今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「空中楼閣(くうちゅうろうかく)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「空中楼閣」をざっくり言うと……
読み方 | 空中楼閣(くうちゅうろうかく) |
---|---|
意味 | 根拠がなく、現実的ではない考えや議論のこと |
由来 | 『間情偶寄』 |
類義語 | 空中楼台、海市蜃楼、空理空論など |
英語訳 | air castle(空中の城、空中の楼閣) |
「空中楼閣」の意味をスッキリ理解!
「空中楼閣」の意味を詳しく
「空中楼閣」とは、根拠がなく、現実的ではない考えや議論のことです。
また、現実からかけ離れた空想的な物事のことや、単に、気象現象の「蜃気楼」のことをいう場合もあります。
「楼閣」とは、高い建物のことです。
空中に高い建物を建設することは、言うまでもなく不可能ですよね。つまり、「空中楼閣」とは、根拠がなく現実的でないことを「空中に築いた高い建物」にたとえた表現なのです。
空中楼閣は、「くうちゅうのろうかく」と読むこともあります。
「空中楼閣」の使い方
「空中楼閣」は、以下のように使われます。
- 彼の計画には実現性がなく、ただ空中楼閣に過ぎない。
- 僕は、あまりも疲れが溜まった日に「高級マンションに住み贅沢な生活をする」という空中楼閣を想像をしてぼーっとすることがある。
- ネット上の情報の中には空中楼閣もあるだろうから、きちんと取捨選択することが必要だ。
②は、現実的ではないことを想像することを言っています。現実的な制約が何もない想像は、願望のままに考えることができるため気が楽なものです。
③は、ネット上の情報には根拠のないものがあるという意味です。最近では、根拠のない情報を元に炎上したり、誰かを誹謗中傷をするケースが増えていますね。自分でよく考え、情報を取捨選択することが大切です。
「空中楼閣」の由来
「空中楼閣」は、『間情偶寄(かんじょうぐうき)』という中国の随筆集に由来しています。
これは、劇作家・小説家・出版者であった李漁(りぎょ)という人物が著したものです。
「空中楼閣」の類義語
「空中楼閣」には以下のような類義語があります。
- 空中楼台(くうちゅうろうだい):根拠がなく、現実的ではない考えや議論のこと
- 砂上楼閣(さじょうのろうかく):実現する可能性が全くない計画のこと、物事が長く続かないこと
- 海市蜃楼(かいししんろう):現実的ではない考えや根拠のない理論のこと、蜃気楼のこと
- 空理空論(くうりくうろん):現実とかけ離れていて、実際には何も役に立たない理論のこと
- 按図索驥(あんずさくき):理屈だけで、実際には役に立たない意見ややり方のこと
- 机上空論(きじょうのくうろん):頭の中だけで考えた、実際に行うことが不可能な考えや意見のこと
空中楼台の「楼台」は、「楼閣」を言い換えたものです。
砂上楼閣は、「砂の上に建設した立派な建物は、地盤が弱いためにすぐに崩れてしまう」という意味から生まれた四字熟語です。空中楼閣では「空中に」楼閣を建設するという例えが用いられていましたが、砂上楼閣では「砂の上に」という例えが用いられています。
海市蜃楼の「海市」と「蜃楼」は、どちらも蜃気楼のことを表す言葉です。
空理空論の「空理」と「空論」は、どちらも現実離れしていて無益な理論や議論のことです。
按図索驥は、「図(ず)を按(あん)じて驥(き)を求む」とも読むことができます。
「空中楼閣」の英語訳
「空中楼閣」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- air castle
(空中の城、空中の楼閣) - castle in the air
(空中の城、空中の楼閣) - a visionary scheme
(実現不可能な計画、雲をつかむような計画)
まとめ
以上、この記事では「空中楼閣」について解説しました。
読み方 | 空中楼閣(くうちゅうろうかく) |
---|---|
意味 | 根拠がなく、現実的ではない考えや議論のこと |
由来 | 『間情偶寄』 |
類義語 | 空中楼台、海市蜃楼、空理空論など |
英語訳 | air castle(空中の城、空中の楼閣) |
空中楼閣なことばかり言っていても仕方がありません。
しかし、空中楼閣なことを想像をすることが悪いことばかりではないと思いませんか。
なぜなら、最初から何でもに出来る人などいないからです。たとえば、野球を習い始めたばかりの少年がホームランを打つことを夢見ることはいけないことでしょうか。事業を起こしたばかりの若社長が、六本木の一等地にオフィスを構えることを夢見ることは悪いことでしょうか。
初めは空中楼閣でも、それが目標となり、自分自身の努力や行動のエネルギーになりうるでしょう。
「空中楼閣」の意味と使い方を覚え、正しく使えるようにしましょう。