日本語は同じ音でも意味が異なり、それにともなって漢字も異なるものが多いですよね。「こわい」という言葉は、そんな紛らわしい言葉の1つです。
この記事では、「こわい」という言葉の3種類の漢字、「怖い」「恐い」「強い」の違いについて解説します。
このページの目次
結論:「怖い」と「恐い」は同じ意味で、「強い」だけ別の意味
「恐い」も、「怖い」と同様の意味です。
一方で、「強い」は力強く強情であるという意味を指します。
「怖い」をもっと詳しく
「怖い」の意味は、以下の通りです。
- 不安である
- 恐ろしい
- 不思議な力がありそうで不気味である
- 悪い結果が起こる気がして、近寄りたくない
- それに近づくと危害が加わりそうで、避けたくなる
つまり、自分にとって不利益な状況や、得体のしれない何かを感じて怖気づくような時に「怖い」を用いるのです。
「怖い」の使い方の例
「怖い」の例としては、以下のような使い方が挙げられます。
- 私は雷が怖い。
- 学校に怖い先生がいる。
- 夏には怖い話を聞きたくなる。
「恐い」をもっと詳しく
「恐い」の意味は、「怖い」と全く同じです。
ただ、「怖い」が常用漢字なのに対して、「恐い」は常用漢字ではありません。そのため、私的な文章では「怖い」と「恐い」のどちらを使っても問題ありませんが、公用文の時には「怖い」を使う必要がありますので注意してくださいね。
「恐い」の使い方の例
「恐い」は「怖い」と全く同じ使い方のため、先ほど「怖い」の例文として挙げた3つの例を参考にすると、以下のような使い方ができます。
- 私は雷が恐い。
- 学校に恐い先生がいる。
- 夏には恐い話を聞きたくなる。
「強い」をもっと詳しく
「強い」は、「怖い」や「恐い」とは全く意味が違います。
「強い」は「つよい」とも読み、力強く強情である、かたい、ごわごわしているという意味があります。
「強い」の使い方の例
「強い」には、以下のような使い方があります。
- 情けの強い人。
- 強いご飯。
①の「強い」は、「容易に言いなりになりにくい」「頑固」という意味で使われています。一方で、②の「強い」は「堅くて扱いにくい」「ごわごわしている」という意味で使われています。
ちなみに、皆さんご存知の「おこわ」も、②の例文と同じ意味で使われていたのが由来となっており、硬いご飯という意味の「強飯(こわめし)」から来ています。
「怖い」も「恐い」も「強い」も語源は同じ
「怖い」と「恐い」が同じ意味なのに対し、「強い」だけ意味が異なるのですが、これら3つの「こわい」はすべて語源が同じです。
「こわい」の語源は、古語の「こはし(こわし)」です。これは「強い」の意味の1つである「かたい」が原義です。そこから、「つよい」の意味が生まれ、「近寄りたくない」「おそろしい」といった意味を含むようになりました。
まとめ
以上、この記事では、3種類の「こわい」、「怖い」「恐い」「強い」の違いについて解説しました。
- 怖い:不安である、恐ろしい
- 恐い:「怖い」と全く同じ
- 強い:力強く頑固である、かたい、ごわごわしている
これでもう、「怖い」「恐い」「強い」の3つの意味の違いに悩むことはありませんね。
「怖い」と「恐い」が同じ意味なのに対して、「強い」のみ意味や用法が異なるので、注意しましょう。
また、「怖い」と「恐い」の意味が一緒でも、「恐い」は常用漢字ではないので、公用文を書く際には「怖い」という漢字を使うように注意してくださいね。