お正月を祝うのに欠かせないアイテムといえば、鏡餅ですよね。正月が終わると、解体して餅を食べます。そのときのことを、「鏡開き」や「鏡割り」と言います。
また、結婚式などで樽酒を開けるときも、「鏡開き」「鏡割り」と言うでしょう。
それぞれ、どちらの言い方が良いのでしょうか。
結論:どちらも「鏡開き」がベター
「鏡割り」と言うのは、避けるべきです。「割る」という言葉の縁起が悪いためです。
鏡餅の「鏡開き」をもっと詳しく
鏡餅の「鏡開き」は、松の内が明けてから行います。
お正月を祝う期間を「松の内」といいます。関東では1月7日まで、関西では1月15日までです。鏡開きの日も関東と関西で異なっていて、関東は1月11日、関西は1月20日が一般的です。
では、なぜ鏡開きをするのでしょうか。鏡餅は、円満を意味する丸い形をしている縁起物です。それを「開く」ことで、「将来が開ける」という意味をこめています。
さらに、神様にお供えした餅を食べることで、神様の力を分けていただくという意味もあります。仏壇(ぶつだん)に供えたお供え物を家族で食べるのと同じですね。
鏡餅を「開く」には、どうしたらいいのでしょうか。切り餅が入ったプラスチック製の鏡餅が普及しているので、イメージがつかないかもしれません。
本来の鏡餅は、丸い餅を重ねたものです。日が経つと表面が乾燥して、ヒビが入ります。それを木づちや手で割るのが鏡開きです。
樽酒の「鏡開き」をもっと詳しく
樽酒の「鏡開き」は、結婚式などのおめでたい席で行います。
武士が出陣するときに酒樽を開けて、振る舞い酒をしたという風習に由来します。
酒樽のフタも円いので、鏡と呼ばれていました。そこで、「鏡開き」と呼ばれるようになったのです。
ただし、樽酒に対して「鏡開き」と言うのは間違っているという指摘もあります。NHK放送文化研究所によれば、もともとは「鏡抜き」と言うべきなのです。
「栓を抜く」という言葉があるように、もともとは「フタを抜く」ので「鏡抜き」と呼んでいました。NHKでは、酒樽に対しては「鏡開き」という言葉を使っていません。「酒樽を開けた」と言いかえています。
ただし、現在では「鏡開き」という呼び方が定着しています。鏡餅も酒樽も、「鏡開き」と言っておいて問題はないでしょう。
「鏡割り」がよくない理由
「鏡割り」は、「割る」が縁起の悪い言葉なので避けるべきです。
「割る」という言葉は、別れを連想します。「仲間割れ」という言葉がありますよね。そのため、おめでたい席では「割る」という言葉を使うことが避けられています。
代わりに使うのが「開く」という言葉なのです。
実際には、鏡餅も酒樽も、木づちで「割る」ように開いています。しかし、「鏡割り」というのは適切ではありません。
なお、鏡餅を包丁で切るのも、縁起が悪いので避けるべきです。切腹を連想させるからだと言われています。どんなに餅が固くても、木づちや手で根気よく割りましょう。
まとめ
以上、この記事では、「鏡開き」「鏡割り」の違いについて解説しました。
- 鏡開き:鏡餅や樽酒を開けること
- 鏡割り:「鏡開き」の縁起が悪い言い方