今回ご紹介する言葉は、熟語の「金輪際(こんりんざい)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳について分かりやすく解説します。
☆「金輪際」をざっくり言うと……
読み方 | 金輪際(こんりんざい) |
---|---|
意味 | 絶対に、断じて |
語源 | 仏教用語における、「物事の極限」という意味 |
類義語 | 永久、断固 |
英語訳 | never(決して) |
「金輪際」の意味をスッキリ理解!
「金輪際」の意味を詳しく
「金輪際」には、大きく分けて3つの意味が存在します。
強い否定を表す言葉としての「金輪際」
「金輪際」には、「決して」や「二度と」など、強い否定的な意志やイメージを持たせる意味があります。
こちらは、現代において最も使われる「金輪際」の意味です。
二度と、今後何か物事をすることはない、という未来の否定をする言葉です。そのため、「金輪際」の後ろには否定する意味を持つ内容を従えて用います。
ストイックな様子を表す言葉としての「金輪際」
「金輪際」には、「極限まで」「徹底的に」「気がすむまでとことん」という意味も存在します。
「徹底的に」という意味で用いる場合には、「決して」という意味とは異なり、後ろに否定の言葉を従わせずに使います。
「一度手をつけたことは金輪際終わらせたい」という使い方をします。
このように、物事に対しての意志の強さ、頑固さや、譲れない気持ちを表す言葉として用いられます。
しかし、この使い方は江戸時代あたりまでは使われていたようですが、現代ではほとんど用いられることがない表現です。
仏教用語としての「金輪際」
「金輪際」はもともと仏教用語です。仏教では「大地の最果てのところ」という意味で用いられていました。
ここで言う「大地の最果てのところ」とは、物事の極限を表す言葉になリます。
さらに、「極限まで」という意味から「果てしなく」、「徹底的に」という意味に変わり、やがて「二度と」という意味に派生しました。
そして、現在「金輪際」は「決して」などという意味で、最も使われるようになりました。
「金輪際」の使い方
- 信頼していた友人に裏切られたので、彼とは金輪際口をきくことはないだろう。
- 交通事故には金輪際巻き込まれたくない。
- 酔っ払って家に帰れなくなるようならば、お酒は金輪際やめなさい。
- 大勢の前で恥をかくようなことは、もう金輪際ごめんだ。
「金輪際」は否定的な意味を持つので、後ろに否定的な意味をつけて用いられることが多いです。
こうすることで、後ろに続く内容をより強調する役目を果たします。
使われるシーンとしては、今後絶対に物事をすることはない、という意志表示をする時があります。
また、物事が一切行われることはないという想定を述べる時も挙げられます。
昔のようにストイックさを表す言葉として「金輪際」が使われることは、現代においてなかなかありません。
「金輪際」を用いる時は、「決して」という意味で使いましょう。
「金輪際」の語源
すでに解説したように、「金輪際」は本来仏教用語です。
また、「金輪際」の由来は、仏教の世界の考え方が関係しています。
仏教において、この世の中は3つの輪の上に成り立っていると考えられています。
その3つとは、「金輪(こんりん)」「水輪(すいりん)」「風輪(ふうりん)」であり、これらを「三輪(さんりん)」と言います。
「金輪」は、人類が立つ大地の奥深くにある底辺にあるとされています。それは、黄金または金剛からできた輪であると考えられていることから、「金輪」と言います。
「金輪」がある部分は大地の最果てだという考えから、「極限」を表す言葉として「金輪際」が生まれたという一説があります。
また、「金輪際」には別の説も存在します。
「三輪」は上から「金輪」「水輪」「風輪」の順で並んでいるという思想もあります。この思想では、「金輪」が人類の世界の最果てだとされています。
そして、「金輪」と「水輪」が接する面を「金輪際」と言い、地の底の果てであるという意味が生まれたという一説もあります。
上記2つの説において、一般的によく用いられる「金輪際」の由来は後者の方です。
しかし、どちらの説が正しいものであるか明確な証拠は存在しません。
「金輪際」の類義語
金輪際には以下のような類義語があります。
- 永久(えいきゅう):果てしなく続くこと
- 断固(だんこ):どんなことがあっても必ず
「永久」は「金輪際」の類義語ではありますが、「永久」はマイナスなことを述べるだけの言葉ではありません。
ただ物事がこの先も果てしなく続くことを表す時も、「永久」は用いられます。
そのため、「永久」を「金輪際」の類義語として用いる場合には、「永久に」として後ろに否定の言葉をつけなければなりません。
「断固」は、「断固として」などの形で用いて、自らの強い意志と態度を表す言葉です。
否定的な内容に用いる時は、より否定の意味合いを強くする効果があります。
「金輪際」の英語訳
金輪際を英語に訳すと、次のような表現になります。
- never
(決して) - on no account
(決してない) - till doomsday
(永遠に)
上記3つの中で、最も「金輪際」の英語訳として用いられるのは never です。
それぞれの表現を用いた例文は以下の通りです。
- I will never do evil and make my parents feel sad.
(私は、悪事をして親を悲しませるような真似は金輪際しない。) - On no account must you follow a stranger.
(知らない人には、決してついて行ってはいけない。) - She said that she would never agree till doomsday.
(彼女は、金輪際承知できないと言った。)
まとめ
以上、この記事では「金輪際」について解説しました。
読み方 | 金輪際(こんりんざい) |
---|---|
意味 | 絶対に、断じて |
語源 | 仏教用語における、「物事の極限」という意味 |
類義語 | 永久、断固 |
英語訳 | never(決して) |
「金輪際」は、仏教用語として使われますが、現代では一般的に用いられる言葉です。
「金輪際」のように、仏教用語から派生して、現代でも使われる言葉は多く存在します。
また、現在使われる意味に至るまで、ざまざまな意味の変化がありました。そのため、昔使われていた意味と混乱する可能性があります。
言葉の現在使われていない意味で用いると、意味が通じないことがあり、間違った使い方だとされてしまいます。
言葉の意味を全て覚えることも大切ですが、現在使われている意味かどうかをしっかり理解しておくことが大切です。