「掛ける」と「懸ける」と「架ける」と「賭ける」の違いとは?

違いのギモン

漢字は1つ1つに意味がある文字です。例えば「老人」という言葉を知らない人でも、漢字を見れば「年を取った人」のことを指しているとすぐにわかります。

「臑」という漢字は難読語ですが、身体を示す「月(にくづき)」がへんになっているため、身体の部位のことを言う字なのだと推測できます。(ちなみに「すね」と読みます)

 

一方でアルファベットやひらがな・カタカナは音だけを表す文字で、意味はありません(「A」は「エー」という音しか示しません)そのため見たことのない単語と出会った場合は、辞書を引くしかありません。

 

この「意味を持つ」というのが漢字の最大の面白さであり、やっかいな部分でもあります。意味を持っているからこそ、私たちは同音異義語を学ばなければならないからです。

今回はそんな同音異義語「掛ける」「懸ける」「架ける」「賭ける」の違いを解説していきます。

☆「掛ける」「懸ける」「架ける」「賭ける」の違いをざっくり言うと……

懸ける命・賞金
架ける橋・虹
賭けるお金
掛けるそれ以外

結論:「かける」対象が違う

「掛ける」「懸ける」「架ける」「賭ける」の違いを分かりやすくまとめたものが以下の表になります。

対象
懸ける命・賞金
架ける橋・虹
賭けるお金
掛けるそれ以外

「懸ける」をもっと詳しく

「懸ける」には「ささげる・託す」「金品を差し出す」という意味があり、「命を懸けて守る」「賞金を懸けて戦う」という風に使います。

「架ける」をもっと詳しく

An elephant goes on a wooden bridge between two rocks. This is a 3d render illustration

「架」という字は物を乗せるために柱の上に架け渡した台のことで、棚を表します。転じて物と物の間を渡すものとして使われ、「橋を架ける」「虹が架かる」という風に使います。

「架」という字を用いた熟語には以下のようなものがあります。どれも、空間をつないでいる何かを指していますね。

  • 担架:2本の棒の間に布が張ってある道具
  • 架空:空中に架け渡すこと
  • 書架:本棚

「賭ける」をもっと詳しく

「賭ける」は「勝てば獲得し、負ければ失う約束で金品を出す」という意味で「トランプに金を賭ける」という風に使います。

ちなみに「賭ける」には「者」の「日」の上に点があるものとないものがありますが、どちらで書いても間違いではありません。ですが常用漢字体とされているのは点がある方ですので、予測変換で出てくるのは点がついている方です。

「掛ける」をもっと詳しく

意味例文
吊り下げる服を掛ける
費やすお金を掛ける
作動させる電話を掛ける
上に乗せる火に掛ける
上方から注ぐ塩を掛ける
重さをはかるてんびんに掛ける
他に影響を与える迷惑を掛ける

「掛ける」には、上のように実にさまざまな意味があります。

ここにあげたのはほんの一例に過ぎません。「掛ける」は実に幅広い意味を持っているので、「懸ける」「架ける」「賭ける」以外のものは「掛ける」と書いて問題ありません。迷う場合はひらがなで書くのが良いでしょう。

「架ける」と「掛ける」

「電話をかける」には「掛ける」を用いると述べましたが、世の中には「架電」という言葉も存在します。同じ「電話をかける」という意味であるのに、なぜ違う漢字が使われているのでしょうか。

実は「架電」というのは業界用語で、正しい日本語ではありません。先ほど「架ける」は「物と物をつなぐもの」を表すという説明をしましたが、「架電」は架け渡してつなぐもの=電話というイメージから派生して作られた言葉です。間違った日本語ですので積極的に使わない方が良いでしょう。

「懸ける」と「掛ける」

「心掛ける」と「心懸ける」。一般的なのは「心掛ける」の方ですが、後者を目にする機会もよくあります。この違いは何なのでしょうか。

両者にはニュアンスの違いがあり、「同じミスをしないように注意する」という風に気を付ける意図を含める場合は「心懸ける」を用い、「人の気持ちを考えて行動するようにする」という風に努力の意味を含める場合は「心掛ける」を用います。

まとめ

以上、この記事では、「掛ける」「懸ける」「架ける」「賭ける」の違いについて解説しました。
最後にもう一度、下記の表を確認しましょう。

懸ける命・賞金
架ける橋・虹
賭けるお金
掛けるそれ以外

以下の文を覚えて理解を定着させましょう。

「賭け事の誘惑(ゆうわく)を断ち切る立派な人になることを心懸け、時間を掛けて渡した未来への架け橋を高速で駆けていくような人になる」

今回は取り上げなかった「駆ける」のオプションつきです。無理やりつなげた感じが否めませんが、この文が頭の中に入っていれば「かける」を制覇したと言っても過言ではないでしょう。

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mikan
愛読書は広辞苑。 日本語の持つゆかしさや含み、趣深さが大好きです。大学では音声学・日本語学を専攻しました。 慣用句や四字熟語が得意分野です。