「虎視眈々」の意味とは?使い方から類語や英語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「虎視眈々(こしたんたん)」です。

「虎視眈々と~する」などの言い回しでよく聞く言葉でしょう。「眈々とは何か」、「なぜ虎なのか」等、疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。

以下では、「虎視眈々」の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「虎視眈々」をざっくり言うと……

読み方虎視眈々(こしたんたん)
意味野望を実現させるために、絶好の機会を注意深く狙うこと
由来『易経』における記述から
類義語垂涎三尺、野心満々、竜驤虎視
英語訳watch vigilantly for a chance(チャンスのために、用心深く観察する)、look enviously at〜(〜を羨ましそうに見つめる)など

「虎視眈々」の意味をスッキリ理解!

虎視眈眈(こしたんたん):野望を実現させるために、絶好の機会を注意深く狙うこと

「虎視眈々」の意味を詳しく

「虎視」は、虎が何かを見ている様子を表します。また、「眈(にら)む」という字を重ねる「眈眈」には、「鋭い目つきで獲物を狙う」という意味があります。

虎は、茂みの中に身をひそめながら相手の様子をうかがい、隙を見つけた途端に獲物を借りに行く習性があります。

つまり、「虎視眈々」は「獲物をじっと見て、捕まえる機会を狙う」ことを指すのです。この意味が転じて、「欲しいものを得るために、絶好の機会を狙う」という意味になりました。いつ何時も対象を気にかけているという執念深さも表現されます。

なお、「虎視眈々」の「眈」は「耽」という漢字と間違えられることが多いため、注意しましょう。「耽」は「耽(ふけ)る」と訓読し、深く熱中する様子を表す言葉であるため、にらむことを指す「眈」とは意味がまったく異なります。

「虎視眈々」の使い方

「虎視眈々」は、一般的に、「虎視眈々と〜」というように動作を修飾するかたちで使われます。また、「虎視眈々と〇〇を狙う」という表現が多く使われます。

この2点をふまえて、下記の例文を紹介します。

  1. 彼は前々から、虎視眈々と次期部長の座を狙っている。
  2. 彼が最近彼女と親しいのは、彼女の財産を虎視眈々と狙っているからだ。
  3. あの人はいつも虎視眈々としているので、あまり好きになれない。

上記の例文からもわかるように、「虎視眈々」には野心的・戦略的な意味合いが強いため、ネガティブな文脈で用いられることが多いのです。

「虎視眈々」の由来

中国の古典に、『易経(えききょう)』というものがあります。この書物は儒教の経典です。

『易経』の中に、次の一節が登場します。

『易経』の一節
さかしまに頤(やしな)わるるも吉なり。虎視眈眈、その欲逐逐(ちくちく)たれば、咎(とが)なし。

「自分に比べると優秀ではないような者に養われることになっても、自分の徳を磨くチャンスを逃さない姿勢を忘れなければ、問題ない」という意味です。

この表現で、「虎視眈々」が初めて使われました。

「虎視眈々」の類義語

「虎視眈々」には以下のような類義語があります。

  • 垂涎三尺(すいぜんさんじゃく):あるものを激しく欲すること。
  • 野心満々(やしんまんまん):不相応なほどに、いまよりも良い地位や名声を得ようとすること
  • 竜驤虎視(りゅうじょうこし):権力をもって世間を注意深く見ていること

3つとも、手に入れたいものに対して強い執着を抱いていることを表していますから、「虎視眈々」の類義語であることがわかりますね。

「垂涎三尺」は美味しいもの見て「涎(よだれ)」を三尺(約90cm)ほど垂らすさまから、激しく何かを欲しがっている様子を表しています。ただし、「垂涎三尺」には「じっと機会をうかがう」という意味は含まれていません。

また、「野心満々」は「実際にはその人に見合っていないものを手に入れようとしている」というような、「虎視眈々」にはないニュアンスが表します。

さらに、「竜驤虎視」には、「権力をすでに得ている」という「虎視眈眈」にはない前提が隠されています。「竜」と「虎」が権力のある存在としてたとえられており、「驤」は躍り上がること、「視」は見ることを指しています。

「虎視眈々」の英語訳

「虎視眈々」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • watch vigilantly for a chance
    (チャンスのために、用心深く観察する)
  • cast covetous eyes on〜
    (強欲な目線を投げかける)
  • look enviously at〜
    (〜を羨ましそうに見つめる)
  • look eagerly for〜
    (〜を熱心に見つめる)

どれも、「欲しいものをじっと見つめる」、また「欲しいものを手に入れる機会をうかがう」という意味合いを含んでいます。したがって、「虎視眈眈」の英語訳といえますね。

なお、 “watch vigilantly for a chance” と “cast covetous eyes on〜” は、あらたまった場面で用いられる表現です。このため、カジュアルな場面では “look enviously at〜” や “look eagerly for〜” を使いましょう。

それぞれの表現を用いた例文は以下の通りです。

例文
  • we has kept on watching vigilantly for a chance to attack the enemy.
    (我々は、敵軍を攻める機会を虎視眈々と狙っている。)
  • I ate the sweet which my sister had cast covetous eyes on since before.
    (僕は、妹が以前より食べたそうにしていたお菓子を食べてしまった。)
  • he is looking enviously at the sheet which is next to the sheet a girl he likes sits on.
    (彼は、好きな女の子の隣の席をじっと見つめている。)
  • At a sports shop, my son looked eagerly for gold spike shoes.
    (スポーツショップで、息子は金のスパイクを熱心に見つめていた。)

まとめ

以上、この記事では「虎視眈々」について解説しました。

読み方虎視眈々(こしたんたん)
意味野望を実現させるために、絶好の機会を注意深く狙うこと
由来『易経』における記述から
類義語垂涎三尺、野心満々、竜驤虎視
英語訳watch vigilantly for a chance(チャンスのために、用心深く観察する)、look enviously at〜(〜を羨ましそうに見つめる)など

「虎視眈々」は、獲物を仕留める虎の様子から派生しているためか、あまり良い意味では使われません。しかし、欲しいものを手に入れようとする姿勢は人生にとって大切ですね。

他人に不快な思いをさせない範囲で、希望を勝ち取ろうとする心意気も忘れないようにしたいものです。