「工業」と「興業」の違いとは?意味から種類までわかりやすく解説

違いのギモン

みなさんは、「工業」と「興業」をしっかり使い分けられていますか?

どちらも「こうぎょう」と読みますが、意味は全く違います。

この記事では、そんな2つの「こうぎょう」の違いをわかりやすく解説します。

結論:「工業」は生産すること、「興業」は事業をおこすこと

「工業」とは、原材料を加工し、製品を生産することを指します。

一方で「興業」は、新しく事業をおこすことを指します。

同じ「こうぎょう」でも全く意味が異なりますので、注意しましょう。

それでは、それぞれの単語を詳しく解説していきます。

「工業」をもっと詳しく

「工業」は、原材料を加工し、製品を生産することを指します。

「製品」の種類は問わず、食品から自動車まで、製品をつくることであればなんでも「工業」と呼ぶことができます。

「工業」の種類

「工業」は大きく分けて2つの種類があります。それが、「重化学工業」「軽工業」です。

「重化学工業」とは、比較的重い製品や、化学製品を製造するものです。「軽工業」も、字面の通り、比較的軽いものを生産する工業を指します。

「重化学工業」と「軽工業」はさらに細かく、以下のように分かれています。

重化学工業
  • 金属工業:鉄やアルミニウムなど、金属を生産するもの
  • 化学工業:石油や薬品などを生産するもの
  • 機械工業:自動車や電気機器など、機会を生産するもの
軽工業
  • 繊維工業:服や繊維を生産するもの
  • 窯業(ようぎょう):セメントやガラスを生産するもの
  • 食料品工業:食料品を生産するもの

日本の「工業地域」

工業が盛んな地域を「工業地域」と呼びます。

また、工業地域の中でも特に工業が盛んな地域は「工業地帯」と呼ばれます。日本では「工業地帯」と呼ばれる地域が4ヶ所あるため、「四大工業地帯」と呼ばれています。

今回は、そんな日本の主要な「工業地域」と「四大工業地帯」をご紹介します。

日本の工業地域の例
  • 鹿島臨海工業地域:茨城県の鹿島周辺。石油化学工業や鉄鋼業が盛ん。
  • 京葉工業地域:東京、千葉の東京湾沿岸。交通網が発達している。
  • 東海工業地域:東海地方。水力発電により電力が得やすく、水も豊富。
  • 瀬戸内工業地域:瀬戸内海沿岸。埋め立てにより用地が得やすい。
日本の四大工業地帯
  1. 京浜工業地帯:東京と横浜が中心。印刷や出版が盛ん。
  2. 中京工業地帯:名古屋が中心で、日本最大の生産額。自動車製造が盛ん。
  3. 阪神工業地帯:大阪と神戸が中心。軽工業が盛ん。
  4. 北九州工業地帯:北九州が中心。金属工業が盛ん。

「興業」をもっと詳しく

「興業」とは、新しく事業をおこすことや、産業を盛んにすることを指します。

「工業」と違い、製品や工場などは一切関係のない、完全に別の言葉ですので注意しましょう。

「興業」の使い方の例

「興業」は以下のように用いることができます。

  1. 「殖産興業」は明治政府の政策の1つである。
  2. 彼は新しい事業をおこす、「興業家」というやつだ。
  3. 興業資本の不足が深刻だ。
①の殖産興業とは、明治時代初期、先進資本主義国に追いつくように、技術革新で近代工業を活性化させようとしたことを言います。

他にも、お笑いで有名な「吉本興業」という会社の社名はここからきています。

「興行」とは

「興業」と似た言葉に、「興行」があります。こちらも「こうぎょう」と読むので、非常に使い分けが難しいです。

「興行」とは、入場料をとり、芝居やコンサート、スポーツなどを観客に見せるイベントを催すことを指します。また、そのイベント自体のことを指すこともあります。

相撲で全国各地を回って取組を行うなど、地方で行われる興行のことを「地方興行」と呼びます。

まとめ

以上、この記事では、「工業」と「興業」の違いについて解説しました。

  • 工業:原材料を加工し、製品を生産すること
  • 興業:新しく事業をおこすことや、産業を盛んにすること
「工業」と「興業」の違いはわかりましたか?

ぜひ、「興行」もセットで、使い分けられるようにしてくださいね。