「婚約」「結婚」「入籍」は全て、男女が1つの家族になることの意味で使われることが多いですが、本当の意味は異なります。
この記事では、これらの違いについて詳しく解説します。
結論:婚約は結婚の前段階で、入籍は関係ない
「結婚」とは、夫婦になることです。
「入籍」とは、既に存在している戸籍に、誰かが入ることを表します。
婚姻届を提出した場合はどちらかの戸籍に入るわけではなく、二人で新しく戸籍を作ることになるので、入籍とは言いません。
「婚約」をもっと詳しく
婚約とは、結婚を約束することです。
一般的にはどちらかが口頭でプロポーズをし、相手が受けることにより成立します。
そして結婚指輪や結納などによって、婚約の状態を明確にすることができます。これらは公的書類に相当するため、勝手な理由により一方が破棄した場合は損害賠償の責任を負う場合もあります。
結納(ゆいのう)とは
両家が結びつき結納などを送り合って、婚約を公にする儀式です。
「正式結納」と「略式結納」などのスタイルがあり、地域によって内容が異なります。
- 正式結納:両家は直接顔を合わせず、仲人が両家を行き来する
- 略式結納:両家が一堂に会して結納の儀式を行う
結納は手間も費用もかかります。そのため最近では、結納の代わりに両家の顔合わせの意味を含めた食事会をするカップルが増加しています。
また友人などを集めて、「婚約パーティー」を開く場合もあります。
結婚指輪と婚約指輪の違い
結婚指輪
夫婦がお揃いでつける指輪のことです。
結婚式で互いに交換し合うのが一般的です。夫婦となることへの誓いの証と、周囲に結婚していることを知らせる目的があります。
2013年のブライダル総研のアンケートによると、結婚指輪の平均額は2人合わせて約21.1万円で、検討開始時期は結婚式の約7.3ヶ月前、決定・申し込み時期は結婚式の約5.5前が平均です。
婚約指輪
結婚をすることを約束する証として、主に男性から女性へ送る指輪のことを指します。
平均額は約33.31万円で、検討開始時期は結婚式の約11.2ヶ月前、決定・申し込み時期は約9.8ヶ月前というデータが出ています。
「結婚」をもっと詳しく
結婚とは、夫婦になることを指します。
結婚には大きく分けて法律婚と事実婚の2種類があります。
法律婚とは
法律婚とは、法律で夫婦と認められた関係のことです。
役所に「婚姻届」を提出することで成立します。入籍届ではありません。
また、婚姻届を提出する時に「本拠地」と「姓」を選択します。
本籍地は後に変更できますが、姓は一度受理されたら原則として変更は認められません。
そのため慎重に決断する必要があります。
そして、婚姻届を提出した際に発生する義務は以下の通りです。
- 家事や債務の連帯責任
- 婚姻費用の分担
- 貞操義務
- 実子の監護義務
- 同居して互いに協力して扶養する義務(互いに生活の面倒を見る)
- 遺産を相続する権利
次に、最近増えている「事実婚」という形について説明します。
事実婚とは
事実婚は婚姻届を提出しないので、法律上では夫婦ではない結婚の形です。
法律婚と同等の権利と義務があり、社会保険や世の中のサービスも利用できます。ただし、税金面では以下のデメリットが存在するのが現状です。
- 同じ姓を名乗る
- 配偶者控除・特別配偶者控除の利用…妻が専業主婦でない場合は不要
- 財産の相続…遺言を書くことで権利を得ることができる
- 厚生年金の年金分割
事実婚のメリット
事実婚をする理由に多いのが、姓の変更の必要がないためです。現在結婚した場合、約9割の人が男性の姓に変更します。しかし仕事の関係や結婚したことをオープンにしたくないなどの理由で、現在の姓を継続して使用するために事実婚を選択する人が増えています。
また、免許証やパスポートなどの姓を変更する手続きや、別れる際の離婚手続きが不要だからという人もいます。
「入籍」をもっと詳しく
入籍とは、既に存在している戸籍に誰かが入ることです。
芸能人が結婚した際に「入籍」とメディアが報じるため、結婚=入籍という認識が一般的です。
しかし、結婚は二人で新たに戸籍を作ることなので、入籍に該当しません。
「入籍届」を役所に提出する具体的なケースは、以下の2つです。
- 再婚時に女性の連れ子の戸籍を、男性の戸籍に移す場合
- 離婚後に子供の氏を、母親の氏に変更する場合
その他、「子供が誕生した場合」と「養子縁組で養子を受け入れる場合」には、入籍という言葉を使いますが、入籍届は提出する必要がありません。
その理由は、子供が誕生した場合には「出生届」が、養子を受け入れる場合には「養子縁組届」が入籍届の役割も担っているからです。
まとめ
以上、この記事では、「婚約」「結婚」「入籍」の違いについて解説しました。
- 婚約:結婚を約束すること
- 結婚:夫婦になること
- 入籍:既に存在している戸籍に誰かが入ること