今回ご紹介する言葉は、熟語の「間髪(かんはつ)」です。
言葉の意味・使い方・語源・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「間髪」をざっくり言うと……
読み方 | 間髪(かんはつ) |
---|---|
意味 | 髪1本ほどのわずかな隙間 |
語源 | 『説苑』の「其の出づる出でざるは、間に髪を容れず」 |
英語訳 | immediately(すぐ近くに) |
「間髪」の意味をスッキリ理解!
「間髪」の意味を詳しく
「間髪」とは、髪1本ほどのわずかな隙間のことです。
「間髪を容れずに(かんはつをいれずに)」という慣用表現を使う場合にのみ使われる熟語です。
「かんぱつ」と読まれることが多く、パソコンやスマホでの変換も「かんぱつ」という読みにほとんど対応していますが、「かんぱつ」という読みは文法的には誤りです。
- 間髪を容れずに:髪の毛1本ほどのわずかな間もなく
「間髪を容れずに」は、行動と行動の間に、時間的な隔たりがまったくないことを表す表現です。
時間の流れの間に、空間的な隔たりである「髪の毛1本」が引き合いに出されているのはちぐはぐな印象も受けますが、ある意味たとえであると認識してよいでしょう。
「間髪」の使い方
- 質問を受けた発表者は、間髪を容れずに話し始めた。
- 緊急地震速報が鳴ってから、間髪を容れずに揺れがやってきた。
上記の例文のように、「間髪」は「間髪を容れずに」という表現で使われます。
①の例文では、「発表者」が質問を聞き相手が話し終わった瞬間、考える時間も持たずに答えを話し始めたことを「間髪を容れずに」という言葉で表現しています。
②の例文では、緊急地震速報が鳴るやいなや、すぐに地震の揺れが来たことを「間髪を容れずに」としています。
「間髪をいれずに」は、本来は「容れずに」が正しい表記ですが、「入れずに」と表記しても間違いではないので、どちらか使いやすい方を使いましょう。
「間髪」の語源
中国の説話集である『説苑(ぜいえん)』に「其の出づる出でざるは、間に髪を容れず」という表現があります。
漢代の中国が出典であるため、本来は「間」と「髪」の間に助詞「に」がなく「間髪」と表記されます。「間、髪を容れず」と読み下す場合もあります。
「かん、はつをいれず」になることから、「間髪」は本来、「かんはつ」が正しい読みで、熟語の二文字目が濁音化する「連濁」と呼ばれる現象が起きないはずなのです。
しかし、日本語話者は「青空」などのように、複合語の二文字目が濁音化する規則を自然と使っています。「間髪」が「かん」と「はつ」で区切られることを知らない日本語話者は、日本語のルールに基づいて自然と「かんぱつ」と読んでしまうのです。
「間髪」の英語訳
間髪を英語に訳すと、次のような表現になります。
- immediately
(すぐ近くに)
「間髪」は「間髪を容れずに」と使われる言葉であるため、「間髪」そのものを英語で表現するのは難しいです。ただし、immediatelyは「ほとんど隔たりがないがすぐ近くである」という意味で「間髪」に近い英語表現になります。
下記のように、過去形の文章でimmediatelyという言葉がつくと、「間髪を容れずに」という意味にもなります。
また、接続詞としての用法もあり、「間髪を容れずに」と近い状況を表現することができます。
まとめ
以上、この記事では「間髪」について解説しました。
読み方 | 間髪(かんはつ) |
---|---|
意味 | 髪1本ほどのわずかな隙間 |
語源 | 『説苑』の「其の出づる出でざるは、間に髪を容れず」 |
英語訳 | immediately(すぐ近くに) |
読み方は混同しやすいですが、文章でよく使われる言葉です。正しい読み方も含めて覚えておきましょう。