「関わらず」「拘らず」「係わらず」の違いは?正しい表記はどれ?

違いのギモン

「関わらず」と「拘らず」と「係わらず」は「意味と用法」が異なります。

似たような単語ですが、「漢字が違うだけ」と思われている方も多いのではないでしょうか。

ややこしくて、どれがどういった意味を持つのかよく分かりませんね。

そこで今回は、「関わらず」と「拘らず」と「係わらず」の違いを意味や使い方を含めて解説します。

☆「関わらず」「拘らず」「係わらず」の違いをざっくり言うと……

単語関わらず拘らず係わらず
読み方かかわらずかかわらずかかわらず
意味関係なくこだわらないで
強く主張しないで
関係せずに
関わりを持たずに

「関わらず」と「拘らず」と「係わらず」の違い

単語関わらず拘らず係わらず
読み方かかわらずかかわらずかかわらず
意味関係なくこだわらないで
強く主張しないで
関係せずに
関わりを持たずに

「関わらず」と「拘らず」と「係わらず」の大きな違いは、意味です。

「関わらず」は「関係なく」という意味です。

それに対して、「拘らず」は「こだわらないで」「強く主張しないで」という意味です。

そして、「係わらず」は「関係せずに」「関わりを持たずに」という意味です。

ちなみに全て常用外の漢字なので覚えておきましょう。

「関わらず」の意味

「関わらず」は「関係なく」という意味です。

「関わる」は物事や人が関係を持っている様子を表します。

単純にその打ち消しが「関わらず」です。

 

「関」はもともと、「かんぬき」という門や扉を固定する木材を表します。

それが変化して「きちんと繋ぐ」という意味合いになり、「関わる」に応用されました。

 

たとえば、勉強をしていないのに成績が上がったとします。

こうした状況を「勉強量に関わらず成績が上がった」と表現可能です。

「関わらず」の使い方

「関わらず(関らず)」は単純に物事や人が関係を持っていないと表現したい時に使用します。

実際の例文には以下のようなものがあります。

  • 経験の有無に関わらず応募してください。
  • 参加するしないに関わらず返事はしましょう。
  • 他人に関わらず生きていきたい。

「拘らず」の意味

「拘らず(拘わらず)」は「こだわらないで」「強く主張しないで」という意味です。

「拘る」は「こだわる」と読み、「固執する」という意味です。

「拘らず」は「拘る」の打ち消しなので、このような意味合いになります。

 

また、「拘」という漢字は「とらえる」「つかまえてつなぐ」という意味があって、特に心が何かにとらわれて自由に行動できない様子を指します。

それがもとになっているので、「拘らず」は「(心が何かにとらわれることなく)固執しない」という意味合いになります。

 

たとえば、勉強を毎日しているのに成績が上がらなかったとします。

こうした状況を「勉強を毎日しているのにも拘らず成績が上がらない」と表現可能です。

「拘らず」の使い方

「拘らず」は「であるのに」「なのに」と表現したい時に使用します。

実際の例文には以下のようなものがあります。

  • 努力したのにも拘らず結果が出ない。
  • ダイエットしたのにも拘らずまた太った。
  • 家に行ったのにも拘らず不在だった。

「〜にもかかわらず」の正しい表記は?

「〜にもかかわらず」を漢字を使って表現すると、「〜にも拘らず」が適切です。

そのため、契約書などフォーマルな文書ではこちらがもっとも正しい表現となります。

同じように「いただいたのにもかかわらず」「それにもかかわらず」「休日なのにもかかわらず」というビジネス表現の漢字は「拘らず」が適切です。

他の漢字は意味合いが異なるので不適切です。

 

一方で、「〜にも拘らず」と表記すると堅い印象を受けるのでひらがなの表記もよく使用します。

また、パソコンなどで「にも関わらず」という表現も変換で表示されますが、こちらは誤用する人が多く、そのまま広がったとされています。

しかし、「大小に関わらず」と言う表現は「大小に関係なく」という意味で適切なので、この言い方には注意しましょう。

 

ちなみに「〜にも拘らず」は漢文の「不拘」が語源で、現代の中国語でも使用しています。

「係わらず」の意味

「係わらず(係らず)」は「関係せずに」「関わりを持たずに」という意味です。

「係わる」が「関係すること」「関わりがあること」という意味なので、その打ち消しです。

また、「関わる」と比べて「係わる」の方がつながりの関係性が弱いです。

「係」という漢字は、「紐など細いもので繋ぐ」「仕事などの担当」という意味があります。

 

たとえば、勉強しなくても成績が上がったとします。

こうした状況を「勉強量に係わらず成績が上がった」と表現可能です。

「関わらず」に比べて弱めの表現ですが、意味合いは似ています。

「係わらず」の使い方

「係わらず」は単純に物事や人が関係を持っていないと表現したい時に使用します。

実際の例文には以下のようなものがあります。

  • 彼と彼女は係わらずに仕事している。
  • 特にあちらの団体と係わらずに過ごしています。
  • 国籍に係わらず参加可能です。

「関わらず」と「拘らず」と「係わらず」の類義語

「関わらず」と「拘らず」と「係わらず」の類義語や言い換えには以下のようなものがあります。

  • 関係なく
    関わりをもたない
  • 囚われず(とらわれず)
    先入観などに影響されない

「関係なく」は「係わらず」「係わらず」の言い換えになります。

一方で、「囚われず」は「拘らず」の言い換えです。

「関わらず」と「拘らず」と「係わらず」の英語表現

「関わらず」と「拘らず」と「係わらず」の英語表現には以下のようなものがあります。

  • regardless of
    (関係なく)
  • in spite of
    (関係なく)
  • however
    (にもかかわらず)

間違いやすい漢字

「関わらず」「拘らず」「係わらず」と同じように間違いやすい漢字には以下のようなものがあります。

いわゆる預かり金筆遣い利いたふうなことをいう
意味世間で言われている一時的に預かったお金筆を使った書き方や扱い方知ったかぶり
生意気な様子で物事を言う
よくある間違い表記漢字表記の所謂
ひらがな表記が無難
預り金(一部企業では預り金も使用する)筆使い聞いたふう

「関わらず」と「拘らず」と「係わらず」のまとめ

以上、この記事では、「関わらず」「拘らず」「係わらず」の違いについて解説しました。

単語関わらず拘らず係わらず
読み方かかわらずかかわらずかかわらず
意味関係なくこだわらないで
強く主張しないで
関係せずに
関わりを持たずに

今回取り上げたものは読み方も同じで漢字だけが違うので、非常にややこしい単語です。

また、誤用している人も多いのでどれが正しいのかよく分かりません。

ぜひ、この記事を参考にして正しい意味と使い方を覚えましょう。