「感傷」の意味とは?使い方から英語や類義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「感傷(かんしょう)」です。

言葉の意味・使い方・類義語・英語訳について分かりやすく解説します。

☆「感傷」をざっくり言うと……

読み方感傷(かんしょう)
意味心を痛めること
類義語傷心、哀傷、悲哀
英語訳sentimental(感傷的な)

「感傷」の意味をスッキリ理解!

感傷(かんしょう):心を痛めること

「感傷」の意味を詳しく

「感傷」とは、主に「物事によって心を痛めること」を表します。

 

「感」は、心の動きを表す漢字です。特に、物事によって心を良くも悪くも動かされることを「感じる」と言います。

「感」自体は喜怒哀楽を問いません。どういう心情であれ、心の中が突き動かされることを全般的に表します。

また、「感」は「〇〇感」という使われ方も多くされます。このように、「感」は、自分の感じた心情を他人にわかりやすく伝える言葉です。

 

「傷」は、身体が怪我を負った様子を意味するだけでなく、人間の内面が傷つけられた様子も意味します。

身体的にでも精神的にでも、傷を負うと痛みます。そのため、「感傷」の「傷」は心が痛んでいるという意味を持ちます。

この「傷」というマイナスイメージのある言葉を含んでいることから、「感傷」はネガテイブな心情になっている様子を表します。

 

また、「感傷」には2つの意味が存在します。

1つは「心を痛めること」、もう1つは「物事に心を動かされやすく、すぐに感情的になる心の傾向」という意味です。

 

「心を痛めること」という意味は、すべての人について使われます。悲しい物語を聞いたり、辛い経験をしたりした時、人の心が悲しくなる様子を示します。

もの悲しい気持ちになることや、暗い気持ちを表す時に「感傷」が使われます。

 

もう1つの「物事に心を動かされやすく、すぐに感情的になる心の傾向」という意味は、人の状態を表します。

この意味が使われる人物は、常日頃から感受性が豊かで、さまざまなことにすぐ心を痛める性質を持っている人です。俗に言う「センチメンタルな人」がこの意味に当てはまります。

このように、「感傷」には2つの意味があるため、用途によって使い分けましょう。

「感傷」の使い方

  1. シェイクスピアの悲劇作品を観て、感傷に浸る。
  2. 彼女は小さなことですぐに泣いてしまう、感傷的な人だ。
  3. 楽しかった学生生活が終わってしまい、感傷的な気分になる。
  4. 紅葉(もみじ)が色づき散っていく秋の風景は、感傷を誘う。

「感傷」は、人の感情を伝える言葉であることから、小説内で、登場人物の感情を表す言葉としてよく用いられます。

また、「感傷」は感情そのものであり、人の内面から自然と湧き上がってくるものです。

つまり、「感傷」が理性と結びつくことはありません。そのため、頭の中で思考を重ねた結果、落ち込んだ様子を「感傷的になる」とは言いません。

「感傷」はあくまで「感性」と結びつくものであり、直感的なニュアンスがあります。したがって「感傷」は、何かを見たり聞いたりして、ハッと心が虚しくなった様子を表す時に用いるのが正しい使い方です。

「感傷」の類義語

感傷には以下のような類義語があります。

  • 傷心(しょうしん):悲しく思い、心を痛めること
  • 哀傷(あいしょう):心に物事を深く感じ、物思いにふけること
  • 悲哀(ひあい):悲しく哀れであること

上記はどれも、「心を痛めること」を指している点で「感傷」の類義語にあたります。この意味は、「感傷」で最も使われる意味であるため、類義語を覚えておくと便利です。

「感傷」の英語訳

感傷を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • sentimental
    (感傷的な)
  • sentiment
    (情緒)

sentimental は、日本においてカタカナ表記の「センチメンタル」としてよく使われます。

しかし、日本で使われている「センチメンタル」は、「物事に心を動かされやすく、すぐに感情的になる心の傾向」という意味合いの方を強く持ちます。

感傷的になった心情が長い間続き、精神が弱々しくやつれてしまっている状態を表すのが、現代で使われる「センチメンタル」の意味です。つまり、情緒不安定と同じ状態にあることを示します。

 

また、「センチメンタル」は、人の感情を表す他に、物にも使われることがあります。

例えば、「センチメンタルな曲」と言うと、「心に深くしみる曲」という意味になります。

まとめ

以上、この記事では「感傷」について解説しました。

読み方感傷(かんしょう)
意味心を痛めること
類義語傷心、哀傷、悲哀
英語訳sentimental(感傷的な)

「感傷」は、主に「感傷的になる」という使い方がされます。

特に、「物事に心を動かされやすく、すぐに感情的になる心の傾向」という意味が用いられる場合は、「感傷」をそのまま使うよりも、「感傷的になる」という使い方の方が、よりポピュラーです。

また、葉や花びらが散っていく様子は「感傷的な風景」と言えます。

このように、「感傷」は人間の心を動かす対象にも用いることができます。「感傷」には多様な使い方が存在するため、「感傷」の2つの意味をよく理解して、さまざまな場面で使えるようにしましょう。