「緩急自在」の意味とは?使い方から英語や類義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「緩急自在(かんきゅうじざい)」です。

言葉の意味・使い方・類義語・英語訳について分かりやすく解説します。

☆「緩急自在」をざっくり言うと……

読み方緩急自在(かんきゅうじざい)
意味物事を思いのままに、操ることが出来ること
類義語一張一弛、縦横無尽、自由自在など
英語訳varying the tempo or speed at will(思い通りに変化させる)

「緩急自在」の意味をスッキリ理解!

緩急自在(かんきゅうじざい):物事を思いのままに、操ることが出来ること

「緩急自在」の意味を詳しく

「緩急自在」は、「物事の程度を状況に応じて、思うままに操れるさま」を表す四字熟語です。程度を早くしたり遅めたり、緩めたり厳しくしたりなど、メリハリを自由自在に調節できる様子を示しています。

 

「緩急」の「緩」と「急」は対義語です。この二つの漢字を組み合わせることで、速度や角度、ものごとの状況などを対比させることができます。

つまり「緩急」には、「遅いことと早いこと」「緩やかなことと慌ただしいこと」などの対比の意味があります。

 

「自在」はもともと仏教用語で、「心が煩悩から解放されて自由になること」という意味を持ちます。人の心を苦しめる煩悩がなくなることで、何も気にすることなく、自由な行動をとることが出来ます。

つまり、「自在」は「思いのままに物事を操る様子」をあらわします。

 

「自在」と似たような言葉に「自由」があります。この二つは似ているようで、実は、全くニュアンスの異なった意味をそれぞれ持ちます。

「自由」とは、「心のままに過ごし、気ままに過ごす精神状態」のことです。一方で「自在」とは、「何もかも自分で選択することができ、自らの好きなようにコントロールできる状態」のことです。

置かれた状況に納得がいかなくても、その中で気ままに過ごす「自由」に対し、自分が納得できる状況にするために、自ら行動を起こすことが「自在」です。

「緩急自在」に「自らの意のままに操る」という意味が含まれているのは、「自在」の方が使われているためです。

 

程度をコントロールする「緩急」と、自ら思い通りに操る「自在」が組み合わされて、「緩急自在」となります。

ですから、「緩急自在」は「程度を弱めたり強めたり、きつくしたり緩めたりを意のままに操る」という意味です。

「緩急自在」の使い方

  1. 野球選手は、緩急自在に球を投げることが出来る。
  2. 緩急自在な話し方は、より多くの人の心を引きつけることが出来る。
  3. 彼の緩急自在な対応によって、トラブルを切り抜けることが出来た。
  4. 緩急自在な歌い方が出来る歌手には、素晴らしい表現力がある。

すでに解説したように、「緩急自在」は二つの熟語から成る四字熟語です。そのため、「緩急」と「自在」を分けて「緩急が自在だ」という言い方も出来ます。上記の❶と❷の例文をこの使い方で言い換えると、次のような文になります。

  1. 野球選手は、球の緩急自在だ。
  2. 話の緩急自在につけられると、より多くの人の心を惹きつけることが出来る。

「緩急自在」の形が文に入れにくい場合には、このように分けて使っても同じ意味を示すことが出来ます。

「緩急自在」の類義語

緩急自在には以下のような類義語があります。

  • 一張一弛(いっちょういっし):人に対して、優しくしたり厳しくしたりすること
  • 縦横無尽(じゅうおうむじん):自由自在に物事を行うさま
  • 自由自在(じゆうじざい):どのようにでも、思いのまま出来るさま
  • 如意自在(にょいじざい):自分の思い通りになること
  • 縦横自在(じゅうおうじざい):自分の思ったことを邪魔されることなく、思うように出来ること
  • 縦横無碍(じゅうおうむげ):妨げるものがなく、自由自在であること

「緩急自在」の類義語として最も多く挙げられるのは「一張一弛」です。緩急が激しいという意味を持つことから、証券取引所で「相場が小刻みに高下すること」を示す用語としても使われています。

「縦横無尽」、「縦横自在」、「縦横無碍」に共通して含まれる「縦横」は、「四方八方」という意味です。このことから、三つの四字熟語は「四方八方妨げるものがなく、思うように操る」ことを表しています。

「如意自在」の「如意」は元々仏具の一種です。主に背中を掻く「まごの手」のようにして使われていました。これが由来となって、「痒い所に手が届く」ように「自由自在である」という意味を持ちました。

「緩急自在」の英語訳

緩急自在を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • varying the tempo or speed at will
    (思い通りに変化させる)
  • impressive changes of pace
    (緩急自在)

“varying” は「変化する」という単語です。 “tempo”(調子) と “speed(速度)”で、「緩急」を意味します。

また、 “speed” と “at” の間に “of something” を入れて、 “varying the tempo or speed of something at will ” と表記することもあります。

まとめ

以上、この記事では「緩急自在」について解説しました。

読み方緩急自在(かんきゅうじざい)
意味物事を思いのままに、操ることが出来ること
類義語一張一弛、縦横無尽、自由自在など
英語訳varying the tempo or speed at will(思い通りに変化させる)

「緩急自在」は、「その場に応じて物の程度をコントロール出来る」という意味から、商品の売り出し文句としても使われる四字熟語です。また、野球でピッチャーが目指す、理想の姿としても取り上げられることのあるように、プラスの意味を持ちます。

その状況に応じてメリハリをつけることは、日常生活でも重要なことです。緩める時は緩めて、引き締めないといけない時は引き締めて、何事にもリズムを意識して過ごすことが大切です。