元の場所や方向へ移動するとき、「帰る」「戻る」と言います。日常会話ではどちらもあまり意識せずに使っていますが、意味はどう違うのでしょう?
今回はその違いについて解説していきます。
結論:移動する目的が違う
「帰る」は、帰属・本拠とする場所へ移動することをいいます。
「戻る」は、元いた場所へ一時的に移動することをいいます。
「帰る」をもっと詳しく
「帰る」は、(人・動物・乗り物が)元々所属・本拠としているところへ移動することをいいます。
実家や故郷は、本拠地にあたりますから、「帰る」を使います。
たとえば、日本出身の人が仕事の都合でアメリカに行っているとします。
その人が、休暇の間日本に移動する場合は、日本に「帰る」といいます。
「帰国」という言葉も出身国に移動する時に使われますよね。
再び仕事でアメリカに行くときには、「戻る」を使い、「帰る」とはあまり言いません。
また、地点Aから地点Bへ「帰る」という時は、地点Bにしばらく留まることを前提としています。そこには、帰る先である地点Bは本拠地、地点Aは仮の場所、というニュアンスがあるのです。
「帰」の字を含む四字熟語に、「原点回帰」という言葉があります。「原点回帰」の意味を辞書で調べてみると「物事の出発点に帰ること」とあります。
原点には「本来の自分」、「本来帰るべき場所」というニュアンスが含まれています。
よって、そこに「回帰」する、と使うことからも「帰る」はもともと本拠としているところへ移動する場合に使われることが多いことがわかります。
「戻る」をもっと詳しく
「戻る」は、(人・動物・物・乗り物)が、元あったところへ一時的に移動することをいいます。
ここで、具体例を見ていきましょう。
Sさんは家から学校へ行き、学校に着いてから、家に忘れ物をしたことに気づきます。そして、Sさんは先生に次のように言います。
「忘れ物をしたので家に取りに帰ってもいいですか」
「忘れ物を取ったらすぐ(学校に)戻ります」
ここでSさんは、家にいったん「帰る」こと、再び学校に「戻る」ことを先生に伝えています。
Sさんにとって家は本拠地であり、本来「帰る」場所にあたります。
一方、学校は授業のために一時的に滞在する場所にすぎません。授業が終われば、学校から家に「帰る」ことになります。
そのため、家から学校に再度来るときには、「戻る」と表現するのが適切です。
「帰る」よりも「戻る」を使う時の方が、少し慌ただしい印象があります。
まとめ
以上、この記事では、「帰る」と「戻る」の違いについて解説しました。
- 帰る:本拠地とする場所へ移動する
- 戻る:元いた場所へ移動する
普段「帰る」「戻る」を使う際にも、その意味の違いを意識してみてはいかがでしょうか。