ビジネスの場面でよく目にする「鑑みる(かんがみる)」と「省みる(かえりみる)」という言葉があります。この2つの言葉の意味を改めて考えてみると、違いがわからないという方がいると思います。
この記事では、「鑑みる」と「省みる」の違いについて解説します。
結論:考える対象が違う
「鑑みる」は先例や見本に照らして考えます。
一方「省みる」は自分自身について考えます。
「鑑みる」をもっと詳しく
「鑑みる」という言葉を広辞苑で引くと、「先例に照らして考える」「他とくらべあわせて考える」とあります。
このように「鑑みる」は、すでに存在する過去の例や、お手本と比べて考えることを意味します。「自分が取り組むよりも先に生み出されたデータや、模範となる素晴らしい成果物、過去の教訓、遺産と比較して現在の問題を考える」ということです。
そう言われれば、「鑑」のつく言葉は「鑑定」や「鑑識」など、他と比べているものが多いですね。
また、よく「過去の例を鑑みると」のような使い方をしている人がいますが、「〜を鑑みる」という使い方は間違いです。「鑑みる」は、あくまで先例「に」照らして考えることですから、正しくは「〜に鑑みる」となります。誤用が多い言葉ですから注意しましょう。
使い方としては、「昨年度の予算の使い方に鑑みる」「彼の素晴らしい意見に鑑みる」となります。
「省みる」をもっと詳しく
同じく「省みる」を広辞苑で引くと、「過去のことを思う」「反省する」とあります。
「省みる」の場合は、過去の自分自身の行動や心の内を振り返って考えることを意味するのです。「鑑みる」と異なり、比較対象が他者ではなく現在や過去の自分である点に注意しましょう。
「省みる」の「省」は「反省」の「省」ですね。この漢字には「自分の内心をよくみる」「注意してみる」という意味があります。読んで字のごとく、自分自身について考えますから、「会議での失敗を省みる」「若い頃を省みる」といった使い方をします。
あくまで自分自身「を」振り返るので、「〜を省みる」となります。
まとめ
以上、この記事では、「鑑みる」と「省みる」の違いについて解説しました。
- 鑑みる:先例や見本と比べて考える
- 省みる:自分の行動や心について考える
一見似ている2つの言葉を正しく使うことができればかっこいいですよね。
これからは違いや、それぞれの違いを意識するようにしましょう。