今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「リードタイム」です。
「リードタイム」の意味や使い方、語源、類義語、「納期」との違い、「リードタイム」の段階、「サイクルタイム」との違いについてわかりやすく解説します。
このページの目次
「リードタイム」とは?
「リードタイム」の意味を詳しく
「リードタイム」とは、発注されてから納品するまでに必要な時間のことです。
開発・生産・流通などのすべての段階で使われる言葉です。
また、使う人の立場によっても意味が少し変わってきます。
売り手の「リードタイム」とは、商品を受注してから納品するまでにどれくらいの期間が必要かを表します。
受注とは、注文を受けることです。
買い手の「リードタイム」は、商品を頼んでから手元に届くまでにどれくらいの時間がかかるかという意味になります。
「リードタイム」を日本語に訳すと「手配番数」や「先行日数」になります。
「手配番数」は「手番」と略されることもあります。
製造業などでは「リードタイム」ではなく「手配番数」が使われることもあるようです。
売り手は「リードタイム」を短縮することで他の企業との競争に勝つことができます。
例えば、商品の注文を受けてから製造するのでなく、最初から商品を用意しておけば「リードタイム」を大幅に短縮することができます。
ただし、あまりに大量に作ってしまうと、売れなかった場合に破棄が出てしまうというデメリットもあります。
このようなメリット・デメリットを考えながらバランスを取る必要があるのです。
「リードタイム」の使い方
- リードタイムを8日間から6日間に短縮するのが目標だ。
- 九州内であれば、配送リードタイムは2日で済みます。
- この部品を2000個発注した場合、リードタイムはどのくらいになりますか?
➊と➋は、売り手側が使う「リードタイム」です。
それに対して➌は、買い手側の言う「リードタイム」です。
「リードタイム」の語源
「リードタイム」の語源は英語の “lead time” です。
カタカナ語の「リードタイム」と英語の “lead time” にの意味は同じです。
“lead” とは、「導く」「案内する」「もたらす」「運ぶ」などの意味を持つ英単語です。
「リードタイム」の類義語
「リードタイム」には以下のような類義語があります。
- 所要時間
- 開発期間
- 製造期間
- 配送期間
「納期」との違い
「リードタイム」に意味の近い言葉で「納期」という日本語があります。
これらの違いは何でしょうか。
「納期」は、「納品の期限」を指す言葉なので「〇月〇日」のように日付で表されます。
それに対して「リードタイム」とは、「納品までにかかる時間」を表す言葉なので「〇日間」と表します。
ちなみに、納品までに休業日が挟まれている場合、基本的に休業日はカウントしません。
休業日を除いた日数が「リードタイム」になります。
「リードタイム」の段階
「リードタイム」は、大きく分けて4段階に区別することができます。
- 開発リードタイム
- 調達リードタイム
- 生産リードタイム
- 配送リードタイム
➊の「開発リードタイム」とは、商品の開発までに必要な時間を指します。
とは言っても、商品を完璧に作り上げるところまでの時間ではありません。
「どんな商品を作るか」という企画と「どんな製法で、どこでどのように作るのか」という計画の段階を指すのです。
➋の「調達リードタイム」は、商品を作るための素材を用意するのに必要な時間のことです。
原材料はもちろん、商品を作るのに必要な人や場所も用意する必要があります。
➌の「生産リードタイム」では商品を生産するのに必要な時間のことです。
➊の計画をもとに、➋で集めた素材を使って商品を実際に生産していきます。
➍の「配送リードタイム」とは、読んで字のごとく、商品の配送にかかる時間のことを指します。
この「配送」が終わって、やっと商品が「納入」されたことになるのです。
➊から➌をまとめて「生産リードタイム」と呼ぶ場合もあります。
このように「リードタイム」といっても様々な種類があります。
どの段階を指しているのかという意思疎通をきちんととることが重要になります。
「サイクルタイム」との違い
「リードタイム」とよく似た言葉で、「サイクルタイム」というカタカナ語があります。
「サイクルタイム」とは、一連の作業が完了するのにかかる時間のことです。
例えば、工場で次のような作業が繰り返し行われるとします。
- 部品を持ってくる
- 組み立てる
- 加工する
- チェックする
➍の後には、また➊に戻ります。
この➊から➍までの作業にかかる時間が「サイクルタイム」です。
ここまでの説明では「リードタイム」との違いがあまりないように見えます。
しかし、「リードタイム」と「サイクルタイム」は別物です。
例えば、➋の工程に4分、➌の工程に2分かかるとします。
➌の工程は➋の工程が終わってからしかできないので➋と➌のサイクルタイムは6分になります。
しかし、➋のラインを1本から2本に増やすと➌の工程は4分間隔ではなく2分間隔で作業することができるようになります。
この場合、➋と➌のサイクルタイムは縮んで4分になります。
つまり、工場の設備や回転効率によって「サイクルタイム」は伸びたり縮んだりするのです。
それに対して、例のように➋のラインが2本に増えたとしても「リードタイム」は変わりません。
「リードタイム」とは、あくまで「一つの商品を納品するまでにかかる時間」のことだからです。
ラインが2本に増えて効率が上がったとしても、数ある中の1つの部品に注目して見ると、組み立てるまでに必ず6分かかってしまうのです。
まとめ
以上、この記事では「リードタイム」について解説しました。
英語表記 | リードタイム(lead time) |
---|---|
意味 | 商品の発注から納品までにかかる時間のこと |
語源 | 英語の “lead time” から |
類義語 | 所要時間、生産期間、開発期間、配送期間 |
「納期」との違い | 納期は「日付」でリードタイムは「日数」で表す |
「リードタイム」の段階 | 開発・調達・生産・配送の4段階 |
「リードタイム」は製造業から販売業目で広い場面で使われる言葉です。
売り手だけではなく、買い手の立場から使うこともあります。
使いこなせるようになりましょう。