「告訴」と「告発」は、どちらも捜査機関に犯罪の被害にあったことを申告する点では共通していますが、その違いを区別するのがとても難しい言葉です。
今回は、「告訴」と「告発」の違いをわかりやすく例を挙げながら解説していきます。
結論:「告訴」は被害者が、「告発」は第三者が、処罰を求める意思を示す。
一方の「告発」は、被害者(もしくはその親族)以外が、犯罪事実を申告し、犯罪者の処罰を求める意思表示をすることを意味します。
「告訴」の定義と使い方
「告訴」とは、告訴権者が、捜査機関に犯罪事実を申告して訴追を求めることを言います。告訴権者は、被害者や被害者の親権者や後見人が該当します。被害者が故人の場合なら配偶者や一定の親族となります。そのため、告訴を受理した捜査機関は、捜査を開始しなければなりません。
告訴権者のみが、親告罪(告訴権者からの訴えがない限りは、刑事事件として起訴できないとされている犯罪のこと)を訴えることができます。
また、告訴権者とは、原則として被害者本人になりますが、被害者が未成年者の場合には親権者が、被害者が青年被後見人の場合は、青年後見人が告訴権者となります。
「告訴」は、委任された代理人によっても行うことができます。代理人による「告訴」については、委任状の作成添付が必要となります。
「告訴」の使い方の例
それでは、「告訴」に関して例を用いて説明します。
- 被害者が、損害賠償の告訴をおこなった。
- 彼は、強盗の疑いで告訴された。
- 彼らは、詐欺取財の告訴を取り下げた。
②の例では、彼が強盗の疑いで訴えられたことを意味します。
③の例では、彼らは、一度詐欺取財で告訴をしたものの、その訴えを取り下げたことを表わしています。
「告発」の定義と使い方
「告発」とは、犯罪の被害者や犯人でない第三者が、同様に捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯罪者の処罰を求める意思表示のことをいいます。
なお、「告発」の場合は、事件に関係していない人でもできるということになりますが、親告罪についてはできません。
告発の場合、操作機関に以下の義務を生じさせることになります。
告発を受けた捜査機関は調書を作る必要があります。例えば警察が告発を受理した場合は、事件に関する書類や証拠品を検察官に送付し、検察官は起訴するか否かを判断して、その結果を告発人に伝えなければなりません。
「告発」の使い方の例
それでは、「告発」に関して例を用いて説明します。
- 警察は彼を窃盗罪で告発した。
- そのドライバーはスピード違反で告発された。
- 彼女はクレジットカードの申込書を偽造したことで告発された。
②の例では、そのドライバーがスピード違反で、被害者ではない第三者から告発されたことを意味します。
③の例では、彼女がクレジットカードの申込書の偽造で、被害者ではない第三者から告発されたことを表わしています。
まとめ
以上、この記事では、「告訴」と「告発」の違いについて解説しました。
- 「告訴」:被害者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求めるもの。
- 「告発」:第三者が、犯罪事実を申告し、犯罪者の処罰を求める意思表示をすること。
「告訴」と「告発」のどちらも、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示をするという点では同じですが、それを行う者が被害者か、それとも第三者なのかで呼び方が違うということがわかりましたね。