があって、新聞や書籍やたばこなどには今でも定価がつけられています。
ちなみに、書籍や新聞で定価が容認されているのは文化の振興上必要だとされているからです。
また、以前はメーカーが小売店に商品を卸す時につけた値段のことを「定価」と呼んでいましたが、現在では上記のような意味で使われています。
「メーカー希望小売価格」をもっと詳しく
メーカー希望小売価格はメーカーが小売店に対して売ってほしい価格を示したもので、強制力はありません。
そのため、実際に何円で売るかは小売店の自由です。
そして、昔はほとんどの商品にメーカー希望小売価格がつけられていました。
ちなみに、メーカーがメーカー希望小売価格をつけることは安売り合戦でそのメーカーの製品の価格が大きく崩れることを防ぐ意味がありました。
しかし、1980年代に家電業界などにおいて値下げ競争が激しさが増し、「メーカー希望小売価格の50%オフ」なども当たり前になっていきました。
すると、公正取引委員会は「製品の価格を市場価格に近付ける努力をするように」という通達を出しました。
つまり、過度な値下げは控えるように、という通達を出したのです。
また、メーカー希望小売価格と実際に販売されている値段が大きく違うものになってしまったために消費者の中にも混乱が広がっていました。
そして、「メーカー希望小売価格の50%オフ」などの表示は景品表示法(※1)に違反している可能性もありました。
例えば、ただ1万円で売っているよりも、メーカー希望小売価格が2万円のものが1万円で売っているほうがずっとお得に感じますよね。
これは景品表示法で細かく定められている「不当表示」にあたる可能性がありました。
このことから、メーカーもメーカー希望小売価格をつけることを控えるようになり、「オープン価格」をつけるようになりました。
「オープン価格」とは出荷価格だけメーカーが決め、実際に販売する価格は小売店に一任するというものです。
- 景品表示法(※1):商品を過度にお得に見せること、過度な景品をつけることを規制する法律
まとめ
以上、この記事では、「定価」と「メーカー希望小売価格」の違いについて解説しました。
- 定価:定められた価格のことで、小売店はこれを変更することができない
- メーカー希望小売価格:メーカーが小売店に対して売ってほしい価格を示したもの
「定価」と「メーカー希望小売価格」はよくみる表現ですが、現在では「オープン価格」で売られていることが一番一般的です。
これらの価格に注意して売り場を眺めてみるのも楽しいかもしれません。