“kid” や “child” は、英語を学び始めると、最初の段階で覚える簡単な単語ですね。どちらも「子ども」を表す名詞です。
しかし、両者の違いについては、きちんと習う機会はないのではないでしょうか。そこでこの記事では、 “kid” と “child” の区別や用例について解説します。
☆「child」「kid」の違いをざっくり言うと……
kid | child | |
---|---|---|
言葉を使う場面 | カジュアル | フォーマル |
「子ども」の特徴 | 自分も相手も知っている子ども | 親に対する子ども |
「子ども」以外の意味 | 子ヤギ・自分よりも程度や年齢が下の人 | 子どもじみて経験不足の人 |
このページの目次
結論: “kid” はくだけた表現 “child” は正式な表現
- kid:話し手と聞き手が知る子どもを指すことが多い。自分より程度が低い大人を呼ぶことも。
- child:「親」に対する「子ども」。子どもじみて経験不足の大人を指す場合もある。
はじめに: “kid” も “child” も単数名詞
はじめにおさえておきたいのは、 “kid” と “child” はどちらも単数名詞であるということです。
複数形になると、kid は “kids” に、child は “children” に変化します。
この記事では “kid” と “child” について解説しますから、どのような意味であっても「1つのもの」を表すということに注意しましょう。
“kid” の意味と例文
“kid” の用法は、以下の3つです。
- 子ヤギ(子ヤギの革)
- 日常会話で言う場合の「子ども」
- 自分よりも程度が低い人への呼びかけ
以下、1つずつ詳しく解説します。
①子ヤギ(子ヤギの革)
もともと “kid” は子ヤギを指す言葉だったため、現在でも子ヤギや子ヤギの革のことを表す場合があります。たとえば、以下のように使うことができます。
- This shoes are made of kid. (この靴はヤギの革からできている)
②日常会話で言う場合の「子ども」
子ヤギを指す言葉だった “kid” は、やがて人間の子どもを表す俗語(ぞくご)として使われるようになりました。
この由来からわかるように、kid は子どもを表すカジュアルな言い回しなのです。正式な場面では不適切な表現なので、注意しましょう。
また、kid は、話し手と聞き手がどちらも知っている子どもについて話すときによく使われます。
- I love my kid. (私は我が子を愛しています)
③自分よりも程度が低い人への呼びかけ
大人に対しても “kid” を使う場合があります。
たとえば、話し手よりも若い人物であれば kid と呼びかけることがあります。年齢だけでなく、自分よりも程度が下と思われる人物に対して、軽蔑するような意味合いで使う場合もありますから、乱用はしないようにしましょう。
- There is a college kid in the library. (図書館に大学生がいる)
- Hey, kid! Come here. (ちょっと、きみ! こっちにおいで)
“child” の意味と例文
“child” の用法は以下の3つです。
- 正式な場面で言う場合の「子ども」
- 社会的背景から大きな影響を受けた人
- 経験のない人、子どもじみた人
以下、1つずつ詳しく解説します。
①正式な場面で言う場合の「子ども」
child は、子どもを表す丁寧な表現ですから、書き言葉や正式な場面での話し言葉として使うことができます。
また、「親に対しての子」という意味合いが強いということも特徴です。つまり、親(pearent)の対義語なのです。例として、以下2つのような文が挙げられます。
- I saw Tom’s child yesterday. (私は昨日、トムの子どもに会った)
- Mary is an only child. (メアリーはひとりっ子だ)
②社会的背景から大きな影響を受けた人
“kid” と同じように、 “child” も成人に対して使う場合があります。
まず、社会的な背景から大いに影響を受けた人を child と表す場合があります。たとえば、以下のような例文が挙げられます。
- I am a child of the smartphone era.(私はスマートフォン時代の申し子だ)
③経験のない人、子どもじみた人
大人であっても、経験不足な人や、あることに対して疎い(うとい)人、子どもじみている人を child と表すこともあります。次の例文を読んでみましょう。
- He is a child about money.(彼は、お金のことに関してはまるで子どもだ)
- Don’t be a child! (ばかな真似はやめなさい)
補足: “baby” の意味を解説
“baby” も “kid” や “child” と同じように「子ども」を指す言葉です。それでは、 “kid” “child” とはどのように異なるのでしょうか。
まず、 “baby” は日本語で「赤ちゃん」と訳され、2歳前後の子どもを指します。
“kid” “child” と決定的に違うのは、人間だけでなく、動物の赤ちゃんも指すことができるという点です。 “kid” や “child” は人間の子どもしか表せないのです。
“kid” “child” との共通点もあります。それは、子どもだけでなく大人を指すこともあるということです。
まず、集団のなかで最年少のメンバーは、成人であっても “baby” と呼ばれる場合があります。また、 “kid” “child” と同じように、子どもじみた人や臆病な人をけなす言葉としても使われます。
なお、恋人が互いを baby と呼び合うこともありますが、一般的には男性が女性にむやみに baby と呼びかけることは侮辱行為とされています。
つまり、 “baby” には、以下のような特徴があるのです。
- 人間と動物の赤ちゃん
- 集団のなかで最年少の人
- 子どもじみた人
- 恋人同士の呼びかけ
まとめ
以上、この記事では、 “kid” と “child” の違いについて解説しました。あらためて、両者の違いを表で復習しましょう。
kid | child | |
---|---|---|
言葉を使う場面 | カジュアル | フォーマル |
「子ども」の特徴 | 自分も相手も知っている子ども | 親に対する子ども |
「子ども」以外の意味 | 子ヤギ・自分よりも程度や年齢が下の人 | 子どもじみて経験不足の人 |
“kid” をあらたまった場面で使ってしまうと、マナー違反になってしまいますね。また、 “kid” も “child” も大人に対して使うことができるものの、相手を揶揄(やゆ)するような意味を含んでいますから、深く考えずに乱用すると相手を傷つけてしまう恐れもあります。
このように、 “kid” と “child” は簡単な英単語に見えますが、両者を使いこなすためには注意が必要なのです。