テレビや新聞、日常の会話などで「交代」「交替」という言葉はよく見かけます。どちらも仕事やスポーツなどにおいて役割などを入れかえる意味で使われますが、それぞれどのように使い分ければ良いのでしょう。
今回は「交代」「交替」の違いについて紹介していきます。
結論:入れかわりが何度も繰り返されるかどうか
「交替」は、役目などがかわることが繰り返される時に使います。
交代は前任者から後継者へと役割を引き継ぐ、交替は当番などを数人で入れ替わって行うイメージです。
「交代」をもっと詳しく
「交代」とは、順番や役回りなどが変わること、役目などが一回限りでかわることを言います。
「代わる」には「地位・役割・立場などを別のものに移すこと」という意味があります。
「交代」の本来の意味は、前の人が行っていた仕事を他の人が受け継いで行うという入れかわりの意味です。
いったんA→Bと引き継ぐと、B→Aにはならない一方的なイメージで、会社の代表の世代交代や政権交代などに使われます。どちらも、前任者が再び戻る可能性を積極的に想定していないですよね。
また、野球の試合でピッチャーを交代するときのように、試合中に選手がかわり、再び入れかわることがない場合などにも使います。
しかし、バレーボールのように一度選手が変わってもまた戻ることが可能なスポーツも、「交替」だけでなく「交代」が使われることがあります。ただ、この場合は、明確なローテーションを想定しているかどうかという観点から見ると良いでしょう。
バレーボールでは、一度退出した選手が再びプレーすることが可能ですが、果たしてその選手をもう一度出場させる可能性は 100%でしょうか。そうではないですよね。このように、確実に同じ対象をローテーションさせることが決まっていない状況においては「交代」を用いると良いでしょう。
結局は、交代と言うのか交替と言うのかはスポーツの種類によっても変わりますが、新聞などでは基本的に「交代」を使うことが多いです。
しかしながら、「参勤交代(※1)」のように慣用的に使われる例外もありますので、注意が必要です。「参勤交代」は、江戸時代、大名に領地と江戸を1年ごとに行き来させた制度です。大名に莫大な出費をさせて力を失わせ、徳川幕府への反対勢力を抑えることが目的だったとされています。
これまでの話の流れで考えると、1年というタイミングで確実なローテーションが想定されているため、「参勤交代」ではなく「参勤交替」となるはずです。
しかし、教科書やネットの区分でも「参勤交代」と表記されています。
日常生活において交代と交替、どちらを使うのかわからない場合は、交代を使うのが無難かもしれません。
「交代」の使い方
以下、「交代」を用いた例文です。
- 監督は、不調のエースを交代させた。
- この作業が終わったら誰か交代してくれないか。
「交替」をもっと詳しく
「交替」というのは、順番や役回りなどが変わること、かわって行うことが繰り返されることを意味します。
「かわって行うことが繰り返される」というのは、Aから一定期間Bにかわって、またAに戻ったり、Bに戻ったりすることをいいます。
A⇄Bの形で、「かわるがわる」というイメージです。
たとえば、仕事を交替する、家事を交替で行う、給食当番は交替制である、のようにAからBに交替するとき、再びBからAに交替することが想定されているときに使います。
スポーツにおいては、同じ選手を何度も出場させられる「交替」が認められていたりなど、ルールにより「交代」か「交替」のどちらを使うかが決まります。
一方、法律の条文を見てみると、一部例外はあるものの、勤務に関しては「交替」が使われていることが多いです。
順番に見張りをする警備の仕事や当番制の清掃の仕事などが当てはまりますね。
そのような主にローテーションで行われる仕事の勤務のシフトなどは、「交替勤務」という言葉にもあるように「交替」が使われることが多いです。
ただ、既述したように、新聞等では「交代」の表記に統一されていることが多いです。そのため、「交代」と「交替」の違いを押さえるにあたっては、「どういう場面で、どちらを用いることが多いのか」という観点で理解すると良いでしょう。
「交替」の使い方
以下、「交替」を用いた例文です。
- 30分交替でその仕事をしよう。
- そろそろ日勤の時間が終わり、夜勤の人と交替だ。
②では、1日の中で、日中と夜とで仕事を振り分けている様子が描かれています。文意としては、当事者が比較的長く同じ勤務地にいて、かつ日勤と夜勤のローテーションが確立されているといったニュアンスです。
まとめ
以上、この記事では、「交代」と「交替」の違いについて解説しました。
- 交代:役目などが一回限りでかわる時
- 交替:役目などがかわることが繰り返される時
仕事やスポーツなどにおいて、入れかわりが一回で終わる場合と、ローテーションで何度も入れかわる場合で違いがあるということですね。
例外もあるので注意が必要ですが、違いを理解することで使い分けが簡単になりますね。