「食い扶持」の意味とは?「食い扶持を減らす」って何?類語まで解説

言葉

「食い扶持」とは「食べ物を買うためのお金」という意味です。

「食い扶持」は「くいふじ」と読みそうになりますが、正しい読みは「くいぶち」です。

ほとんど使われることのなくなった言葉なので、初めて目にした人も多いかもしれませんね。

この記事では、「食い扶持」の意味や使い方をわかりやすく解説していきます。

「食い扶持」をざっくり言うと…
  • 「食い扶持」の意味は「食べ物を買うためのお金
  • 「食い扶持」のよくある言い回しは「食い扶持を稼ぐ」「食い扶持をつなぐ」など
  • 「食い扶持」の使い方の注意点は「現代ではほとんど使わない」など
  • 「食い扶持」の類義語は「食費」「食い代」「米塩の資」など
  • 「食い扶持」の英語訳は「money for food」「food expenses」「the cost of one’s board」など

☆「食い扶持」をざっくり言うと……

読み方食い扶持(くいぶち)
意味食べ物を買うためのお金
類義語食費、食い代、米塩の資など
英語訳money for food(食い扶持)、food expenses(食い扶持)、the cost of one’s board(食い扶持)など

「食い扶持」の意味

扶持ぶち

食べ物を買うためのお金

「食い扶持」とは「食べ物を買うためのお金」という意味です。

ただのお金ではなく、「生きていくために必要不可欠なとても重要なお金」と強調する意味合いがあります。

そこから転じて、「生活費」という広い意味でも使われます。

ここからは、「食い」と「扶持」に分けて、それぞれの意味を詳しく解説します。

「食い」の意味

「食い扶持」の「食い」は動詞「食う」が変化したものです。

「食う」にはさまざまな意味があります。

  1. 食べる。食べ物を噛んで飲み込む
    例:米を食う
  2. 生活する
    例:貧しくて食っていけない

「食う」は食べるという意味です。

食べることは生活することにつながるため、「食う」は「生活する」という意味ももちます。

「扶持」の意味

扶持には3つの意味があります。

扶持ぶち

  1. 助けること
  2. 扶持米(ぶちまい)
  3. 給与を与えて家臣にすること

「食い扶持」の「扶持」は、②「扶持米」の意味です。

扶持米とは、江戸時代に主君が家臣に労働の代償として与えていた米のことです。

江戸時代には、労働の代償としてお金ではなく扶持米をもらっていました。

そのため、扶持米は、生活に必要不可欠なとても重要なものでした。

「扶持」がつく語
  • 捨て扶持(すてぶち)
    江戸時代、歴史ある家や功績をあげた家の当主が亡くなったとき、遺族に与えていた扶持米。
    役に立たない者に、捨てるつもりで与えるお金。

 

「食い」と「扶持」を合わせて、「食い扶持」は「生活するために必要不可欠なもの」を表します。

「食い扶持」の表記

「食い扶持」は、「食扶持」と表記することもあります。

「食い扶持」の使い方

「食い扶持」は話し言葉なので、会話や台詞の中で使います。

「食い扶持」は主に以下のような言い回しで使われます。

「食い扶持」の言い回し
  • 食い扶持を稼ぐ
    生活費を稼ぐこと
  • 食い扶持をつなぐ
    生活を維持(いじ)すること
  • 食い扶持を入れる
    家庭などに生活費を入れること
  • 食い扶持を得る
    生活費を手に入れること。転じて、職を得ること
  • 食い扶持を失う
    生活費を失うこと。転じて、職を失うこと
  • 食い扶持を減らす
    生活費を減らすこと
  • 食い扶持がない
    生活費がないこと
  • 食い扶持に困る
    生活費がなくて困ること
  • 食い扶持を探す
    生活費を得るための職を探すこと

「食い扶持」の例文

「食い扶持」を使った例文は、以下のようなものがあります。

  1. 食い扶持を稼ぐために、故郷を離れて上京した。
  2. 今月はこれで食い扶持をつながなければならない。
  3. 就職したら、実家に食い扶持を入れる予定だ。
  4. 生活していくためには、食い扶持を得る必要がある。
  5. まだ幼い子供がいるのに、食い扶持を失うわけにはいかない。
  6. 食い扶持を減らすために、子どもを売ったり殺したりしていた事実がある。
  7. 我が家には犬を飼うことのできる食い扶持はない。
  8. 世の中が不景気なので、食い扶持に困っている人が多い。
  9. 彼は失業したので、食い扶持を探している。

「食い扶持」の使い方の注意点

「食い扶持」を使う際には、以下のような注意点があります。

  1. 現代ではほとんど使わない
  2. 公的な場面では使わない

それぞれ見ていきましょう。

注意点①現代ではほとんど使わない

「食い扶持」は、現代ではほとんど使われません

なぜなら、「食い扶持」の「食い」が丁寧さに欠ける印象があるため、使うことをためらう人が多いからです。

注意点②公的な場面では使わない

「食い扶持」は話し言葉なので、公的な場面で使用することは適切ではありません

「食い扶持」の類義語

「食い扶持」には以下のような類義語があります。

  • 食費
    食べ物にかかるお金
  • 食事代
    食べ物にかかるお金
  • 食い代(しろ)
    食べ物にかかるお金
  • 生活費
    生活をしていくために必要なお金
  • 米塩の資(べいえんのし)
    生活をしていくために必要なお金

「食い扶持」の英語訳

「食い扶持」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • money for food
    (食べ物のためのお金)
  • food expenses
    (食費)
  • the cost of one’s board
    (食費)
  • earn one’s keep
    (生活費を稼ぐ)
  • earn a living
    (生計を立てる)
  • sustain
    (維持する)

「食い扶持」のまとめ

以上、この記事では「食い扶持」について解説しました。

読み方食い扶持(くいぶち)
意味食べ物を買うためのお金
類義語食費、食い代、米塩の資など
英語訳money for food(食い扶持)、food expenses(食い扶持)、the cost of one’s board(食い扶持)など

現代では安く食べ物を手に入れることができるので、「食い扶持に困る」という状態はイメージがつきにくいかもしれませんね。

「食い扶持」に困らないためには、いざというときに備えて貯金をしておくことが大切です。

ABOUT US

まや
自称、誤字キラー。 Web記事でも誤字脱字を見逃しません。言葉が大好きです。 大学では言葉遊びについて研究していました。マイブームは日本語ラップを聴くこと。