今回ご紹介する言葉は、ことわざの「一年の計(けい)は元旦(がんたん)にあり」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「一年の計は元旦にあり」をざっくり言うと……
読み方 | 一年の計(けい)は元旦(がんたん)にあり |
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意味 | 一年の計画は元旦に立てるべきであるということ |
由来 | 『月令広義』・毛利元就の言葉にある、「一年の計は春にあり」という文から |
類義語 | 一年の計は少壮の時にあり、一日の計は朝にありなど |
英語訳 | New Year’s Day is the day for planning the coming year.(元旦は、1年の計画を立てる日だ。) |
このページの目次
「一年の計は元旦にあり」の意味をスッキリ理解!
「一年の計は元旦にあり」の意味を詳しく
「一年の計は元旦にあり」は、1年間の計画は元旦に立てるべきであるということを意味することわざです。
また、行動する前に計画を立てたほうが、うまくいくということも表します。こちらの意味の場合は、物事全般における計画的行動を勧めることわざになります。
「一年の計は元旦にあり」の「計」は、計画のことです。また、「元旦」は、1月1日のこと・1月1日の朝のことを指します。
また、「元旦」を「元日」「正月」と言い換えることもあります
「元旦に起きたことが、その後の一年に影響する」という意味で解釈している人がいますが、こちらは誤りです。
似ている表現として、「一日の計は朝(あした)にあり」があります。「一日の計は朝にあり」は、1日の計画は、その日の朝立てるべきであるということ・事前に計画を立てたほうが上手くいくということを意味します。
「一年の計は元旦にあり」の使い方
- 今日から新しい年だ。一年の計は元旦にありとも言うし、フレッシュな気持ちで今年の計画を立てよう。
- 明日は、取引先の企業と商談がある。一年の計は元旦にありと言うから、必要な書類を早めに集め、商談内容の想定をしておこう。
一方、➁の例文は、「行動する前に計画を立てたほうがうまくいく」という意味で「一年の計は元旦にあり」を使用しています。
「一年の計は元旦にあり」の由来
「一年の計は元旦にあり」の由来は、定かではありません。しかし、有力とされる説が2つあります。
1つが中国の書物『月例広義(げつりょうこうぎ)』を由来とする説、もう1つが毛利元就(もうりもとなり)の言葉を由来とする説です。
以下、順を追って説明します。
由来を『月例広義』とする説
『月令広義』は、中国の年中行事や儀式について解説した本です。中国が明の時代に、馮應京(ひょうおうきょう)という学者が書きました。
由来とされているのは、以下の部分です。
一日(いちじつ)の計は晨(あした)にあり、一年の計は春にあり、一生の計は勤にあり、一家の計は身にあり
これを日本語に訳すと、以下のようになります。
「一日の計画は早朝に立てるのが重要。一年の計画は、元日に立てるのが重要。一生の計画は、真面目に努力することで決定する。家族の計画は、主人の生き方で決まる。」
以上の「一日の計」「一年の計」「一生の計」「一家の計」の4つは、『月令広義』において、良い人生に必要な計画であるとされています。この4つをまとめて「四計」と呼びます。
由来を毛利元就の言葉とする説
毛利元就は、戦国時代の武将です。中国地方の国を制覇し、一大勢力を形成しました。
毛利元就は、長男の毛利隆元への手紙で、以下のことを書きました。
一年の計は春にあり 一月の計は朔(ついたち)にあり 一日の計は鶏鳴にあり
この場合の「春」は、年はじめの1日という意味です。また、「朔」は月初めの1日のことです。「鶏鳴」は鶏が最も鳴く時間帯である朝を表します。
つまり、「1年間の計画は年はじめの1日に、1月の計画は月始めの1日に、1日の計画は朝に立てるべきだ」という意味です。
『月例広義(げつりょうこうぎ)』を由来とする説・毛利元就の言葉を由来とする説の両方に共通しているのが、「一年の計は春にあり」という表現です。
この表現が転じて「一年の計は元旦にあり」という表現になり、ことわざとして定着しました。
「一年の計は元旦にあり」の類義語
「一年の計は元旦にあり」には以下のような類義語があります。
- 一年の計は少壮(しょうそう)の時にあり
- 一日の計は朝にあり
「少壮」は、「若くて元気なこと」という意味です。
「一年の計は元旦にあり」の英語訳
「一年の計は元旦にあり」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- New Year’s Day is the key of the year.
(元旦は1日の鍵である。) - New Year’s Day is the day for planning the coming year.
(元旦は、1年の計画を立てる日だ。) - The whole year’s plans are made on New Year’s Day.
(1年の計画は、元旦に立てられる。)
まとめ
以上、この記事では「一年の計は元旦にあり」について解説しました。
読み方 | 一年の計(けい)は元旦(がんたん)にあり |
---|---|
意味 | 一年の計画は元旦に立てるべきであるということ |
由来 | 『月令広義』・毛利元就の言葉にある、「一年の計は春にあり」という文から |
類義語 | 一年の計は少壮の時にあり、一日の計は朝にありなど |
英語訳 | New Year’s Day is the day for planning the coming year.(元旦は、1年の計画を立てる日だ。) |
普通、正月は学校や仕事が休みになります。そのため、過ごし方は人それぞれだと思います。しかし、家でダラダラしていたら正月が終わってしまっていた、という経験は誰しもがあるのではないでしょうか。
もちろん日頃の疲れを取ることも重要です。しかし、「一年の計は元旦にあり」に従い、1年の計画を立てることも非常に意義があるでしょう。ぜひ一度、試してみてください。