今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「花鳥諷詠(かちょうふうえい)」です。
言葉の意味・使い方・由来・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「花鳥諷詠」をざっくり言うと……
読み方 | 花鳥諷詠(かちょうふうえい) |
---|---|
意味 | 人間界・自然界における季節の移り変わりを、そのまま客観的にうたうべきという俳句理念 |
由来 | 高浜虚子が、俳句の理念として提唱した造語 |
類義語 | very objective description on nature(非常に客観的な自然描写)、 beauties of nature and the harmony between nature and man(自然の美しさ。または、人間と自然の調和) |
「花鳥諷詠」の意味をスッキリ理解!
「花鳥諷詠」の意味を詳しく
「花鳥諷詠」は近代俳句の理念の一つです。
「花鳥諷詠」は「花鳥」と「諷詠」の二つの熟語で成り立っています。「花鳥」は、「自然の美しい風景」を指します。俳句では、「花鳥」は季語(きだい)として使われます。季題とは、季節を表す言葉のことです。
一方、「諷詠」は「詩歌をうたい、つくること」を意味します。
「花鳥諷詠」は、自然や人間をあるがままに詠み(よみ)、伝統的な五・七・五の17音の形式を尊重することを説いた理念です。また、「季題の約束を守ることで、景色や風景をあるがままに詠むことができる」としました。
「花鳥諷詠」の使い方
- 若い頃は、派手に装飾されたものを美しいと思っていた。しかし、歳を重ねると自然のありのままの姿にひかれるようになった。つまり、花鳥諷詠の世界観がわかるようになったのだ。
- この俳句は、季題や五・七・五のリズムに沿って、自然があるままにうたわれている。つまり花鳥諷詠に基づいて詠まれている。
「花鳥諷詠」の由来
「花鳥諷詠」は、高浜虚子(たかはまきょし)という俳人が提唱したのがはじまりです。彼は日本において明治から昭和にかけて活躍しました。虚子は、1927年の句会で、俳句の理念として「花鳥諷詠」という言葉を提唱したのです。
高浜虚子は、1874年に愛媛県松山市に生まれました。同級の河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)を介して俳人の正岡子規(まさおかしき)と出会い、子規のもとへ入門しました。
そして、松山で、正岡子規と共に『ホトトギス』という雑誌を創刊します。子規の死後も引き継いで、発行を続けました。
正岡子規の死後、正岡子規の死後、俳句界は2つの派閥に分かれました。
1つは、河東碧梧桐を中心とする「新傾向俳句」です。17音の形式や、季題にとらわれない俳句の詠み方を提唱しました。
もう1つは、高浜虚子を中心とする「ホトトギス派」です。「ホトトギス派」は、17音の形式や季題などの伝統を守ることを主張しました。また、見たものをできるだけ具体的に描く「客観写生(きゃっかんしゃせい)」を重要視しました。
この指針を表す言葉として、高浜虚子が提唱したのが「花鳥諷詠」という言葉でした。それ以来、「ホトトギス派」の指導理念となったのです。そして現在まで受け継がれています。
「花鳥諷詠」の英語訳
花鳥諷詠を英語に訳すと、次のような表現になります。
- very objective description on nature
(非常に客観的な自然描写) - beauties of nature and the harmony between nature and man
(自然の美しさ。または、人間と自然の調和)
まとめ
以上、この記事では「花鳥諷詠」について解説しました。
読み方 | 花鳥諷詠(かちょうふうえい) |
---|---|
意味 | 人間界・自然界における季節の移り変わりを、そのまま客観的にうたうべきという俳句理念 |
由来 | 高浜虚子が、俳句の理念として提唱した造語 |
類義語 | very objective description on nature(非常に客観的な自然描写)、 beauties of nature and the harmony between nature and man(自然の美しさ。または、人間と自然の調和) |
俳句を親しむ人の数は、昔に比べて減っています。しかし、この機会に、先人たちが築いてきた俳句の世界を覗いてみるのも良いでしょう。