「禁固刑」とはどういう罪?意味や他の刑罰との違いをわかりやすく解説

言葉

禁固刑とは、「刑務所に閉じ込められるが、労働は強要されないという刑罰」です。

ニュースなどで、禁固刑という言葉を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。

しかし、禁固刑の厳密な意味や特徴を説明するのは、なかなか難しいものです。

この記事では、禁固刑の意味や、禁固刑が下される犯罪、他の刑罰との違いなどについて、詳しく解説します。

「禁固刑」の意味

きんけい

刑務所に閉じ込められるが、労働は強要されないという刑罰

禁固刑とは、刑法で定められた刑罰の一つです。

刑務所に閉じ込められる刑罰を禁固刑と呼びます。

「禁固」の意味

禁固刑の「禁固」には、以下のような意味があります。

きん

  1. ある1つの部屋に閉じ込めること
  2. 刑務所に閉じ込めるという刑罰
  3. (江戸時代)ある武士を、役人として起用しないこと
    ※③の意味では「禁錮」と書く場合もある

②のように、「禁固」という言葉だけで、「禁固刑」を指す場合もあります

「禁固刑」の特徴

「禁固刑」には、次のような特徴があります。

禁固刑の特徴
  1. 刑務所での労働義務はない
  2. 期間は最短1ヶ月、最長20年
  3. 執行猶予が付く場合がある

以下、それぞれの特徴を解説します。

特徴①刑務所での労働義務はない

禁固刑は、刑事施設に閉じ込められる刑罰ですが、刑務所内での労働は強要されません

「労働をしなくて良い」という点で、禁固刑は軽い刑罰とされています。

しかし、刑務所の部屋に、労働もせずにずっと閉じ込められることは、苦痛でもあります。

そのため、禁固刑の受刑者の多くが労働を希望します。

特徴②期間は最短1ヶ月、最長20年

禁固刑の期間は最短1ヶ月、最長20年となっています。

ただし、他の罪なども加わった場合、30年や無期になる場合もあります。

無期とは

無期とは、「刑期が一生涯にわたって続く」ということです。

特徴③執行猶予が付く場合がある

執行猶予(しっこうゆうよ)とは、受刑される者に、再度罪を犯さないことを約束させたうえで、刑罰を消滅させることです。

禁固刑でも、以下のような場合であれば、執行猶予が付きます。

  • 初犯の場合
    3年以下の禁固であれば、執行猶予を検討することができる
  • 再犯の場合
    1年以下の禁固であれば、執行猶予を検討することができる

「禁固刑」と他の刑罰の違い


刑法での刑罰を重い順に並べると、禁固刑は3番目に重い刑罰です。

刑罰の種類(重い順)
  1. 死刑
  2. 懲役(ちょうえき)
  3. 禁固刑
  4. 罰金(ばっきん)
  5. 拘留(こうりゅう)
  6. 科料(かりょう)

以下2つの刑罰は、禁固刑と混同されやすいため、懲役との違いをそれぞれ解説します。

禁固刑と混同されやすい刑罰
  • 懲役
  • 拘留

禁固刑と懲役との違い

禁固刑と懲役には、以下のような違いがあります。

犯罪の例労働が強要されるか
禁固刑
  • 政治的な犯罪
  • 交通事故の犯罪 など
強要されない
懲役
  • 窃盗
  • 強盗 など
強要される

懲役は禁固刑と異なり、労働が強要されます。

また、禁固刑が政治犯罪や交通犯罪に下されることが多いのに対して、懲役は窃盗や強盗などに下されます。

なお、以下のような犯罪は、懲役になる可能性と、禁固刑になる可能性の両方が考えられます。

懲役にも禁固刑にもなる犯罪
  • 公務執行妨害罪
    (こうむ しっこうぼうがいざい)
    公務員に暴行・脅迫を加える罪
  • 公務員職権濫用罪
    (こうむいん しょっけんらんようざい)
    公務員が暴行などをした罪
  • 特別公務員職権濫用罪
    (とくべつこうむいん しょっけんらんようざい)
    裁判官、警察官などが、不当な逮捕・監禁をする罪
  • 特別公務員暴行陵虐罪
    (とくべつこうむいん ぼうこうりょうぎゃくざい)
    裁判官・検察官・警察官が、罪の疑いがある人に対して暴行などをすること
  • 名誉棄損罪
    (めいよ きそんざい)
    人の名誉を傷つける罪

しかし、以下のような犯罪は深刻であるため、禁固刑になることはなく、より重い刑罰である懲役が下されます。

禁固刑はなく、懲役のみが下される犯罪
  • 殺人罪(さつじんざい)
    人を殺害する罪
  • 傷害罪(しょうがいざい)
    人を怪我させる罪
  • 強盗罪(ごうとうざい)
    暴行や脅迫をすることで、人の財物・金銭を奪うこと
禁固刑が懲役より重くなる場合がある

一般的に、禁固刑は懲役よりも軽いとされています。

しかし、長期間の禁固刑と、短期間の懲役では長期間の禁固刑のほうが受刑者の負担は大きいと言えます。

禁固刑と拘留との違い

禁固刑と拘留には、共通点と違いの両方があります。

共通点違い
禁固刑労働が強要されない期間が長い
(1ヶ月以上20年未満)
拘留期間が短い
(1日以上30日未満)

禁固刑と拘留は、どちらも労働が強要されないという点が共通しているため、混同されやすいです。

しかし、刑事施設に閉じ込められる期間に違いがあるのです。

拘留は禁固刑よりも短期間であるため、軽い刑罰といえます。

「禁固刑」が下される犯罪


「禁固刑」が下される犯罪には、主に以下のようなものがあります。

「禁固刑」が下される犯罪
  1. 政治犯
  2. 交通に関する犯罪

それぞれについて詳しく解説します。

①政治犯

「禁固刑」が下される政治犯には、以下のようなものがあります。

「禁固刑」が下される政治犯の例
  • 内乱罪(ないらんざい)
    政府を倒したり、日本国憲法の秩序を壊したりするために暴動をする罪
  • 内乱予備・陰謀(いんぼう)
    内乱罪を計画・準備した罪
  • 内乱等幇助(ないらんとうほうじょ)
    内乱罪にあたる行為を助けるため、兵器の準備などのサポートをする罪
  • 国交(こっこう)に関する罪
    外交を妨げる罪
  • 私戦予備・陰謀
    個人が外国に対して戦闘行為をするため、その準備をする罪

②交通に関する犯罪

交通に関する犯罪で、禁固刑になる可能性があるのは「過失運転致死傷罪(かしつうんてんちししょうざい)」です。

過失運転致死傷罪では、以下のいずれかの罰が下されます。

過失運転致死傷罪の刑罰
  1. 7年以下の禁固刑
  2. 7年以下の懲役
  3. 100万円以下の罰金

禁固刑や懲役になった場合は、「交通刑務所」という刑務所に収監されます。

しかし、過失運転致死傷罪では執行猶予がつくことが多いため、実際に禁固刑や懲役になる場合は少ないです。

なぜなら、交通に関する犯罪は、故意(こい)ではなく不注意によるものが多いからです。

過失運転致死傷罪とは

自動車の運転で人を怪我させたり、死なせたりしてしまう犯罪のこと。

「禁固刑」の生活


禁固刑の刑期のあいだは、主に、次のような生活を送ることになります。

  1. 基本的に独房でじっとするしかない
  2. 希望をすれば刑務所内で労働できる
  3. 病気になったら、診察・入院が可能

それぞれについて、詳しく解説します。

①基本的に独房でじっとするしかない

禁固刑になった人は、独房(どくぼう)のなかでじっとしているほか、何もすることがありません。

なお、禁固刑のあいだであっても、以下のような行為は、制限内であれば可能です。

禁固刑のあいだにできること
  • 面会
  • 本などの書類を読むこと
独房とは

刑務所などに収容された人が入る部屋のこと。

②希望をすれば刑務所内で労働できる

禁固刑の受刑者には、労働は強要されません。

しかし、受刑者が希望を出せば、刑務所内での労働に取り組むことができます

刑務所での労働
  • 生産作業
  • 社会貢献作業
  • 職業訓練
  • 自営作業

禁固刑の受刑者のうち、約8割の人々は、自分から希望を出して、刑務所内の労働に取り組んでいると言われています。

その理由は、以下の通りです。

禁固刑の受刑者が労働を希望する理由
  • 何もせずに過ごすことが苦痛であるため
  • 作業の報奨金(ほうしょうきん)が支給されるため

③病気になったら、診察・入院が可能

「禁固刑」の刑期中であっても、病気になった場合は診察を受けることができます。

重症になった場合は入院することもできますが、病院でも監視が続きます。

このため、仮病を使って入院をしようとしても、脱走などはできないシステムになっているのです。

「禁固刑」の英語訳

禁固刑を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • imprisonment
    (禁固刑)

「禁固刑」のまとめ

以上、この記事では「禁固刑」について解説しました。

読み方禁固刑(きんこけい)
意味刑務所に閉じ込められるが、労働は強要されないという刑罰
英語訳imprisonment(禁固刑)

犯罪は起こしてはいけませんが、禁固刑の意味や特徴は、知識としてしっかりと覚えておきましょう。

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Chinatsu
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新卒1年目でWebライター3年目。 学生時代からWebライターの仕事を始め、多くの記事を執筆・編集してきました。 丁寧な解説に定評があります。