今回ご紹介する言葉は、故事成語の「瓜田に履を納れず(かでんにはくつをいれず)」です。
「瓜田に履を納れず」の意味、由来、例文、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「瓜田に履を納れず」をざっくり言うと……
読み方 | 瓜田に履を納れず(かでんにはくつをいれず) |
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意味 | 疑われるような行為は避けよという戒め |
由来 | 『文選』の文章から |
英語訳 | He that will do no ill, must do nothing that belongs thereto |
このページの目次
「瓜田に履を納れず」の意味をスッキリ理解!
「瓜田に履を納れず」の意味を詳しく
「瓜田に履を納れず」とは、疑われるような行為は避けよという戒めです。
ちなみに、「履を入れる」は「靴に足を入れる」という意味です。
そして、「瓜田に履を納めず」「瓜田の履」などと言うこともあります。
また、「瓜田に履を納れず李下に冠を正さず(かでんにくつをいれずりかにかんむりをたださず)」と続けて言うこともあります。
ちなみに、「正しい人は危険なものに近づかない」という意味で使うのは間違いなので注意が必要です。
これは「君子は危うきに近寄らず」との混同です。
「瓜田に履を納れず」の例文
- 「瓜田に履を納れず」と言うだろう。わざわざ疑われるようなことはするな。
- 「瓜田に履を納れず」の教えを守って、満員電車では手を上にあげ、痴漢と勘違いされないようにしている。
- それは怪しまれても仕方がない、次からは瓜田に履を納れないようにするんだな。
➌のように、「納れず」を活用させることもあります。
「瓜田に履を納れず」の由来
「瓜田に履を納れず」の出典は『文選(もんぜん)』の「古楽府(こがふ)・君子行」という章です。
この章には「君子は未然を防ぎ、嫌疑の間(かん)に処(お)らず、瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず」という言葉が出てくるのです。
この言葉は「優れた人物は事件が起こる前にそれを予防し、あらぬ疑いを抱かれるような立場に身を置かない。瓜(うり)の畑では靴をを履きなおすようなことはせず、スモモの木の下では曲がった冠(かんむり)を正すようなことはしない」という意味を表しています。
もし瓜の畑で靴を履きなおしてしまうと、瓜を盗んでいるのではないかと疑われてしまいますよね。
『文選』は中国の南北朝の時代、昭明太子(しょうめいたいし)によって編纂された詩文集です。
文学者131名による800余りの作品を37のジャンルに分類して収録しています。
そして、この本は多くの文学作品を網羅しているため、中国古典文学の研究者にとっては必読書とされています。
「瓜田に履を納れず」の英語訳
「瓜田に履を納れず」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- He that will do no ill, must do nothing that belongs thereto.
(悪事をすまいと思うものは悪事と思われることもしてはならない)
まとめ
以上、この記事では「瓜田に履を納れず」について解説しました。
読み方 | 瓜田に履を納れず(かでんにはくつをいれず) |
---|---|
意味 | 疑われるような行為は避けよという戒め |
由来 | 『文選』の文章から |
英語訳 | He that will do no ill, must do nothing that belongs thereto |
悪いことをしていはいけませんが、疑われるようなこともするべきではないんですね。
私たちも「瓜田に履を納れず」に生活していきたいものです。