「ニット」と「セーター」と「カーディガン」の違いとは?

違いのギモン

洋服は毎年流行が変わり、様々な色・形のものが広まっています。現代ではファッション用語が世の中に溢れていると言っても過言ではありません。ファッション用語は外来語がほとんどなので、言葉の使い方に混乱することもありますよね。

そこで、今回はよく間違えやすい「ニット」「セーター」「カーディガン」の違いを解説します。

結論:ニットは生地の種類、セーター・カーディガンはニット製品

ニットは、糸をループ状に編み上げた素材や生地の全般を指します。

セーターは、ニットの生地で作られた、頭からすっぽりと被るタイプの衣服を指します。

カーディガンは、前開きの簡易ジャケットのような形の上着を指します。最近ではニット素材以外の物も広まっています。

「ニット」をもっと詳しく


ニットとは、一本の糸をループ状に繰り返して編み上げた素材や生地のことをいいます。暖かいふわふわしたもののイメージがあるかもしれませんが、薄手に作られたものも、ループ状に編まれたものならニットと呼べます。

英語でニットは“knit”と書きます。動詞として「編む」という意味があります。つまり、編んだものであればニットと呼べるということですね。

ニットは糸に使われる繊維によって出来上がりが異なります。種類は大きく分けて天然繊維と化学繊維があります。

  • 天然繊維:羊の毛のウールニット、カシミヤニット、アルパカニットなど
  • 化学繊維:ナイロン、アクリル、レーヨンなど

「ニット」の使い方の例

  1. 暖かいニット素材の服が好きだ。
  2. ニットの帽子が今年も流行している。

「ニットが好き」と言っても間違いではないですが、ニットにはたくさんの種類があるので、どんなニットが好きなのかは明確でありません。

手編みのようなほっこりした帽子はいつでも人気ですね。

「ニット」の歴史

ニットの始まりは、大昔にエジプト人が履いていた手編みのサンダルだと言われています。

これがスペインに伝わり、13世紀になると「編物による靴下」がイタリアでつくられるようになり、ヨーロッパ中に広まりまりました。

日本には、16世紀にポルトガル人が手編みの靴下を持ってきたことから、日本で編み物が浸透し、靴下以外のものも編むようになったのです。

「セーター」をもっと詳しく


セーターとはニットの生地で作られた衣服で、頭からすっぽりと被ることができる形になっています。これはプルオーバーとも呼ばれます。

セーターには、半袖や、女性用で袖がないものなど、あらゆるそでの長さの種類があります。

セーターが衣服の製品名であることから、実は、「ニットを買う」というよりも「セーター」を買うというのが正しいのです。しかし、セーターの「暖かい衣服」としてのイメージが一般に広まっていることから、薄手の素材の商品の場合は、誤解を避けるために「ニット」という言葉を使っていると考えられます。

 

ちなみに、英語でセーターは“sweater”と書きます。スポーツ選手などが汗( sweat )をかくための衣服として使われていたものが、防寒着としても使えることがわかり、日常的な衣服として広く普及しました。

「セーター」の使い方の例

  1. 寒い冬にはもこもこしたセーターが手放せない。
  2. サマーセーターは夏の肌寒い日にちょうどいい。

セーターには厚手から薄手の物まであるので、年中活躍する場がありますね。

「セーター」の歴史

セーターの始まりには、多くの説があります。セーターの中でも、伝統的な意味をもつとされているアランセーターというものがあります。

アランセータ―は、アラン諸島というアイルランドの気候が厳しい地域で、11世紀ごろから島の女性たちが編み始めました。これは、漁に行くために船を出す自分の息子や夫を寒さから守るためであったと言われています。

服屋さんで売られている厚手の生地のセーターに、縄のような模様が編みこまれたものがあります。これはアランセータ―の中でもケーブルセーターと呼ばれるものです。漁に行く男の安全
と大漁の願いが込められています。

「カーディガン」をもっと詳しく


カーディガンとは、前開きの簡易ジャケットのような形の衣服です。前は、ボタンでとまる仕組みになっています。ニット素材が主流ですが、現代では様々な素材で作られています。

カーディガンは重ね着することが前提なので、羽織物として使われることが多いです。

英語では“cardigan”といいます。

「カーディガン」の使い方の例

  1. 夜は肌寒くなるから、カーディガンを上着として持っていこう。
  2. カーディガンは長いものが好みだ。

カーディガンの中に何も着ない人はいないと思います。

カーディガンには短いものから足元までの長さのものまで、様々です。

「カーディガン」の歴史

カーディガンの原型は、17世紀のイギリスとフランスの漁師達の間で広まった衣服だと言われています。

カーディガンという言葉は、カーディガン伯爵7世(ジェイムズ・ブルデネル)の名前が由来です。彼は、1853年のクリミア戦争において英国軽騎兵旅団長として戦いました。そこで、負傷した兵士でも脱ぎ着しやすいように、前開きのカーディガンを採用したそうです。

カーディガンは、産業革命後に衣服の大量生産が可能になったことから、一般に普及しました。

まとめ

以上、この記事では、「ニット」「セーター」「カーディガン」の違いについて解説しました。

  • ニット:一本の糸をループ状に繰り返して編み上げた素材や生地のこと
  • セーター:ニットの生地で作られた衣服で、頭から被ることができる形のもの
  • カーディガン:前開きの簡易ジャケットのような形の上着

普段何気なく来ている衣服にも、長い長い歴史があり、人の思いやりが込められて誕生したことがわかりましたね。

偉大な祖先への尊敬の念を込めて、「ニット」「セーター」「カーディガン」を正しく使い分けましょう。