「祈念」の意味とは?使い方から英語や類義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「祈念(きねん)」です。

言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「祈念」をざっくり言うと……

読み方祈念(きねん)
意味願いごとを祈って、その達成を念ずること。
語源「神仏に心中思うことを告げ、実現をねがう。」と「かねての望み。念願。」という意味の漢字から
類義語祈る、願う、祈願、心願、祈祷など
英語訳prayer(祈念)

「祈念」の意味をスッキリ理解!

祈念(きねん):願いごとを祈って、その達成を念ずること。

「祈念」の意味を詳しく

「祈念」は、「祈念する」という形で使われ、主にビジネスシーンにおいて相手の健康や他社の繁栄を祈る際に使います。少し堅苦しい表現になるため、日常会話で使われることはほとんどありません。手紙などの文書や、公の場におけるスピーチ・挨拶で用いられます。

また、「祈念する」は「祈る」よりもかしこまった表現になります。相手のために祈る思いやりはもちろん、本来は神仏に対して使う言葉ということから、「祈る」以上に相手への敬意の気持ちを込めることができます。

「祈念」の使い方

上記で述べたように、「祈念」は手紙などの文書や、公の場におけるスピーチ・挨拶で用いられます。

以下では、シーン別に「祈念」の使い方を例文とともにご紹介します。

メールや手紙などの締めの挨拶

「祈念」は、ビジネスシーンで送られるメールや手紙、年賀状などの文書では、締めの挨拶として用いられます。

メールや手紙
  • 末筆ではございますが、〇〇様の益々のご活躍を祈念しております。

年賀状
  • 御社のますますのご発展を祈念しますとともに、本年もなお一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

飲み会などの乾杯の挨拶

「祈念」は、結婚式のスピーチや乾杯の挨拶でも用いられることが多くなっています。

この場合は、「ご健勝を祈念して」や「ご多幸を祈念して」という定型句が用いられます。

例文は以下の通りです。

  • 当社のさらなる飛躍と、お集まりいただいた皆様のご多幸とご健勝を祈念して、乾杯!
  • 新郎新婦の末永いお幸せと、ご臨席の皆様のご多幸を祈念して、乾杯!

集会などの締めの挨拶

この場合は、親戚同士の集まりや友人同士の集まりではなく、ビジネスシーンにおける集会や地域の行事等の集会などのかしこまった集まりのことを指します。

例文は以下の通りです。

  • 今年度の夏祭りの成功と地域繁栄を祈念しております。
  • 本プロジェクトの成功と皆様のご活躍を祈念いたしまして一本締めさせていただきます。

入院や災害にあった際の見舞いの言葉

相手が入院をした時のお見舞いや、災害に遭った際のお見舞いの文章でも「祈念」は使用されます。

相手の無事や回復を、心より願っていることを相手に伝えることの出来る表現です。

例文は以下の通りです。

  • 一日も早いご回復を心より祈念しております。
  • 皆様のご無事と、一日も早い復興を祈念いたしております。

 

次に、「祈念」の敬語表現についてご紹介します。

祈念します
  • 「祈念」は上でも述べたように、「お祈りします」をより改まった表現にしたものです。そのため「祈念します」でもとても丁寧な表現となります。

祈念しております
  • 「祈念します」よりも丁寧となる丁寧語は「祈念しております」です。「おります」は、「いる」の丁重語の「おる」に丁寧語の「ます」をつけた言葉です。
  • 「~している」とは、何か行動が継続・進行しているという意味の言葉です。そのため、継続して「祈念」をしていることを伝える表現となり、より丁寧さが増します。
祈念したします
  • 「いたす」は自分がへりくだる表現で相手を立てることが出来る謙譲語であるため、丁寧語・丁重語よりも敬意が強くなります。そこに丁寧語の「ます」を付け、より相手への敬意を表しているのが「祈念いたします」です。

「祈念」の語源

「祈念」を構成する漢字は以下の通りです。

  • :神仏に心中思うことを告げ、実現をねがう。
  • :かねての望み。念願。

「祈念」の類義語

「祈念」には以下のような類義語があります。

  1. 祈る:神や仏に願う。心から望む。希望する。
  2. 願う:自分の理想・希望の実現を神仏に祈る。
  3. 祈願:神や仏に願い事をこめて祈ること。
  4. 心願:神仏などに、心の中でかける願。
  5. 祈祷:神のご加護を願い求める神事のこと。

③の「祈願」は、自分自身で、目的や願望を達成するために、神仏に祈りお願いすることを言います。自分で神社などに出向いて行うため、祈願は「自力本願」です。

「祈念」と比較し、「祈願」の方が宗教的色合いが強くなります。神社で何かを祈ったり願ったりするときには、「祈念」よりも「祈願」を使うことの方が多いです。一方、「祈念」は神仏に限らず、漠然と成功や活躍などを願うときに用いられます。

 

④の「心願」は、神仏などに、心の中でかける願という意味です。「心願成就」という形で使用されることが多いです。「心願成就」とは、「神や仏に心から祈っていると願いは叶えられる」という意味で、「願えば叶う」ことを表す言葉です。

 

⑤の「祈祷」は、一般的には、僧侶や祈祷師、神主などの特別な力を持った者が、神仏に祈りをささげることを言います。祈祷は「他力本願」です。

「祈念」の英語訳

「祈念」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • prayer
    (祈念)

「祈念します」という形で用いたいときは、動詞の “pray” を使用します。

例文は以下の通りです。

  • I pray for your company’s development.
    (貴社の発展を祈念します。)
  • I pray that your family gets well soon.
    (私はあなたのご家族が早く良くなることを祈念します。)

まとめ

以上、この記事では「祈念」について解説しました。

読み方祈念(きねん)
意味願いごとを祈って、その達成を念ずること。
語源「神仏に心中思うことを告げ、実現をねがう。」と「かねての望み。念願。」という意味の漢字から
類義語祈る、願う、祈願、心願、祈祷など
英語訳prayer(祈念)

今回は、ビジネスシーンにおいてよく使用される「祈念」を紹介しました。「祈念」という熟語単体で使用されることは少なく、定型のフレーズで使われることが多いです。使う場面と合わせてそれぞれ覚えましょう。