「黄砂」と「PM2.5」の違いとは?被害までわかりやすく解説

違いのギモン

ニュースなどで、「黄砂」や「PM2.5」という言葉を耳にしたことがありますよね。

毎年、九州地方を中心に日本に大きな被害をもたらしています。

ただ、「黄砂」が飛来しているときと、「PM2.5」が飛来しているときで、どのような違いがあるのかご存知ない方も多いでしょう。

今回は「黄砂」と「PM2.5」の違いを説明します。それぞれの危険性についても解説しています。

結論:「黄砂」は砂、「PM2.5」は粒径2.5μm以下の汚染物質

「黄砂」は、砂漠から風に乗って飛来した砂や鉱物粒子を指します。

一方、「PM2.5」は、大気に浮遊する粒径2.5μm(マイクロメートル)以下の粒子状物質の総称です。「黄砂」と違い、汚染物質として認識されます。

どちらも健康被害を引き起こすため注意が必要です。

粒径とは、粒子の直径を指します。また、マイクロメートルはミリメートルの千分の一を表す単位です。

「黄砂」をもっと詳しく


「黄砂」は、中国内部にある砂漠などの乾燥地帯に吹く風によりもたらされる砂や鉱物粒子を指します。

上空数千メートルに舞い上がった「黄砂」は、偏西風に乗って日本に飛来します。2~4月にかけて飛来シーズンとなります。

粒子の大きさは、0.5~5μmほどです。スギ花粉の大きさがおよそ30μmであるため、非常に小さな粒子だとわかります。

 

飛来した「黄砂」は、様々な被害を引き起こします。例を以下にまとめました。

  • 建造物や車につもり、景観を損ね、細かい傷をつける。
  • 田畑や農作物の上に降りつもり、農作物に悪影響を与える。
  • 人が吸い込み、アレルギーや呼吸器疾患を引き起こす。
  • 大気がかすみ、視界の悪化を招く。

日本だけでなく、アジア一帯に「黄砂」の被害が出ており、その経済損失は年7000億円と言われています。

「黄砂」が人に及ぼす影響を詳しく

「黄砂」による主な症状を以下にまとめました。

  • 鼻水
  • くしゃみ
  • 目のかゆみ
  • 喘息
  • アレルギー性結膜炎

「黄砂」には、細菌やカビが付着していることがあるため、このような症状を引き起こすと考えられています。また空気中の汚染物質を吸着して飛来することもあります。

ただの砂だと侮らず、マスクをするなどの対策をとるようにしましょう。

「PM2.5」をもっと詳しく


「PM2.5」は、大気に浮遊する2.5μm以下の粒子状物質の総称です。「PM2.5」の「PM」は”Particouldete Matter”(粒子状物質)の略です。「黄砂」と違い、汚染物質として認識されます。

先述した「黄砂」も、小さいものは「PM2.5」にあたります。主成分はカーボン系の物質や硫酸塩、硝酸塩です。

「PM2.5」の発生源は、火山や黄砂、植物から発生する揮発性有機化合物であるVOCです。また近年では、燃焼や石油、排気ガスなどの工業活動からもVOCが発生しています。

粒子が小さいため、人の血管や肺胞などの組織に侵入して様々な障害を引き起こす可能性があります。

「PM2.5」が人に及ぼす影響を詳しく

「PM2.5」による主な症状を以下にまとめました。

  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 慢性気管支炎
  • 肺気腫(はいきしゅ)
  • 高血圧
  • 虚血性心疾患
  • 不整脈
  • 心不全

呼吸器系や血管に障害をもたらす病気を引き起こすことがわかります。

また、「PM2.5」にはPHAという発がん性物質が含まれている可能性があります。

さらに、「PM2.5」と「黄砂」が混ざり合うとNPHAという化合物が生成します。この化合物はPHAの100倍の発がん性を持つという報告があります。

通常のマスクでは「PM2.5」を防ぐことができません。対策には、厚生労働省認可の専用のマスクを使用しましょう。

まとめ

以上、この記事では、「黄砂」と「PM2.5」の違いについて解説しました。

  • 黄砂:砂漠などの乾燥地帯に吹く風によりもたらされる砂や鉱物粒子
  • PM2.5:大気に浮遊する2.5μm以下の粒子状物質の総称
「黄砂」も「PM2.5」も多くの悪影響をもたらします。特に「PM2.5」は人に対して非常に有害な物質でした。

2~4月の飛来シーズンは気を付けてお過ごしください。

 

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シェスカ
公的文章に詳しい大学院生。 学術論文や特許の執筆を得意としています。 スッキリではその知識を活かし、専門用語の解説を担当しています。