「苦情」と「要望」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

みなさんは「苦情」と「要望」をしっかり使い分けられますか?

なんとなくイメージの違いはわかっても、しっかり使い分けられない人もいるのではないでしょうか。

この記事では、そんな「苦情」と「要望」の違いをわかりやすく解説します。

結論:「苦情」は不満の訴え、「要望」はお願い

「苦情」とは、不利益を被った時に、不平不満を言うことです。

一方、「要望」はあることを実現してもらうことをお願いすることです。

「苦情」も「要望」も相手に対して何かを訴えることですが、その訴えの内容によって使い分けられています。

「苦情」をもっと詳しく

「苦情」とは、他人から不利益を被った時に、その際の不満を相手に訴えることです。

基本的には、自分に非がなく、相手のせいで被害を被ったと思われる場合に用います。

「苦情」の使い方の例

  1. レストランのハンバーグに異物が入っていたので、苦情を訴えた。
  2. 近所の工事現場の騒音がうるさかったので、苦情を入れた。
  3. 不当な理由でクビにされたら苦情を申し立てるべきだ。
このように、自分に完全に非がないと思われる場合にのみ、「苦情」が使えます。一方、そうでない場合は「言いがかり」などと言われてしまうので注意しましょう。

また、「苦情」は「訴える」、「入れる」、「申し立てる」などといった動詞とともに用いられます。「訴える」は比較的深刻な不利益を被った時に用います。また、「申し立てる」は正式に「苦情」を伝えるときに用います。

「苦情」の英語訳

「苦情」は英語では全く同じ意味になる単語はなかなか存在しないので、近い意味の“complaint”(不平、不満)と訳されます。

「苦情」を日本語の「クレーム」と同じ意味だと思って、”claim”(伝える、訴える)と訳してしまう人が多いですが、完全に別の意味ですので注意しましょう。

「苦情」と「クレーム」の違い

「苦情」と似た意味の言葉として、「クレーム」があります。

一見、似たような言葉ですが、「苦情」はどちらかというと他者から被った不利益によって不平不満を抱いている感情自体を指すことがあります。一方で、「クレーム」はその不平不満を訴えることのみを指します。

また、使う場面にも少々差があります。「クレーム」はレストランをはじめとするサービス業者と消費者との間で発生した苦情や、賠償や補償などが発生する苦情を指します。一方で、「苦情」はより広い場面で用いることができます。

また、先程の解説からもわかる通り、「クレーム」と英語の”claim”も意味が違うので注意しましょう。

「要望」をもっと詳しく

「要望」とは、自分の望みなどを実現してもらえるようお願いすることです。

「苦情」と違って、不平不満などマイナスな感情は含まれない点が特徴です。

「要望」の使い方の例

  1. 今回はお客様のご要望に添うことができませんでした。
  2. 上司に職場環境改善の要望を伝えた。
「要望」は、「要望に添う」、「要望に答える」、「要望を満たす」などの言い回しがあります。また、単純に「要望する」とも言うことができます。

「要望」と「希望」の違い

「要望」の類義語として「希望」があります。「希望」とは、単純に実現したいことを強く望むことを指します。

「要望」は現実的な望み、「希望」は実現するかどうかわからない望みも現実的な望みも含む、という点が異なっています。

まとめ

以上、この記事では、「苦情」と「要望」の違いについて解説しました。

  • 苦情:他人から被った不利益によって抱いた不平不満を訴えること
  • 要望:実現してほしいことを相手にお願いすること
「苦情」と「要望」の違い、それから類語の「クレーム」や「希望」の意味も理解できましたか?

日常会話で間違えないよう、気をつけていきたいですね。