「高じる」とは「激しさが増す」という意味です。
なんとなく聞く表現ですが、しっかりと意味を理解している人は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は「高じる」の意味や使い方などについて簡単にわかりやすく解説します。
「高じる」の意味
激しさが増す
例:韓国グルメ好きが高じて、韓国旅行に行くことになった。
「高じる」は「激しさが増す」という意味です。
何か物事が劇的によくなる場合と、悪くなる場合のどちらにも使用します。
また、作戦の的中や、状況の好転の時に使うのは誤用です。
- 正:策を講じる
誤:作戦を高じる - 正:悪状況が高じる
誤:状況が高じる
「策を講じる」と言いますが、「作戦を高じる」とは言いません。
また、「状況が好転する」と言いたい時に「高じる」は使わず、「悪化する」という文脈で使用します。
ちなみに、「高じる」は「嵩じる」「昂じる」と表記することもありますが、常用漢字である「高じる」をもっともよく使います。
たとえば、韓国の料理が好きだったとします。
好きの度合いが高まることを「好きが高じる」と表現可能です。
そのため、「韓国料理が好きすぎて、実際に韓国旅行に行くことになった」ということを「韓国グルメ好きが高じて、韓国旅行に行くことになった」と言い換えられます。
「講じる」は別の単語
「講じる」は「講義を行う」「対策などを考えて実行する」という意味です。
漢字が異なると別の意味の単語になるので、注意しましょう。
「高じる」の使い方
「高じる」は日常的な会話で使用できます。
ただし、そこまで積極的に使用する単語ではなく、「転じて」などに言い換えられることも多いです。
実際の例文を見てみましょう。
- 趣味が高じて資格を取ることになった。
- この歌を聞けば、気分が高じる。
- 虫好きが高じて図鑑を購入した。
- 病気が高じて寝たきりになった。
- 政府に対する嫌悪感が高じる。
- 住みにくさが高じて引っ越しを行う。
- アイドル好きが高じて、本人に会いに行った。
- 不満が高じてデモが起こった。
- コーヒー好きが高じてカフェをオープンした。
- 病気が高じれば、入院せざるを得ない。
特に以下の表現をよく使うので、覚えておきましょう。
- 好きが高じる
- 趣味が高じる
- 病気が高じる
「病気が高じる」だけ、「病気が悪化する」という意味なので、注意です。
「高じる」の由来
「高じる」は文語の「高ずる」が変化して生まれました。
「高じる」と「高ずる」の意味は同じで、喋り言葉か書き言葉かが違うだけです。
江戸時代の文献などでも「高ずる」が登場します。
一方で、「病気が高じる」の「高じる」は、「病気が重くなる」という意味の「困(こうず)ずる」「極(こう)ずる」が由来だと言われています。
「高じる」の類義語
「高じる」の類義語には以下のようなものがあります。
- 昂る(たかぶる)
気分などが高まる - 激化する
激しくなる - 度を越す
桁外れである - 増長する
増してくる - エスカレートする
程度が大きくなる - 域を越える
想定の範囲外になる
「高じる」の英語訳
「高じる」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- develop into…
(転じて…になる) - grow worse
(悪化する)
英語には「高じる」に当てはまる単語がないので、別の言い回し表現を使った方がよいでしょう。
「〜が転じて」と言いたい時は“depelop into…”、「悪化する」と言いたい時は“grow worse”を使いましょう。
「高じる」のまとめ
以上、この記事では「高じる」について解説しました。
読み方 | 高じる(こうじる) |
---|---|
意味 | 激しさが増す |
由来 | 文語の「高ずる」 |
類義語 | 昂る(たかぶる) 激化する 度を越す など |
英語訳 | develop into… grow worse など |
「高じる」はたまに聞く表現ですが、普段から積極的に使う言葉ではありません。
しかし、意味が分からなければ困る場面もありますね。
ぜひ、この記事を参考にして意味や使い方を覚えましょう。