「方々」の意味とは?読み方は?使い方から類語や英語まで解説

Concept creative idea and innovation. Hand flip over wooden cube block with head human symbol and light bulb icon
言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「方々(かたがた・ほうぼう)」です。

言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「方々」をざっくり言うと……

読み方方々(かたがた)
意味①複数の人々を敬っていう語。あのかたこのかた。
②さまざまに。いろいろと。
③あちこちの場所や方角。
類義語皆様、〜がてら、あちこちなど
英語訳①people(方々)②〜 and …(〜のついでに…)③Here and there、everywhere(あちらこちら)

「方々」の意味をスッキリ理解!

方々(かたがた・ほうぼう):複数の人々を敬っていう語。さまざまに。いろいろと。あちこちの場所や方角。

「方々」の意味を詳しく

「方々」には以下の3つの意味があります。

  1. 複数の人々を敬っていう語。あのかたこのかた。
  2. さまざまに。いろいろと。
  3. あちこちの場所や方角。

①と②は、「かたがた」と読みます。

①の「方々」は、「人々」を丁寧に表す敬語表現です。そのため、かしこまった場で使われ、社内の人間など身内に対しては使用しません。

また、本来は複数の人を表しますが、1人に対して使用することもできます。

 

②は、2つ以上の事実や状態が並存することを意味しています。「~を兼ねて」「~がてら」といった、何かをするついでに他のことをする場合に接続詞として用いられます。

「ついで」よりも丁寧に伝えることができるため、一般的にはビジネスシーンにおいて感謝の気持ちと別に伝えたいことがある場合によく使用されます。

 

③は、いろいろな場所へ向かう様子や、いろいろな方角や場所を表します。

「ほうぼう」と読み、一般的には「方々」と漢字で書くより「ほうぼう」とひらがなで書きます。

 

上の3つの意味と読み方をまとめると以下の通りになります。

番号意味読み方
複数の人々を敬っていう語。あのかた、このかた。かたがた
2つ以上の事実や状態が並存することを表す接続詞かたがた
いろいろな場所へ向かう様子や、いろいろな方角や場所ほうぼう

 

「方々」の使い方

①の意味で使用するときには、「方々」と単体で使うのではなく、修飾する語句を伴って使う必要があります。

そのため、「~の方々」のように用いましょう。

例文は以下の通りです。

  • ご来場の方々にお知らせいたします。

  • ご協力いただいた方々に、感謝申し上げます。

 

②の意味で使用するときは以下のように用いられることが多いです。

  • お礼方々ご連絡まで(お礼を兼ねて連絡します。)
  • お礼方々お伺いいたします。(お礼のついでに伺います。)

例文は以下の通りです。

  • 先日は大変お世話になりました。お礼方々ご挨拶申し上げます。
  • 新規事業についてお話ししたいので、ご挨拶方々伺いたく存じます。

 

③の意味で使用する場合は、以下のように使います。

  • 方々(ほうぼう)探してついに新規取引先を見つけた。
  • 方々(ほうぼう)の県から農業体験者がやってくる。

 

また、「方々」を使用するのを避けた方がいい場面があります。それは、結婚式などの祝いの席です。

なぜかというと、「方々」を忌み言葉として捉える人がいるためです。

忌み言葉とは
  • 宗教上の理由や特定の場所などでは使用を避けるべき言葉のこと

「方々」そのものは忌み言葉ではないのですが、2回同じ言葉を繰り返す重ね言葉であるため、「続いたらよくないこと」や「何度もあったらよくないこと」の際には使いません。

結婚式などのお祝いの席は、「何度もあったらよくないこと」にあたります。そのため、「ご出席の方々」という表現は避け、「いらしてくださった皆様」「お世話になった方々」などと言い換えた方が無難でしょう。

「方々」の類義語

①〜③の意味ごとに類義語をまとめていきます。

複数の人々を敬って言う場合

  • 皆様:その場にいるすべての人、また、その事に関係のあるすべての人。 敬意をこめていう。

「方々」と「皆様」の違いは以下の通りです。

「方々」と「皆様」の違い
  • 方々:単独で用いることができず修飾する語句が必要。
  • 皆様:単独で用いることができる

「方々」は、「お越しの方々」や「ご来場の方々」など、前に修飾する語句が必要になります。

また、注意を喚起したい場合は、「方々」よりも呼びかけることを表す「皆様」を用いたほうが良いでしょう。

2つ以上の事実や状態が並存することを指す接続詞の場合

  • 〜がてら
  • 〜のついでに
  • 〜を兼ねて

上記は少し砕けた表現になるために、取引先や目上の人に対しては「方々」を用いた方が適切です。

いろいろな場所や、いろいろな場所へ向かう様子を指す場合

  • あちこち
  • あちらこちら

「方々」の方が改まった表現になるため、ビジネスシーンでは「方々」を用いた方がいいでしょう。

「方々」の英語訳

「方々」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  1. people
    (方々)
  2. 〜 and …
    (〜のついでに…)
  3. Here and there
    everywhere
    (あちらこちら)

まとめ

以上、この記事では「方々」について解説しました。

読み方方々(かたがた)
意味①複数の人々を敬っていう語。あのかたこのかた。
②さまざまに。いろいろと。
③あちこちの場所や方角。
類義語皆様、〜がてら、あちこちなど
英語訳①people(方々)②〜 and …(〜のついでに…)③Here and there、everywhere(あちらこちら)

「方々」には3つの意味があります。意味のよって呼び方も変わるため、それぞれの意味の読み方や使い方に注意して覚えましょう。