「笠」と「傘」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

雨のシーズンになると、傘が手放せませんね。

ところで、「笠」と「傘」の使い分けはできていますか?どちらも「かさ」と読みますが、「傘」の方は知っていても、「笠」を具体的に説明できる人は、少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、「笠」と「傘」の違いについて解説します。

結論:かぶるのが「笠」、差すのが「傘」

どちらも、日差しや雨風を避けるために使われる道具です。

「笠」は帽子のように頭にかぶって、「傘」は頭上に差して使うものです。

「笠」をもっと詳しく


「笠」とは、雨や日光を除けるためにかぶる、薄いとんがり帽子のことを指します。

材料は、イグサ、ヒノキ、竹など地域によって様々です。

「笠」は古代の時代から主にアジアで広く使われており、中国で最も古い詩集にもその名前を見ることができます。

日本での歴史も古く、最古の歴史書である「日本書紀」に登場しており、埴輪(はにわ)にも「笠」をかぶったものが多くみられます。平安時代の女性貴族が「市女笠(いちめがさ)」を、鎌倉時代の武士が狩猟や流鏑馬(やぶさめ)の時に「綾蘭笠(あやいがさ)」を用いるなど、男女問わず生活に浸透していました。

 

しかし、明治時代以降は、帽子や洋傘が普及したことで、あまりその姿が見られることはなくなっていきました。

現在、「笠」といって最初に思い浮かぶのは、ベトナムではないでしょうか。これは「ノンラー」と呼ばれ、赤道近くに位置するベトナムでは、現在でも広く使われています。

「傘」をもっと詳しく


「傘」とは、頭上に差して、日差しや雨を防ぐ道具です。

「傘」の歴史も古く、古代文明において従者が王のために傘を指している様子が、多くの彫刻に見られます。

日本でも古代に中国から伝来し、江戸時代には和紙や竹を使った「和傘」が普及しました。

現在広く使われているのは、明治時代にヨーロッパから入ってきた「洋傘」といわれるものです。

キノコの「かさ」は?


それでは、キノコの「かさ」や電球の「かさ」という場合には、どちらの漢字を使う方が正しいのでしょうか?

キノコの「笠」が正解です。辞書の「笠」の説明には、「笠の形をしたものも笠と呼ぶ」との説明がある一方、「傘」には差して用いる傘の用法のみでそもそも同じ形状のものを指す意味はありません。

ですので、キノコの頭の部分や、ランプシェードを表すには「笠」を用いるのが正しいです。

しかし、現在あまり「笠」が使われていないせいか、一般的にはキノコの「傘」と表記されています

まとめ

以上、この記事では、「笠」と「傘」の違いについて解説しました。

  • :頭にかぶり、雨や日差しを防ぐ道具
  • :頭上に差し、雨や日差しを防ぐ道具

笠の方は見ることや、使う機会はあまりないかもしれませんが、両者の違いを理解しておけるといいですね。