「チアリーディング」と「チアダンス」の違いとは?共通点まで解説

違いのギモン

「チアリーディング」と「チアダンス」の違いは何かと聞かれたら、あなたはどのように答えますか。「チア」と略して、両者を同じものと捉えてしまっている方も多いのではないでしょうか。

実は、「チアリーディング」と「チアダンス」には相違点があるのです。そこでこの記事では、両者の違いについて解説します。

結論:パフォーマンスの内容が異なる

「チアリーディング」では、ダンスと組体操の両方を行います。一方、「チアダンス」では、ダンスのみを行います。

「チアリーディング」をもっと詳しく

由来

「チアリーディング」は、1880年頃、アメリカの大学で誕生しました。学内のフットボールチームを応援するために男子学生らがチームを組み、パフォーマンスを行ったのがはじまりです。

1920年代からは女性が行うことも多くなりましたが、現在でも男女混合チームや、男性のみで編成されるチームがたくさんあります。

はじめはスポーツを応援するためのパフォーマンスにすぎなかった「チアリーディング」ですが、1980年代には正式な競技として認められました。その後、チームごとにパフォーマンスを競い合う大会が開催されるようになりました。

こうして「チアリーディング」は、独立したスポーツになったのです。

特徴

「チアリーディング」の演技は、ダンスと “スタンツ” で構成されています。 “スタンツ” とは、組体操のようなアクロバティックなパフォーマンスのことです。

ダンスだけでなくスタンツも行う「チアリーディング」は、常に怪我との背中合わせです。このため、お年寄りや年齢が低すぎる子どもが行うのは危険です。

 

このように、「チアリーディング」はダンスとアクロバットの両方を行う競技で、体力や高い身体能力が必要なのです。

「チアダンス」をもっと詳しく


チアダンスは、「チアリーディング」が派生してうまれたものです。「チアリーディング」のダンス部分に特化しているため、アクロバティックなパフォーマンスは行いません。

このため、幼い子どもも安心して行うことができます。また、日本では、多くの高齢者が、運動や楽しみとしてチアダンスに取り組んでいます。

 

「チアリーディング」が競技として独立している一方、「チアダンス」は競技としてだけでなく、スポーツなどの応援としても行われます。

日本の学校では、チアダンスチームが、吹奏楽部とともに運動部の試合を応援するシーンが多く見受けられますね。受験生を応援するために、在校生のチアダンスチームが踊りを披露することもあります。

このように、ダンスのみを行う「チアダンス」は幅広い年代の人が行うことができるもので、競技としても応援としても存在しているのです。

 

なお、「チアダンス」には、次の4種類のダンスがあります。競技としての「チアダンス」では、これらの部門ごとに競われます。

①ポンポンダンス

「ポンポン」とは、光沢のある玉房上の用具です。写真で女性が手に持っているのが「ポンポン」ですね。

ポンポンダンスでは、このポンポンを両手に持って踊ります。

②ラインダンス

踊り手全員が横一列に並んで、足上げなどの統一感のある動きをするのがラインダンスです。

③ジャズダンス

ジャズ風の音楽に合わせてリズミカルに踊るダンスです。

④ヒップホップダンス

アップ(上)とダウン(下)の2つの動きをベースに踊るダンスです。

「チアリーディング」と「チアダンス」の共通点


「チアリーディング」が派生して「チアダンス」がうまれたという経緯からもわかるように、両者はよく似ています。「チアリーディング」と「チアダンス」には以下3つの共通点があるのです。

①大切にしている精神

「チアリーディング」と「チアダンス」は、次の3つのスピリット(精神)を重んじています。

(1) チアスピリット

「チアリーディング」は、競技として独立したものの、もともとはスポーツを応援するためのものでした。「チアリーディング」が派生した「チアダンス」は、競技としてだけでなく、応援としても存在し続けています。

つまり、「チアリーディング」と「チアダンス」の根底には、人を元気にさせたり、笑顔にさせたりするという目標があるのです。「チアリーディング」と「チアダンス」の「チア」が、 “cheer (元気づける、声援を送る) ” という意味であることからも、人を励ますことを重んじていることがわかりますね。

人を笑顔にさせるためには、演技をする側も笑顔でいなければなりませんね。ですから、「チアリーディング」や「チアダンス」では明るくパフォーマンスをすることが求められます。

このように、笑顔で人を応援する心意気を「チアスピリット」というのです。

(2) ポジティブスピリット

常に前向きな姿勢をもたなければ、チアスピリットは持続しません。ですから、「チアリーディング」も「チアダンス」も、ポジティブな気持ちをもつことが求められています。

(3) ボランティアスピリット

人を元気づけたいという自発的な気持ちは、思いやりから生まれます。また、「チアリーディング」も「チアダンス」も、団体競技であるため、団結をはかるためにはチームメイトどうしで助け合う必要があります。

さらに、「チアリーディング」と「チアダンス」は、演技を通して社会に貢献するという目標も掲げています。このように、「チアリーディング」と「チアダンス」ではボランティア精神が大切にされているのです。

②ポンポンを使うこと

「チアダンス」にはポンポンを両手に持って踊る「ポンポンダンス」があると解説しました。「チアリーディング」のダンス部分でも、ポンポンはよく使われる用具です。

このことから、ポンポンを使用することも両者の共通点といえます。

③競技時間

「チアリーディング」と「チアダンス」の競技では、2分30秒のなかで演技をするというルールが共通しています。その時間内での表現力や完成度が審査され、チームごとの順位が決まるのです。

補足:「チアリーディング」と「チアダンス」を表す英語

ところで、「チアリーディング」と「チアダンス」を英語でどのように表すのか、気になりませんか。

「チアリーディング」は、英語でも “cheerleading” といいます。

しかし、「チアダンス」という表現は英語には存在しません。 “cheerleading” とも表しますが、「チアリーディング」との区別を明らかにしたいときには “pom dance” と表すこともできます。

このように、「チアダンス」は和製英語ですから、英語で表現するときには注意しましょう。

まとめ

以上、この記事では、「チアリーディング」と「チアダンス」の違いについて解説しました。あらためて、両者の相違点をおさらいしましょう。

  • チアリーディング:ダンスとアクロバットを行う競技。幼すぎる子どもや高齢者には危険。
  • チアダンス:ダンスのみを行う競技・応援。子どもから高齢者まで行うことができる。

「チアリーディング」や「チアダンス」を始めようと思っている場合は、ダンスだけでなくアクロバティックな演技も行いたいのか、ダンスを極めたいのかを考えてみましょう。それぞれに異なる楽しさがありますね。

また、見ている方も、「チアリーディング」のパフォーマンスと「チアダンス」のパフォーマンスからは異なる興奮を得ますね。今後は「チアリーディング」と「チアダンス」の違いに注目しながら、元気や勇気をもらいましょう。