今回ご紹介する言葉は、熟語の「看過(かんか)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「看過」をざっくり言うと……
読み方 | 看過(かんか) |
---|---|
意味 | 対処すべき事態を目にしていながら、放っておくこと |
類義語 | 見過ごし、見落とし、見逃し、目溢し |
対義語 | 摘発 |
英語訳 | overlook(見落とす)、pass over(通り過ぎる) |
「看過」の意味をスッキリ理解!
「看過」の意味を詳しく
「看過」という熟語は、用いられている漢字に注目すると、その意味をより理解しやすくなります。
まず「看」は、訓読みで「みる」と読み、「注意して見る」という意味があります。次に、「過」は「すぎる」という意味に加えて、「事態をそのままにして過ごす」ことも意味します。
ここから、「看過」は「何か対処するべき事態を目にしていながら、何もしないこと」という意味を持つのです。
「看過」の使い方
「看過」の使い方の例として、以下のような文が挙げられます。
- 年金の引き下げに対して、高齢者らが「看過できない問題だ」として抗議を行った。
- 寿司の名店があると聞いたら、看過することはできない。
- 駅で不審な人を見かけたら看過すべきではない。
上記の例文のように、「看過」は「看過する」や「看過できない」などの動詞の形で使われるのが一般的です。
これらの例文から分かるように、「看過」は「あることを見るなどして知った後に、当然行うべきことを行わない」という際に使われます。
「年金のもらえる額が下がる」というニュースを見れば、お年寄りの方が声を上げるのは分かりますよね。また、食に興味のある人は、おいしい寿司の店の話を聞けば、もっとその情報を知りたいと思うでしょう。そして、不審な動きをしている人がいれば、通報などの対処をすべきです。
特に、3つ目の例文にあるように、「看過」はその意味から「するべきことをしない」ことに対して少し強めの非難をする目的で使われることもあるのです。
「看過」の類義語
看過には以下のような類義語があります。
- 見過ごし:あることを見ていながら、特に問題とせずにいること
- 見逃し:何かを見ていながら、とがめないこと
- 目溢(めこぼ)し:とがめるべきことを、わざと放っておくこと
どの類義語も、「対処すべき何かを知っていながら、何もしない」という意味で使うことができます。
しかし、「見過ごし」と「見逃し」は「看過」とは異なる意味も持っています。これら2つの言葉は、「視界には入っていたが、気付くべき点に気付かなかった」という意味でも使えるのです。
例えば、あなたが作成した書類に間違いがあったとしましょう。もしも、間違っていることにただ気付かなかった場合、それはミスを「見過ごした」や「見逃した」と言えます。上司には「不注意」に気を付けるようにと言われるでしょう。
対して、もし間違っているという事実を知りながら、「大して重要な間違いではないから」などという理由で修正しなかった場合、ミスを「看過した」「目溢しした」と言えるのです。上司からは「どのような細かいミスでも必ず直すように」と注意されるでしょう。
これらのニュアンスを理解した上で、状況に合わせて正しく使い分けましょう。
「看過」の対義語
看過には以下のような対義語があります。
- 摘発(てきはつ):悪事などをあばいて、公に知らしめること
「摘発」は、「何かを知った上で行動を起こす」という点で「看過」の対義語だといえます。
ですが、「摘発」という熟語を使う対象は、「脱税」や「無許可で店を運営している」など、犯罪が多いです。
「看過」も犯罪に対して使うことはできますが、そのような悪事以外にも様々な対象に使うことができます。
「看過」の英語訳
看過を英語に訳すと、次のような表現になります。
- overlook
(見落とす) - pass over
(通り過ぎる)
例えば、“overlook” を動詞の形で用いて “This problem should not be overlooked.” と言うと、「この問題は看過するべきではない」という意味になります。ちなみに、“overlook” は名詞の形で使うと「見晴らし」という違う意味になるため、使い分けに注意しましょう。
また、“pass over” は「頭上を通り過ぎる」という意味があります。ここから派生し、「何かを見たのに何もしない」という意味でも使えます。
まとめ
以上、この記事では「看過」について解説しました。
読み方 | 看過(かんか) |
---|---|
意味 | 対処すべき事態を目にしていながら、放っておくこと |
類義語 | 見過ごし、見落とし、見逃し、目溢し |
対義語 | 摘発 |
英語訳 | overlook(見落とす)、pass over(通り過ぎる) |
友達が何かいけないことをしている際に、看過せずにきちんと注意できる人になりたいものですね。