突然ですが、みなさんは「霧(きり)」と「靄(もや)」と「霞(かすみ)」の違いをご存知でしょうか。
知っていると思っていた人でも、改めて聞かれてみると答えられないのではないでしょうか。
そして、これら3つの言葉にはきちんと違いがあります。
そこで、今回は「霧」と「靄」と「霞」の違いについて解説していきたいと思います。
結論:「霧」は「靄」より濃く気象用語で、「霞」は気象用語ではない
次に、「靄」は大気中の水蒸気が微小な水滴になって浮遊し、水平方向で見える範囲が1km以上10km未満になっている状態のことで、気象用語です。
そして、「霞」は空気中の水滴やほかの粒子によって視界が悪い状態のことで、気象用語ではありません。
つまり、「霞」のみ気象用語ではなく、「霧」は「靄」よりも視界が悪い状態を表す気象用語なのです。
「霧」をもっと詳しく
「霧」は大気中の水蒸気が微小な水滴となって浮遊して、視界が悪くなり、水平方向で見える範囲が1km未満になっている状態のことで、気象用語です。
山間部や海沿いなどで発生することが多いでしょう。
また、日本では北海道の釧路などで発生しやすく、海外ではロンドンが霧のよく発生する場所として有名です。ロンドンは霧の都と呼ばれることもありますよね。
そして、霧の中を歩くと髪や衣服がしっとりしますが、これは細かな水滴が髪や衣服に付着するからです。
ちなみに、霧は発生する原因によって放射霧、移流霧、蒸気霧、滑昇霧(かっしょうぎり)、前線霧の5つにわけることができます。
また、水平方向で見える範囲が地上で100m、海上で500mを切った場合には濃霧と呼ばれます。
ちなみに、地上と海上とで基準が違うのは、海の上ではものを避けるのに地上よりずっと時間がかかるからです。
そのため、海上で500mしか見えないのは、地上で100m見えないのと同じくらい危険なのです。
また、霧という言葉は俳句で用いられることもあります。
そして、古くは四季を通じた季語として使われていましたが、平安時代に秋の季語として使われるようになりました。
「靄」をもっと詳しく
「靄」は大気中の水蒸気が微小な水滴になって浮遊し、水平方向で見える範囲が1km以上10km未満になっている状態のことで、気象用語です。
そして、湿度が50%以上であることも条件の1つです。
もし湿度が50%未満で水平方向で見える範囲が1km以上10km未満になっている状態だと「煙霧」と呼ばれます。
そして、靄が発生して靄のまま終わることもありますが、霧が晴れてきて靄に変わることもあります。
ちなみに、靄の中では早朝に気温が変化して発生する朝靄(あさもや)が有名でしょう。
また、俳句では単独で用いられることはありませんが、「冬靄(ふゆもや)」などのように熟語として用いられます。
そして、冬の季語になっています。
「霞」をもっと詳しく
「霞」は空気中の水滴やほかの粒子によって視界が悪い状態のことで、気象用語ではありません。
そのため、あくまで状態を伝えるための表現になります。
小説などで用いられることも多いでしょう。
そして、「霞」が用いられる時間は昼に限定され、もし夜間に同じような現象が起こった場合には「朧(おぼろ)」と呼ばれます。
ちなみに、俳句では古くは四季で用いられていましたが、平安時代になると春の季語として用いられるようになりました。
また、「視界がぼんやりしてよく見えない」という意味で用いられることもあります。
例えば、「目に霞がかかっている」などのように用います。
まとめ
以上、この記事では、「霧」と「靄」と「霞」の違いについて解説しました。
- 霧:微小な水滴により見える範囲が1km未満になっている状態のことで、気象用語
- 靄:微小な水滴により見える範囲が1km以上10km未満の状態のことで、気象用語
- 霞:空気中の水滴やほかの粒子により視界が悪い状態のことで、気象用語ではない
「霧(きり)」と「靄(もや)」と「霞(かすみ)」にもきちんと違いがあったんですね。きちんと使いわけていきたいものです。