「きず」という言葉はよく使われますね。
ところで、経歴に「きず」をつける、切り「きず」ができた、と言う時に、「傷」「創」「疵」の使い分けはできていますか?
読み方は同じですが、それぞれ意味に違いがあります。
そこで今回は「傷」と「創」と「疵」の違いについて解説します。
結論:怪我を意味しているか、さらに皮膚が断裂しているか
「疵」は怪我でなく、ある物事の欠陥を指す時に使います。
「傷」をもっと詳しく
一般的には皮膚の損傷であれば、全て「傷」の漢字を使ってしまいます。ですが、医学用語で「傷」は、非開放性損傷・閉鎖性損傷と呼ばれます。
具体的には、皮膚が擦れて剥がれてしまう「擦り傷」や、硬いものにぶつけてしまうとできる「打撲傷」がよくある例でしょう。つまり、擦れや衝撃で、皮膚が切れずに損傷を負った状態を指します。
「傷」は他に、物にできた損傷や、精神的なダメージを表すこともできます。
それぞれの意味での例文を見てみましょう。
- 走ってるときに転び、手を擦りむいて傷ができた。
- スマートフォンの画面に傷ができた。
- 経歴に傷が付いてしまった。
- 彼は失恋をして、心に傷を負っている。
「創」をもっと詳しく
皮膚が破れない「傷」に対して、「創」は開放性損傷と呼ばれ、皮膚が切れている状態を言います。絆創膏にも「創」の字が用いられてますね。
「創」の種類としては、通常「切り傷」と呼ばれる鋭利なものに切られてできる「切創(せっそう)」、打撲で皮膚の表面も切れた時の「挫創 (ざそう)」があります。
このように、「創」はいわゆる切り傷の意味を持ちます。ただし、よく見る四字熟語である「満身創痍(まんしんそうい)」は、身体的にボロボロの状態という意味の他に、精神的にやられてしまっていることも指すことができます。
- 料理をしている時、不注意で包丁で指に切創を付けてしまった。
- そのボクサーは満身創痍であったが、立ち上がった。
「疵」をもっと詳しく
「疵」には、生き物の怪我の意味はなく、物事の欠点や欠陥を意味します。しかし、「疵」は常用漢字ではないため、日常ではあまり使われません。
本来、物にできた損傷は「疵」ですが、常用漢字ではないので一般的には「傷」が使われます。
「瑕疵(かし)ある意思表示」というと、詐欺などによって欠陥のある判断をしてしまったという意味の法律用語になります。
ちなみに、ことわざで「完璧に近いのに少し欠点があること」を表す「玉にきず」には、「瑕疵」の「瑕(きず)」が使われます。
まとめ
以上、この記事では、「傷」と「創」と「疵」の違いについて解説しました。
- 傷:皮膚が切れていない怪我
- 創:皮膚が切れた怪我
- 疵:ある物事や人の欠点
日常では全てに「傷」を使ってしまいがちですが、きちんと使い分けができるといいですね。