読み方が同じで意味も似ている言葉は、混同して使われることが多いです。
「機械」と「器械」はその中のひとつと言えます。使われる頻度は「機械」が多いですが、「器械」と表現すべき場合も少なくありません。間違えのないように意味の違いを理解しましょう。
この記事では、「機械」と「器械」の違いについてわかりやすく解説していきます。
結論:「機械」は動力によって一定の運動を行う装置、「器械」は動力を使わない装置、道具
「機械」をもっと詳しく
「機械」は「動力によって目的に応じた一定の運動・仕事を行う装置」を指します。
動力とは、外部から与えられるエネルギーのことです。エネルギーにはいくつか種類があります。代表的なエネルギーを以下にまとめました。
- 熱エネルギー
- 電気エネルギー
- 運動エネルギー(風力や水力など)
「機械」の働きを、車を例に挙げて説明します。車はガソリンを燃焼させて生み出した熱エネルギーによって、タイヤを回転させています。
動力は熱エネルギーにあたり、一定の運動はタイヤの回転にあたります。そして、「前に進む」という目的を果たしています。
「機械」の使い方の例
実際にどのように「機械」が使われるのか、例を挙げて説明します。
- 彼は右手の中指を、工場の機械に巻き込まれて失っている。
- 我が研究室でも、最近はやりの機械学習を取り入れてみようと思う。
- 内職のコツは、何も考えず機械的に手を動かすことだ。
②は「機械学習」で、「人の手による作業でプログラミングしていたものを、大量のデータから自動的に構築すること」を指します。つまり、「AIが自律的に物事を学ぶ技術」と言い換えられます。
「機械」本来の意味とは離れますが、近年よく耳にする言葉であるため、知っておいて損はありません。
③は「機械的」で、「機械が動くように、意思をもたずに決まった動作を行うさま」を表します。
「器械」をもっと詳しく
「器械」は「実験・測定などに使われる装置・道具」を指します。
「機械」との大きな違いは、「動力装置を持っているか否か」です。
先ほど説明した「機械」は、動力を運動・仕事に変換している装置を持っていました。しかし、「器械」は動力装置を持ちません。
つまり、「器械」の使用には人間の操作がかかせません。
主に実験や測定に使われるものを「器械」と呼ぶため、同義語である「道具」より「精密なもの」というニュアンスが強い言葉です。
「器械」の使い方の例
実際にどのように「器械」が使われるのか、例を挙げて説明します。
- 小学校の理科の実験では、器械の正しい使い方を教えている。
- 測定器械であるメスフラスコは熱に弱いため、加熱して乾かしてはならない。
- 高校生になった今でも器械体操が苦手だ。
②の「測定器械」は「長さ・重さなどを測る装置」を表します。メスフラスコは体積を測るフラスコです。メジャーや天秤(てんびん)なども「測定器械」の一種です。
③の「器械体操」は、「とび箱や平均台などの装置を使用する体操」のことです。
まとめ
以上、この記事では、「機械」と「器械」の違いについて解説しました。
- 機械:動力によって目的に応じた一定の運動・仕事を行う装置
- 器械:動力を使わない装置・道具
「動力装置の有無」という、わかりやすい違いがありました。もしどちらか迷った場合には、その装置を「器具」や「道具」と言い換えてみましょう。しっくり来たらそれは「器械」です。
「機械」と「器械」をまとめて「機器」と呼ぶこともあわせて覚えてください。