今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「経世済民(けいせいさいみん)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「経世済民」をざっくり言うと……
読み方 | 経世済民(けいせいさいみん) |
---|---|
意味 | 世を治め、人々を苦しみから救うこと。 |
由来 | 『抱朴子』や『文中子』 |
類義語 | 救世済民、経国済民など |
英語訳 | governing a nation and providing relief to people(国を治め、人々に安心を与える) |
「経世済民」の意味をスッキリ理解!
「経世済民」の意味を詳しく
経世済民は、「世を治め、人々を苦しみから救うこと」を意味する四字熟語です。
この四字熟語は「経済」の由来となっています。これは “economy” という英語が日本に入ってきた際に、その訳語として経世済民を略して当てはめたものだからです。
しかし、「経済」と「経世済民」は意味が異なります。「経済」がお金の動きを表すのに対して、「経世済民」は世の中の人々を救うことを指すからです。また、読み方も「けいせいざいみん」ではないので、注意しましょう。
経世済民は、二つの熟語から構成されています。世の中をうまく治めることを意味する「経世」と、人々を救うことを意味する「済民」です。これが合わさって、経世済民は「世を治め、人々を苦しみから救うこと」を意味します。また、そういった状態を実現させる政治を指すこともあります。
「経世済民」の使い方
- 彼は経世済民の志(こころざし)を持って、政治家になることを決意した。
- 経世済民を掲げる立候補者はたくさんいるが、それが実現できるかどうかは疑わしい。
- 国王は、「経世済民のために全てを捧げる」と国民に誓った。
「経世済民」の由来
経世済民の由来は、古代中国の『抱朴子(ほうぼくし)』にあると言われています。
実際に『抱朴子』に登場するのは「経世済俗(けいせいさいぞく)」という四字熟語ですが、経世済民と同じく「世を治め、人々を救う」という意味で用いられています。というのも、この時代には「民」という漢字と「俗」という漢字は互いに取り替えると考えられていたからです。
現在と同じ漢字の並びで「経世済民」が初めて登場したのは、『文中子(ぶんちゅうし)』という書物だと考えられています。このなかに「皆有經濟之道、謂經世濟民」という文章があるのです。「經濟」は「経済」を、「經世濟民」は「経世済民」を表しています。
「経世済民」の類義語
経世済民には以下のような類義語があります。
- 救世済民(きゅうせいさいみん):世の中を救い、人々を助けること。
- 経国済民(けいこくさいみん):国を治め、人々の生活を安定させること。
- 修身斉家(しゅうしんせいか):正しい行いをし、家庭を治め、天下を平和に導くこと。
「経世済民」の英語訳
経世済民を英語に訳すと、次のような表現になります。
- governing a nation and providing relief to people
(国を治め、人々に安心を与える)
まとめ
以上、この記事では「経世済民」について解説しました。
読み方 | 経世済民(けいせいさいみん) |
---|---|
意味 | 世を治め、人々を苦しみから救うこと。 |
由来 | 『抱朴子』や『文中子』 |
類義語 | 救世済民、経国済民など |
英語訳 | governing a nation and providing relief to people(国を治め、人々に安心を与える) |
「経済」が馴染み深い言葉であるため、経世済民の意味や読み方は間違えやすいものです。きちんと覚えて、誤用しないようにしましょう。